群馬県前橋市で介護施設職員の女性（49）が首などを複数箇所刺される事件が発生。警察はその場にいた男（47）を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。犯行は待ち伏せによる計画的なもので、2人には面識があったとみられる。動機や背景、施設周辺の防犯体制の課題とは。
介護職の女性が
刺され重傷
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前橋市の住宅街で女性職員が襲撃される事件が発生。現場で何があったのか、捜査は今も続いている。
現場で何が起きたのか？
2025年6月4日午後7時すぎ、群馬県前橋市小坂子町の住宅街で、「男性が女性を刺している」との通報が寄せられた。駆けつけた警察と消防が目にしたのは、首などを複数箇所刺され、路上に倒れていた49歳の女性だった。通報者は通行中の女性で、その場の緊迫感が伝わる通報内容だったという。現場は住宅や施設が並ぶ地域で、周囲にはまだ人の気配が残る時間帯だった。
被害者は、近隣にある介護老人保健施設に勤務する女性職員で、事件当時、勤務を終えて施設から出た直後だった。突然現れた男が包丁を持って近づき、無言で襲いかかったとみられている。首や上半身を狙ったとされる刺傷は数箇所に及び、明確な殺意がうかがえる凶行だった。女性は意識不明にはならなかったが重傷で、現在も病院で治療を受けている。
警察は現場近くにいた岸耕一容疑者（47）を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。容疑者は警察の取り調べに対し、「殺そうと思って切りつけた」と容疑を認めている。凶器の包丁もその場で押収され、計画的な犯行の可能性が浮上している。現場からの逃走はなく、岸容疑者は落ち着いた様子で逮捕されており、抵抗や混乱の兆候は見られなかったという。
なぜ犯行は未然に防げなかったのか？
この事件において注目されるのは、防犯体制と地域の安全性の観点だ。被害者は勤務を終えて外に出た直後に襲われており、施設の出入口からすぐの場所で事件が発生している。つまり、容疑者は出てくるタイミングを把握したうえで待ち伏せしていたと考えられる。通勤経路や生活パターンを事前に調査していた可能性もある。
施設の防犯体制・勤務ルート
介護施設では多くの職員が交代制で勤務しており、終業時には施錠や見送りなどで多少の動きがあるはずだ。しかしこの事件では、容疑者がその隙を突いて接近し、職員が出た瞬間に襲撃している。防犯カメラの死角や、照明の少ないエリアが狙われた可能性も否定できない。
類似のケースと背景
過去にも介護・医療現場に勤務する女性が、勤務後に待ち伏せされる事件が報告されている。相手との人間関係や一方的な思い込み、恨みなどが動機に発展するケースもあり、今回の事件も容疑者と被害者の間に一定の面識があったとされる。警察は経緯と接点を中心に捜査を進めている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被害者 | 女性（49）／介護老人保健施設勤務／勤務直後に被害 |
| 容疑者 | 男性（47）／市内在住／供述で犯意を認める／凶器を所持 |
この事件が与えた衝撃は、被害者の職場関係者や近隣住民に広がっている。高齢者介護を担う立場の女性が突然襲われたという事実は、施設の職場環境や地域の防犯意識にも影響を及ぼす可能性がある。
介護現場は人手不足や長時間勤務といった課題を抱えている一方、外部からのリスクに対する備えは必ずしも万全とはいえない。今回の事件を契機に、終業時の見送り体制や職員の帰宅ルートの安全確認など、施設全体のセキュリティ見直しが求められるだろう。
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職場から自宅までのルートに対するリスク評価
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退勤時の安全同行や照明設備の強化
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通報システムと連携した警察の巡回強化
なぜ容疑者は犯行に及んだのか？
岸耕一容疑者（47）は、前橋市内に住む無職の男だった。逮捕直後、彼は「殺そうと思って切りつけた」と供述し、捜査関係者を驚かせた。供述内容は非常に明確で曖昧さが少なく、事前に犯行を想定していたと見られている。特に、女性が施設から出てくる時間帯を待ち伏せていたことからも、無差別ではなく“狙いを定めた犯行”だったことがうかがえる。
警察の調べによると、2人は過去に面識があったとされている。知人か、過去に施設と何らかのかかわりがあったのか、詳細はまだ公表されていないが、容疑者の一方的な思い込みや恨みによる動機の線が強い。SNSや施設周辺での目撃証言などから、容疑者は数日前から現場を下見していた可能性も出てきている。
また、犯行時に容疑者が持っていた包丁は自宅から持参したもので、突発的に近所の店で購入した形跡はなかった。これらの点からも、感情の爆発による瞬間的な暴走ではなく、計画的な犯行だったと捜査関係者はみている。今後の焦点は、容疑者の過去の交友歴と、施設職員との関係性の詳細解明に移っている。
