2025年5月、JLPGAは不倫報道の渦中にあった男性キャディー栗永遼氏に対し、9年間の出禁処分を発表。処分の根拠は懲戒規程にあるとされるが、年数についての説明はなし。倫理と信頼回復のはざまで協会の判断が問われている。処分の意味と妥当性はどこにあるのか――。
栗永キャディー
9年出禁
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
女子ゴルフ界を揺るがせた“不倫騒動”が、ついに異例の処分という形で決着を迎えた。週刊誌報道により発覚した3選手と男性キャディーの不適切な関係に対し、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、5月20日、当事者5人への処分を公式に発表した。中でも注目を集めたのは、栗永遼キャディーへの“9年間の出禁”という厳罰だ。なぜ9年なのか、その根拠はどこにあるのか。協会は詳細を明かしていないが、規定と背景を照らすことで、その深層に迫る。
✅ 見出し | ▶ 要点(1文) |
---|---|
▶ JLPGAが処分を発表 | 不倫報道を受け、栗永氏に9年間の出禁処分が下された。 |
▶ 処分の根拠は不明瞭 | 懲戒規程に年数規定はなく、協会は理由を明らかにしていない。 |
▶ キャディー業界への影響 | 栗永氏は男子ツアーも辞退、事実上キャリア喪失の状況にある。 |
栗永キャディーはなぜ「9年間」出禁になった?
◉ 何が問題とされたのか?
JLPGAが処分を決定した直接のきっかけは、週刊文春が報じた「既婚男性キャディーと若手女子プロ選手との不倫関係」である。報道によると、栗永遼氏(30歳)は、同協会所属の浅井咲希プロの夫でありながら、複数の若手女子選手との不適切な関係を続けていたという。
協会はこの件について、女子ツアーの信頼と秩序を著しく損なう重大事案と位置づけ、「懲戒規程」に則った処分を下す判断をした。処分対象は栗永氏だけでなく、関係した女子選手3名(川崎春花、阿部未悠、小林夢果)および協会理事1名を含む5名におよぶ。
◉ 懲戒規程の該当項目とは?
JLPGAが公開している懲戒規程第2条では、処分の種類として以下5つが明記されている。
-
戒告
-
立入制限
-
資格または登録の停止
-
資格または登録の剥奪
今回の処分はこのうち「3. 立入制限」に該当すると思われ、「一定期間、ツアー会場や関連イベントへの立ち入りを禁ずる」措置とされている。しかし、期間の長短については規程上の明記がなく、「9年間」という数字の根拠は依然として不透明なままである。
🔸 なぜ“9年”という長期処分だったのか?
懲戒規程そのものには、期間の上限や数値的基準は存在しない。にもかかわらず、今回「9年間」という異例の長期に設定された背景には、栗永氏の立場や影響力が考慮された可能性がある。栗永氏はSNS上で「通算50名以上のプロ選手を担当した」と明かしており、ツアー全体への関与度が極めて高かった。協会はその“浸透度”の深さを重く見たとされる。
また、不倫相手とされた選手の多くが20代前半と若く、キャディー側からの積極的な接近が問題視されたことも影響したとみられる。単なる私的問題ではなく、組織としての管理責任や再発防止の観点からも、厳罰に踏み切ったと読むことができる。
-
処分期間の明文化は規程になく、すべて協会の裁量判断
-
関与度の高さが制裁年数に反映された可能性あり
-
年齢差・立場差が倫理規範違反として大きく評価された
🔄 JLPGA懲戒処分の過去事例との比較
処分事例 | 処分内容と期間 |
---|---|
2019年:選手のSNS不適切発言 | 厳重注意+新人セミナー受講(1回) |
2022年:会場内トラブルによる協会職員の処分 | 謹慎3ヶ月+再発防止講習義務 |
2025年:栗永キャディーの不倫問題 | ツアー会場・関連イベント立ち入り禁止(9年間) |
出禁期間9年の根拠は?
◉ 公表されている規定と一致するのか?
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が処分の根拠としたのは、「コンプライアンス・倫理規程」および「懲戒規程」だが、いずれにも処分年数に関する明文化はない。つまり、懲戒対象の内容や影響度に応じて、処分内容と期間は個別判断される仕組みとなっている。
この点についてJLPGAの担当者は「公表しているリリースがすべて」としており、内部でどのような議論や前例参照があったかは一切明かされていない。処分に対する説明責任を求める声も一部メディアやファンの間で出ているが、現時点ではブラックボックスのままだ。
◉ 制裁年数の算定基準は?
現行規程では、処分の種類(戒告、けん責、立入制限など)までは記載されているが、「年数」については基準がない。そのため、過去の前例や裁量判断が強く影響するとみられる。
仮に9年という期間が意図的に“業界引退”を意味する重さとして設定されたとすれば、それは罰則の域を超えた“排除”に近い意味を持つ。一方で、JLPGA内では再発防止や業界全体への抑止力として“象徴的な長期処分”が必要とされた可能性もある。
🔸 懲戒年数の“裁量”がはらむリスクとは?
懲戒規程に年数の上限や段階が設けられていないことは、自由裁量を可能にする一方で、処分の公平性に疑念を抱かせる可能性もある。処分対象者や世論の影響によって判断がブレることがあれば、協会自体の信頼にも直結する。
今回のケースでは、既に週刊誌報道が社会的制裁として先行していた面もあり、協会が“世間の空気”に合わせたとも受け取れる。このような裁量リスクを避けるためには、年数ごとの目安を設定し、透明性を担保するガイドラインの整備が急務である。
🔁 処分決定までの流れ(想定)
① 文春報道による不倫疑惑の発覚
↓
② 協会による関係者ヒアリングと事実確認
↓
③ 倫理委員会による懲戒規程との照合
↓
④ 「立入制限(第2条<3>)」に該当と判断
↓
⑤ 個別の処分内容と期間を協会が裁量決定
↓
⑥ 5月20日、公式発表で処分を公表
✅ 見出し | ▶ 要点(1文) |
---|---|
▶ 処分の根拠に年数記載なし | 懲戒規程には「年数の明文化」が存在しない。 |
▶ 9年処分の背景は不明 | 処分期間の決定過程は協会から説明されていない。 |
▶ 公平性の課題が残る | 今後の運用には裁量と透明性のバランスが求められる。 |
今後の影響と波紋は?
◉ 他ツアーへの影響や再起の可能性は?
JLPGAによる処分は、あくまで“女子ツアー”および“協会イベント”に限られる。実際、栗永氏は男子ツアーでのキャディー経験もあり、制度上は男子プロのサポートは可能とされている。
しかしながら、今季開幕戦ではすでに参加辞退の動きがあったことから、世間的イメージの影響は無視できない。事実上“業界全体”からの排除に近い状態が続くとみられ、実質的な再起の機会は限られるのが現実だ。
◉ JLPGAの倫理教育強化策とは?
JLPGAは今後、選手やキャディー、職員らへのコンプライアンス研修・リスク管理研修の導入を強化する方針を発表している。懲戒処分を下すだけでなく、再発を防ぐ教育の仕組みづくりに踏み出す構えだ。
また、トラブル発生時の相談窓口の整備や、選手からの自主的な情報提供を受けやすい体制づくりにも力を入れるとしており、今回の事案を「風化させない構造」が試されている。
✍ 処分という“出口”の先に、倫理の入口を
ゴルフ界が静かに震えた。“9年間の出禁”という言葉の裏には、倫理と処分のあいだで揺れた協会の判断が透けて見える。制度には明文化されていないが、社会は明確に反応した。
人は、罰の長さに納得したいのではない。どうしてその判断に至ったのか、そこに「意味」があったかを知りたいのだ。なのにJLPGAは、その問いを無言で通り過ぎてしまった。
信頼は、処分で回復するものではない。説明によって、意味のある対話の中に再び芽吹くものだろう。倫理は、出口に現れるものではない。入口に立つ人々の“自覚”と“声”の中にあるのだ。
❓【FAQ】
Q1. 栗永遼氏はなぜ9年間の出禁になったのですか?
A1. 複数の若手女子プロとの不倫関係により、JLPGAの倫理規程に違反したと判断されたためです。
Q2. 「9年」という年数に根拠はありますか?
A2. 懲戒規程には年数の規定がなく、JLPGAは「リリースに書かれている内容が全て」として明かしていません。
Q3. 処分対象は栗永氏だけですか?
A3. いいえ、関係した3選手と協会理事も処分され、選手は厳重注意・研修義務、理事は処分内容非公開です。
Q4. 男子ツアーには参加できるのですか?
A4. 処分はJLPGA管轄のみであり、男子ツアー参加に制限はありませんが、事実上参加を見送っています。
Q5. 今後、同様の問題を防ぐ対策はありますか?
A5. JLPGAはコンプライアンス研修の強化や相談体制の整備を打ち出しており、再発防止に取り組むとしています。