滋賀県豊郷町の量販店で、レジ係として勤務していた44歳の派遣社員の女が、金庫から現金約7500万円を30回以上にわたり盗んだとして再逮捕された。女はSNS型投資詐欺に遭い、被害の補填目的で金を抜き取ったと供述している。
レジ係の女が
7500万円窃盗か
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滋賀県豊郷町の量販店で、レジ係チーフとして働いていた44歳の派遣社員の女が、金庫から売上金などおよそ7500万円を窃盗したとして再逮捕されました。女は投資詐欺の被害を受け、その補填のために犯行に及んだと供述しており、県警は犯行の全容や資金の流れについて慎重に調べています。
女はなぜ7500万円もの金を金庫から盗めたのか?
犯行の手口と職務上の立場
逮捕された派遣社員の女は、量販店でレジ係のチーフを務めていました。この立場を利用し、売上金を保管していた金庫の管理にも関与していたとされます。金庫の暗証番号や運用ルールについてもある程度の知識があり、正規の操作を装って現金を持ち出していた疑いがあります。
金庫からの窃盗は少額を分散させる形で繰り返され、期間はおよそ3か月間。1回あたり数十万円から数百万円と見られ、合計で7500万円にのぼりました。発覚を遅らせるために帳簿操作なども行っていた可能性もあり、警察は業務上の詳細を調べています。
内部関係者による“積極的犯行”の背景
女は取り調べに対し「SNS型投資詐欺に騙され、その損失を補填するために盗んだ」と供述しています。金銭的に追い詰められた状況と、職務上のアクセス権限が重なり、大きな動機と手段が一致してしまった結果といえます。
再逮捕の背景と“2段階の犯行”
女はすでに2025年5月、同じ店で現金250万円を盗んだ容疑で一度逮捕されていました。その捜査過程で、より大規模な不正取引が明らかとなり、今回の再逮捕につながりました。今回の逮捕で確認された金額はその30倍にのぼり、継続的な窃盗であった可能性が濃厚です。
この間、勤務先からの信用を維持し続けていた女の行動は周囲にも発覚しにくく、金額が膨らむまで時間を要したと見られます。SNS詐欺の被害額やその詳細は明かされていませんが、虚偽の投資話などで高額を騙し取られた可能性があります。
県警は今後どこまでを捜査対象とするか?
今回の7500万円の着服は氷山の一角との見方もあり、過去にさかのぼって帳簿や入出金記録の精査が行われています。また、女が詐欺被害の補填を名目にした供述をしている点についても、信憑性が問われています。
警察は女が盗んだ金をすべて詐欺被害の穴埋めに使ったかどうか、確認を急いでいます。生活費やその他の用途に使われた形跡もあるとみられ、実際の資金の流れを追うことで、余罪の可能性も浮上してきました。
また、勤務先の量販店では再発防止のため、金庫管理体制の見直しや帳簿と防犯カメラの照合強化が進められています。
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金庫管理と現金出納のダブルチェックを導入
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レジチーフと別に監査担当者を設置予定
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投資詐欺や個人金融相談への教育強化
項目 | 今回の事件 | 一般的な社内横領事件 |
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被害額 | 約7500万円 | 数百万円規模が多数 |
犯行期間 | 約3か月間 | 数年かけた事例が多い |
動機 | 投資詐欺の補填 | 借金・生活苦・ギャンブルなど |
逮捕のきっかけ | 同一店舗での先行犯行 | 通常は内部告発や定期監査 |
なぜ派遣社員の女は“誰にも気づかれず”金を抜き続けられたのか?
仕組みの隙と人間関係の盲点
派遣社員でありながらレジ係チーフという役職に就いていた女は、実質的に現場の金銭管理を一手に担っていました。金庫の操作や売上金の集計において、2人以上のチェックが必要な体制が取られていなかったことが、長期にわたる犯行を可能にしました。
さらに、店舗運営の現場では「人柄の良さ」や「勤続年数の長さ」などから信頼が形成されやすく、心理的チェック機能が働きにくくなる傾向があります。今回の事件でも、同僚らが「まさか、あの人が」と驚きを隠せなかった背景には、こうした信頼の錯覚があるといえます。
項目 | 要点 |
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犯行手口 | レジチーフとして金庫を管理、少額ずつ抜き取り |
発覚の遅れ | ダブルチェック体制が不在、人間関係に油断 |
金の流れ | 投資詐欺の補填と供述、生活費にも使用か |
余罪の可能性 | 再逮捕後に判明、さらに被害額が拡大する恐れ |
警察は今後、勤務先の量販店の管理体制そのものにも監督責任があった可能性があるとして、関係者から事情を聴いています。今回のように「派遣社員が中心を担う構造」は、コスト重視の小売業界にとって珍しくありませんが、それゆえに盲点が生まれるリスクも高まります。
今後、類似のリスクを回避するためには、最低限の金銭管理における分散責任と、帳簿と現金を照合する際の複数チェック制の導入が求められます。
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派遣社員の業務範囲の見直し
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金庫業務に2名体制の導入
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定期的な金銭監査の実施
犯行発覚までの流れと原因構造
【派遣社員として勤務】
↓(業務権限あり)
【レジ係チーフとして金庫にアクセス可能】
↓(売上金の管理情報を把握)
【約3か月間で30回以上にわたって現金抜き取り】
↓(不正が発覚しにくい隙を狙う)
【被害額が累計7500万円に】
↓(SNS型投資詐欺での損失補填が目的)
【金庫内の金を私的流用】
↓(2025年5月に先行逮捕/再捜査)
【6月、巨額窃盗容疑で再逮捕】
この事件は“現代の雇用構造と信用”に何を問いかけるのか?
雇用の柔軟化がもたらすリスクと代償
この事件は、コスト重視で雇用の柔軟性を高めてきた小売業界の「制度疲労」を浮き彫りにしました。非正規や派遣社員であっても責任あるポジションを担うようになった現代では、「役割と信頼」が必ずしもイコールではなくなっています。
つまり、形式的な肩書や契約形態ではなく、「現場で何が任されているか」が犯罪リスクを左右する時代なのです。
信用は“見せかけ”でも、“脅威”にもなる
人材不足の中で、企業は「信頼されているから任せる」「人がいないから任せる」を混同しがちです。今回の事件で女が“まじめで気遣いもできる人物”と見られていたことは、むしろ犯行を隠すための仮面になってしまいました。
一見、信頼が築かれているように見えても、それが“ノーチェック”という名の温床になりうる現実。この構造的課題は、どの職場にも潜在している問題です。
「信頼されていた人が裏切るとき、人は初めて“信頼とは何か”を問うようになる。だが、本当に問うべきなのは“なぜその信頼が放置されていたのか”だ。人手不足も、構造疲弊も、すべては現場の甘えと制度の歪みがつくりだした虚像だったのではないか。私たちは、安易な信頼の連鎖にどこまで気づけているだろうか?」
この事件を通じて、読者が意識すべき視点は「金を盗んだ個人の異常性」よりも、「それを可能にしていた構造と無警戒さ」です。仮にあなたの職場にも、1人で現金や情報を管理している人がいるとしたら――それは“信頼”でしょうか、それとも“リスク”でしょうか?
【FAQ】
Q1:なぜ女は派遣社員なのに金庫を管理していたの?
A1:人員不足と業務慣習から、レジ係チーフという肩書きのもと実務的に任されていたとみられます。
Q2:盗んだ金は全額詐欺の補填に使ったの?
A2:供述上はそう語っていますが、生活費にも使った形跡があり、警察が使途の詳細を調査中です。
Q3:量販店の責任は問われる?
A3:管理体制の不備が明らかになれば、改善命令や社内処分の対象となる可能性があります。
Q4:今後、他店舗でも類似の事件が起こりうる?
A4:十分にありえます。チェック体制や職務分担の明確化が急務です。