2026年5月に米ラスベガスで開催予定の新スポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ」は、薬物使用を公認した前例のない競技大会。元五輪代表のゴロメーフ選手が薬物使用下で記録更新を主張し、IOCやWADAの反発を招いています。これは進化か、それとも背信か――。
ドーピング公認
世界記録更新
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2026年5月、米ラスベガスで開催が予定されている新たなスポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ」。
その特徴は、なんと“ドーピング解禁”。
世界反ドーピング機関(WADA)の規定をあえて外れ、薬物使用を認めた上で、選手たちが記録に挑むこの大会は、スポーツの未来像を大きく揺さぶる存在になりそうだ。
元五輪選手が“薬物あり”で世界記録を更新したと主張する衝撃の発表に、世界中が揺れている。
✅ 見出し | ▶ 要点(1文) |
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開催計画 | ドーピング容認の大会が2026年に初開催へ |
支援者 | トランプ前大統領の長男ジュニア氏が出資支援 |
薬物使用 | ステロイドなど医師管理下での使用を公認 |
世界記録 | ゴロメーフが薬物使用+水着で記録更新を主張 |
なぜ「薬物解禁スポーツ大会」が話題なのか?
どこで・誰が開催するのか?
2026年5月、アメリカ・ラスベガスで開催予定の「エンハンスト・ゲームズ」は、世界的な議論を呼んでいる。
主催者はオーストラリア出身の実業家、デスーザ氏。彼は「スポーツと人類の限界に革命を」と掲げ、これまでタブー視されてきたドーピングにあえて光を当てた。
また支援には、ドナルド・トランプ元大統領の長男ジュニア氏が名を連ね、1,000万ドル(約14億円)もの資金が集められているという。
どんな種目で競うのか?
大会で採用されるのは、競泳(50m・100m自由形、バタフライ)、陸上(100m、110mハードル)、重量挙げ(スナッチ等)など、スピードとパワーが要求される競技だ。
特に注目されるのは、「世界記録を更新した場合に賞金100万ドルを支給する」という破格のインセンティブ。
しかも、国別対抗ではなく個人参加形式で、薬物使用が医師管理の下で許可されるという独自ルールが設定されている。
世界記録の更新は本当か?
この大会を巡る衝撃のニュースは、すでに「記録更新者」が存在するという主張だ。
2024年パリ五輪の競泳50m自由形で5位となったギリシャ代表のエマニュエル・ゴロメーフ選手が、薬物を使用し、現在は禁止されている全身型水着を着用した上で、20.89秒の記録を出したという。
これは2009年の世界記録20.91秒を上回るタイムであり、大会側はこの事例を“新スポーツの正当性”の証明として提示している。
🔸ゴロメーフ選手とは何者か?
エマニュエル・ゴロメーフ選手(31)はギリシャ出身のトップスプリンターで、2024年パリ五輪では競泳男子50m自由形で5位入賞を果たした実力者だ。
2009年以降、全身型水着の規制強化が進んだ中でも、その爆発的な加速力と後半の持久スピードで知られ、欧州選手権では複数のメダルを獲得してきた。
今大会では、彼自身が薬物使用と水着条件を公開し、「従来の限界を越える」と語った。
運営団体も記録映像と医師証明書を公表予定で、倫理的な是非は別として、事実面では高い注目を集めている。
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ゴロメーフは100mでも準決勝進出経験あり
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トップスイマーとして10年以上のキャリア
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ドーピング使用の自己責任発言が波紋を呼ぶ
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🧪 比較項目 | 🆚 内容の違い |
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ドーピング | 禁止(WADA基準) |
使用薬物 | 不使用/違反で失格 |
水着ルール | 全身型禁止(2009年以降) |
賞金制度 | 五輪では非公開(名誉重視) |
出場形式 | 国別代表戦 |
ドーピング容認に対する反応と議論は?
医師管理下での薬物使用は安全か?
エンハンスト・ゲームズの運営団体は、「薬物使用は医師の監督下で行う」としている。
具体的には、ステロイド系筋力増強剤やテストステロンなど、医療現場で合法的に使用される薬剤を、医師の処方と診断を経た上で競技前に投与し、そのデータを記録するという。
この制度は「人体実験ではないか」と批判される一方、「隠れて使うより、公開して使う方が安全で透明」と擁護する声もある。
しかし、世界反ドーピング機関(WADA)やIOCはこうした主張に反発。
「スポーツの公平性と選手の健康を損なう」と明言し、選手たちが自己責任で薬物を摂取するという思想そのものに警鐘を鳴らしている。
合法かつ安全に見えても、身体や精神への長期的な影響は未知数であり、複数の医学団体も慎重な立場を示している。
選手と社会の受け止め方は?
注目すべきは、選手たちの反応が一様でないことだ。
「記録を追求する自由があるべき」と語る現役アスリートもいれば、「正々堂々と努力した結果で勝負したい」として、出場を拒否する選手も少なくない。
一方で、SNSなどでは「どうせ裏で使っているのなら、公開したほうがフェア」という意見が一定数存在し、“透明性”を評価する声もある。
それでも、「薬物を使って競う姿は子どもに見せられない」「スポーツの価値を壊す」とする批判も根強く、倫理と進化のせめぎ合いが続いている。
🔸医療的視点からのリスクとは?
WADAは、「競技を超えた人体影響を無視してはならない」と強調し、たとえ医師管理下であっても、選手が薬物に依存する心理的傾向や、長期的なホルモンバランスの乱れを指摘している。
また、世界医師会も2025年に声明を発表し、「競技目的での医薬品使用は、医学的正当性を欠く」と明確に反対の立場を示した。
現場のスポーツドクターからは、「自己選択の時代だとしても、“より強くなるための医療”は倫理的な境界を曖昧にする」との声があがっている。
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テストステロン使用で鬱症状の事例も報告
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医療界の学会誌では賛否が分かれている
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スポーツと医療の境界線が再定義されつつある
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ここで注目したいのは、「自由な競技」と「制限のある競技」は、果たして同じ“スポーツ”と呼べるのか、という点です。
文化・医療・倫理の視点から、この“エンハンスト・ゲームズ”の可能性と危うさを多面的に見ていきましょう。
エンハンスト・ゲームズの未来は?
世界標準となりうるのか?
大会主催者のデスーザ氏は、「これは人類の文化そのものを変革する試みだ」と語る。
記録だけを追求する“進化系競技”として、彼はこの大会を「通常のスポーツとは別カテゴリ」と定義し、オリンピックとの比較対象にすらしないと主張する。
実際、現在のスポーツ界では、LGBTQ+対応や男女別の在り方、AI・ウェアラブル技術の活用など、多様な変化が同時進行している。
その中で、ドーピング解禁の「もう1つの選択肢」として、“分岐した未来”として容認される可能性はゼロではない。
これから私たちが考えるべきことは?
しかしその未来には、重大な問いが残る。
それは「限界を超えること」と「競争の価値」をどう結びつけるか、という根本的な問いである。
記録を出す手段がどんなものであってもいいのか。
努力の定義や公平性は、どこまで許容されるのか。
私たちの目の前には、明らかに新しいスポーツの可能性がある。
だがその可能性を受け入れることが、本当に“進化”なのか、それとも“退化”なのか――今、問われているのは私たち自身の価値観である。
✅ 見出し | ▶ 要点(1文) |
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医師管理薬物 | 薬物使用は医師の管理下で実施される |
安全性論争 | 医療界・WADAはリスクと倫理性を懸念 |
社会の声 | 自己責任 vs 倫理的懸念の意見が交錯 |
未来の方向 | 透明性と自由の名の下、分岐した競技像が登場 |
🔁ドーピング容認大会における議論
① 薬物使用を認める方針発表
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② 医師管理下での使用制度説明
↓
③ WADA・IOC・医療団体から反対声明
↓
④ SNS・選手間で倫理論争発生
↓
⑤ 「自由な進化」か「スポーツ破壊」かの二極論へ
↓
⑥ 2026年大会の実施で世界的議論へ拡大
「強さとは、薬物によって得られるものだろうか?」
ゴロメーフが見せた20.89秒のタイムは、驚異的な数値だ。だが、それは本当に「人類の記録」なのだろうか?
薬物を使うことで飛躍する記録、そこに賭ける人間の姿勢に、私は一種の恐怖と憧れを同時に感じる。
禁じられていた扉を、わざと開けてみせる。その行為そのものが、スポーツを“芸術”に変えたのかもしれない。
だが同時に、私たちが失うものも大きい。
競技の尊厳、公平性、子どもたちの憧れ…。それでも、もし「自由な進化」に賭けるというなら、我々は覚悟を持って、その先にある“未知の文化”を受け止めなければならない。
✅ 見出し | ▶ 要点(1文) |
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大会の概要 | ドーピング容認の競技大会が初開催へ |
記録の更新 | 薬物使用下で記録更新を主張する事例も |
倫理的論争 | 公平性・健康リスク・教育的影響への懸念 |
未来の行方 | スポーツ文化の分岐点として注目されている |
❓FAQ
Q1. エンハンスト・ゲームズではなぜ薬物使用が認められるの?
A1. 「医師の監督下であれば安全」と主張されており、自己責任と透明性を重視した設計です。
Q2. 本当に世界記録は更新されたの?
A2. ゴロメーフ選手が全身水着+薬物使用で20.89秒を記録し、記録更新を主張していますが、公式記録ではありません。
Q3. IOCやWADAはどう反応している?
A3. 強く反発しており、「公平性と倫理に反する」として容認していません。
Q4. なぜトランプ氏の長男が支援しているの?
A4. トランプ・ジュニア氏は出資支援を表明しており、政治的・社会的な影響も見込まれています。
Q5. 今後、同様の大会が増える可能性は?
A5. 社会的議論の拡大次第ですが、“選択肢のひとつ”として定着する可能性も議論されています。