フジ系NSTに
裏金指摘
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NST新潟テレビで11億円所得隠し発覚
信頼を根幹とするテレビ局に、衝撃の報道が走った――。フジテレビ系列のNST新潟総合テレビが、6年間にわたって約11億円もの所得を隠し、東京国税局から重加算税を含む約4億円の追徴課税を受けていたことが明らかになった。公共性の高いメディアの裏で何が行われていたのか。架空CM発注による裏金づくりと接待の実態、そして視聴者や広告主に与える影響を検証する。
見出し | 要点内容 |
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所得隠しの概要 | 2017〜2022年に約11億円を申告せず、約4億円を追徴課税 |
架空CM発注と裏金の流れ | 架空の広告代理店取引でCM制作費を水増し、不正流用 |
接待・私的流用の内容 | 営業部門による接待や飲食費などに裏金を活用 |
NSTの対応と謝罪 | 「深く反省し再発防止に努める」とコメントを発表 |
NSTはなぜ所得隠しを行ったのか?
CM制作費を偽装していた実態とは?
NSTは、地元企業とのCM取引に関して、実態のない架空の広告発注を行い、経費として計上していたとされる。これは取引先の広告代理店と共謀し、CM制作費を水増しする形で発注。表向きは正規の広告費に見せかけつつ、差額が裏金として社内にプールされていたという。
この「架空取引」は、地元の中小企業を対象とした比較的少額の案件を利用することで、社内外の目をかいくぐっていたと見られる。こうした構造は、全国のローカル局における“慣習的グレーゾーン”を想起させる。
裏金接待の構図とその常態化
国税局によると、営業部門の一部職員がこの裏金を活用し、広告主への接待や飲食代などに充てていたとされる。帳簿上は「外注費」や「取材協力費」などとして処理されており、実際の支出先は記録されていなかった。
さらに問題を深刻化させているのは、その支出が“社内でも黙認状態にあった”という証言だ。一部幹部がその存在を把握しながらも、営業成績の維持を優先し、容認していた可能性が指摘されている。
重加算税が課された理由(仮装・隠蔽)
通常の申告漏れとは異なり、今回の追徴課税には「重加算税」が含まれている。これは仮装・隠蔽とみなされた悪質な所得隠しに対して課される処分で、裏帳簿の存在や二重処理の痕跡などが確認された場合に適用される。
フジ系列局としての連帯責任問題
NSTはフジテレビ系列の地方局の一つであり、番組供給・技術支援を受けながら運営されている。今回の不祥事がフジネットワーク全体の信用に波及する可能性が高い。とくに全国スポンサーとの信頼関係は、今後大きな試練を迎えることになるだろう。
✅キー局とローカル局の収入構造
テレビ局の経理制度は、番組制作や取材活動などの名目で、外注費や制作費が複雑に流動する構造を持っている。とくにローカル局では、限られた人員で複数の業務を兼務することが多く、チェック体制が脆弱になりがちだ。
さらに、営業成績が局全体の予算に直結するため、営業部門が過剰に“自立的な判断”を行う土壌が生まれやすい。これが裏金や私的支出への温床となり、外部からは見えにくい「内部の闇」を形成してしまった。
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広告営業と制作が同一部門で運用されているケースが多い
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経費のチェックが人手依存のため、抜け道が存在しやすい
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広告主との“なあなあ”な関係が温存されやすい構造
信頼失墜の波紋はどこまで広がる?
視聴者離れ・スポンサー離れへの影響
NSTの経理不正が公表されて以降、SNSでは視聴者からの批判が相次いでいる。「テレビは信用できない」「広告費の使われ方を明確にすべきだ」といった声が多く、報道機関に対する信頼の低下が顕著に見られる。
特に注目すべきは、広告主の動向だ。広告費の配分は信頼性に大きく左右されるため、NSTと取引する企業の中には、一時的に広告出稿を見合わせる動きもあるという。視聴率と広告費の相関関係を考えると、今後の事業継続性に影響を与える可能性は高い。
このような事態が連鎖すれば、地方局の体力では立て直しが困難になる。「報道機関」でありながら「営利企業」であるテレビ局の二重構造が、いま試されている。
再発防止策は信用回復に繋がるか?
NSTは事件発覚後、社内に第三者委員会を設置し、経理体制と内部監査の強化を打ち出した。だが、その具体性は乏しく、視聴者にとって納得のいく説明には至っていない。
一方、BPO(放送倫理・番組向上機構)は本件について調査を開始しており、放送倫理違反に発展する可能性もある。もしそうなれば、局の信用は長期的に失墜し、スポンサーや制作会社も離れていくリスクがある。
信用の再構築には、表面的な制度改革ではなく、トップダウンでの行動変革と報道姿勢の明確化が不可欠だ。
平日平均視聴時間の減少と広告費の逆転構造
近年、平日のテレビ視聴時間は10代〜30代を中心に大きく減少しており、ローカル局の広告費収入も右肩下がりだ。
スマホシフトにより、YouTube広告やSNS広告に企業が予算を移す流れが加速している。NSTのような地方局は、ただでさえ限られた収益構造の中で、このような不正が命取りになりかねない。
✔NSTの裏金構造と信頼失墜の因果関係
CM架空発注 → 制作会社が返金 → NSTが裏金としてプール
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裏金を使って接待や社内交際費に流用
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税務調査で発覚、国税が重加算税を課税
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視聴者の不信 → 広告主離脱 → 経営不安定化
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BPO・放送倫理調査へ → 信頼失墜の連鎖
視聴者にとってテレビは「情報を得る窓口」であり、信頼の源でもあります。その存在が裏金に関与していたという事実は、「報道」と「商業」がいかに危ういバランスで成り立っているかを示しています。
私たちは今、報道を見る視線そのものを更新すべき時を迎えているのかもしれません。
NSTは説明責任を果たせるのか?
経営陣の責任と透明性への課題
今回の事件で最も責任が問われるべきは、経営陣の統治能力の欠如である。
現場担当者の処分だけで幕引きを図るようでは、信頼は回復しない。
テレビ局は視聴者の信頼を基盤に成立する企業である以上、説明責任は不可欠だ。
それが果たされなければ、報道機関としての存在意義さえ疑問視される。
報道機関としての倫理と矛盾
事件を伝える側が、事件の当事者となった今。
「報道の自由」は「報道の責任」と裏表の関係にあることが、改めて浮き彫りになった。
報道機関が組織ぐるみで不正を隠していたとすれば、それはもはや報道ではなく「広報」に堕したとさえ言える。
NSTが果たすべきは、自らの過ちを自らの言葉で語ること。そこにのみ、再出発の道がある。
✔公共性を持つ「メディア」の原点とは何か?
公共の空間において、誰かが「語る」ことの責任は重い。
ましてそれが“真実”を語る者であるならば、それはもはや重力のような宿命だ。
NSTの事件は、「報道とは誰のためにあるのか?」という問いを突きつけた。
私たちは日々、無数の情報に晒されながらも、選び取る力を持たない。だからこそ、報道機関が「正しさ」から逸れた瞬間、その影響は深い闇をもたらす。
説明責任とは言い換えれば、「語る者」がその重さを受け止める覚悟を問われる儀式だ。
NSTはそれを逃げずに遂行できるのだろうか。
✔【FAQ】
Q1:NSTはどのような処分を受けたのですか?
A1:国税局より重加算税を含む約4億円の追徴課税を受けました。
Q2:CM制作会社は関与していたのですか?
A2:一部制作会社が裏金に協力し、差額を現金で返金していたとされています。
Q3:視聴者に対する影響はありますか?
A3:報道機関としての信用が低下し、番組離れや視聴率の下落が懸念されます。
Q4:この件は刑事事件には発展しないのですか?
A4:現時点では脱税での刑事告発はなく、行政指導にとどまっています(2025年6月時点)。
Q5:フジテレビ本体への影響は?
A5:フジ系列としての管理体制への疑問が生じており、他局にも波及する恐れがあります。