脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH株式会社に対して、債権者が破産申し立ての準備に入ったことが判明。前身企業の社会保険滞納や給与未払いが背景にあり、施術前払いの未消化役務も深刻。全店舗は2025年3月から休業状態に。顧客・従業員の不安が高まる中、再建は可能なのか——。
全店休業のミュゼ
破産申し立て準備
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脱毛サロン業界の大手「ミュゼプラチナム」を巡り、ついに債権者が破産手続きの申し立て準備に入った。運営会社MPH株式会社は2024年に新たに設立されたが、旧法人から引き継いだ負債やトラブルが尾を引き、事業継続が困難な状況に陥っている。給与未払い、返金トラブル、経営内紛…。利用者と従業員を巻き込むその混迷の全貌とは?
ミュゼはなぜ破産申し立てに至った?
いつ・どこで起きたのか?
ミュゼプラチナムを運営するMPH株式会社は、2024年9月に旧法人から分割設立された新会社だ。登記上の所在地は東京都大田区蒲田。TSR(東京商工リサーチ)によると、MPHの法人番号は3010401184925、資本金は1000万円。前身企業の問題を整理し、新体制で再出発を図る意図があったとされる。
しかし、設立からわずか半年足らずで、事業は急速に混迷の様相を呈する。従業員への給与未払い、社会保険料の滞納、顧客との契約トラブルが連鎖的に表面化した。2025年3月には、全店舗を一時休業すると発表するに至った。
MPH社の基本情報と法人データ
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設立:2024年9月
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所在地:東京都大田区蒲田5-28-4
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資本金:1,000万円
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法人番号:3010401184925
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登記企業名:MPH株式会社
なぜ問題が深刻化したのか?
最大の原因は、前身企業から引き継いだ「未解消の社会保険料滞納」と「未消化役務」だ。給与の遅配は数ヶ月にわたり累積し、一部では15億円規模とも報じられている。また、顧客に前払いで契約させた施術が未実施のままとなり、返金を求める訴えがSNSなどでも拡散された。
さらに事態を悪化させたのが、2025年初頭に発生した「経営権を巡る対立」だ。外部関係者とされる合同会社トラストが経営権を主張し、訴訟に発展。これが従業員の動揺を招き、現場の混乱に拍車をかけた。
施術前払いと返金トラブルの構造
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顧客は数万円〜十数万円を前払い
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休業により施術未実施のまま
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返金窓口が不明瞭で混乱拡大
🔸滞納と遅配が加速した背景
MPHが引き継いだ社会保険料の滞納額は、旧法人の事業規模に比例して膨大であり、設立初期から経営を圧迫していた。これに加えて、2025年1月から2月にかけて、給与遅配が顕在化。SNS上には「給料が振り込まれない」「離職票も届かない」といった声が相次ぎ、事態が急速に可視化された。
資金調達の目途が立たないまま、フランチャイズ加盟店舗のオーナーとの連携も崩れ、組織全体の信頼が失墜。その影響で行政による調査や立ち入りも強化され、事実上、正常な運営が難しくなった。
▶ 比較項目 | MPH設立後(2024年〜) |
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給与支払い | 序盤は通常→1月以降に遅配化 |
社会保険料 | 旧法人の滞納分が差押対象に |
経営権 | トラスト社と争い→3月に確定 |
顧客対応 | 一時連絡不能・休業発表で混乱 |
今後どうなる?利用者と従業員の不安
顧客にどんな影響が出ているか?
休業状態が続く店舗では、前払いで施術を受けていない顧客が多数発生している。中には数十万円単位で支払っていたケースもあり、連絡不能・返金なしの状態が続いていることで不信感は募る一方だ。
特に問題となっているのが、「信販会社を通じてローン契約を組んでいた利用者」だ。施術が実施されていないにも関わらず、ローンの支払い義務が残る状態になっており、法的な整備や説明がないまま不公平感が拡大している。
前払い分の返金は?
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ミュゼの一部契約者は30万〜50万円を支払い済み
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ローン支払いが継続する中、施術提供が停止
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公式連絡も途絶え、救済措置は未発表のまま
経営権争いとフランチャイズ戦略の行方
MPHは、2025年2月に経営権を巡る争いを起こし、合同会社トラストが代表登記を提出するという異例の事態に陥った。この争いは裁判所の判断により3月にMPH側の勝訴で決着したが、内紛の影響で多くのフランチャイズオーナーが運営から手を引いたという証言もある。
また、当時採用されたばかりの新入社員にも自宅待機が命じられ、雇用契約や処遇の問題も発生。従業員の士気は大きく損なわれており、再建には相当の時間と説明責任が求められる見通しだ。
破産申し立て後のシナリオ
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管財人による資産整理の可能性
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返金請求が「債権」として扱われる事態も
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フランチャイズ再編に向けた交渉が鍵に
🔸内紛がもたらした経営と現場の崩壊
合同会社トラストが突如提出した代表変更登記は、MPH側にとって寝耳に水の事態だった。両者は資本的な関係も曖昧なまま主張を繰り広げ、裁判所での争いに発展。この過程で、会社内部の経理や指揮命令系統が混乱し、各店舗の判断がバラバラに。
その余波で、従業員の労務管理も破綻。出勤指示の混乱や、給与支払いの可否が個別店舗ごとに異なるという状況まで起きていた。従業員・顧客・オーナーの信頼が一気に失われる結果となった。
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登記の二重申請で法的混乱
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店舗ごとに営業再開判断が割れる
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新卒内定者の離職率が高水準に
🔸ミュゼ破産問題の時系列構造
① 前身企業からMPHが事業継承
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② 社会保険滞納・給料遅配が表面化
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③ 顧客から返金請求が殺到
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④ 経営権争いで訴訟・登記変更
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⑤ 全店舗一時休業(2025年3月)
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⑥ 債権者が破産申し立て準備(5月報道)
✅ 見出し名 | ▶ 要点 |
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顧客への影響 | 前払い契約の未施術・返金困難が深刻化 |
従業員の混乱 | 登記争いで給与・雇用指示が崩壊状態に |
経営再建の行方 | 管財人選定とスポンサー交渉がカギに |
社会的波紋 | 業界全体の信頼性に影響する事態へ発展 |
“顧客返金と従業員給与”という2つの支払い義務が、破産申し立てで同列に扱われかねないという点です。法的整理の行方次第で、返金が債権として後回しにされる可能性もあるため、今後の動向から目が離せません。
破産手続きでどうなる?今後の焦点
再建の可能性はあるのか?
現時点でMPHはフランチャイズ拡大の意向を示しているものの、実際に資金提供や経営支援に名乗りを上げる企業は確認されていない。顧客への返金と従業員給与の支払いが優先されるべき中、企業再建に回す体力があるかどうかは極めて不透明だ。
業界への影響は?
“安心・安全”を掲げていた脱毛サロン業界にとって、今回の事態は看過できない。中堅サロンにおいても「予約困難」「経営交代」などの波及が出始めており、今後は業界全体で透明性や契約ルールの見直しが求められそうだ。
🔸裏切られた信頼と構造的責任について
「予約を取り、料金を前払いし、サービスを待つ」。それが成立するのは、社会が契約を信じているからだ。
だが、その信頼を組織が裏切ったとき、誰が責任を取るべきなのか。
今回のミュゼの事例は、単なる経営失敗ではない。「消費の約束」が組織内の構造欠陥により崩れ去った象徴だ。
私たちはこの崩壊を、単なる一企業の問題として処理すべきではない。
返金されないローン、振り込まれない給料、届かない説明…。
信頼というインフラが崩れたとき、企業がそれを再び築くには、法の強制力ではなく“誠意と公開”が必要なのだ。
✅ 見出し名 | ▶ 要点 |
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破産申し立て | 債権者がMPHへの法的措置準備中 |
給与と返金 | 支払い義務が未処理のまま拡大 |
経営混乱 | 内紛と訴訟で信用を喪失 |
今後の焦点 | 法的整理と業界信頼回復が課題 |
❓FAQ(読者の疑問に対応)
Q1. 前払いのローンはどうなる?
A1. サービス未提供でも支払いが続いている事例があり、法的整理後の債権として扱われる可能性があります。
Q2. 現在の運営会社は返金対応している?
A2. 一部では連絡が取れず、公式対応も確認されていません(2025年5月時点)。
Q3. ミュゼの店舗は今後再開するの?
A3. 2025年3月から休業中で、再開時期は未定。フランチャイズ再編の可能性があると報道されています。