ミスタードーナツの新商品「もっちゅりん」がSNSで話題沸騰。発売直後から売り切れが相次ぎ、ミスドが公式に謝罪と対応策を発表。一部店舗では販売個数や時間を制限する異例の対応に。人気の背景から企業の信頼戦略までを構造的に解説。
売り切れ続出
ミスド新作もっちゅりん
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ミスタードーナツが6月4日に発売した新作ドーナツ「もっちゅりん」。創業55周年を記念した限定商品でありながら、全国の店舗で売り切れが続出し、公式サイトが異例の謝罪を行う事態へと発展した。SNSでは「買えない!」「いつ行ってもない」といった声が相次ぎ、ミスド側は販売時間や個数を絞る対応を迫られている。“55年目の新食感”とまで称されたそのドーナツに、なぜこれほどまでの熱狂が巻き起こったのか――背景を紐解く。
なぜ「もっちゅりん」は売り切れが続出したのか?
いつ・どこで発売されたのか?
ミスタードーナツの「もっちゅりん」は、同社の創業55周年を記念した特別商品として2025年6月4日より全国で販売が開始された。種類は全4種類で、「きなこ」「みたらし」「あずき」「さくら」といった和の素材をテーマに構成されており、日本人の味覚に寄り添う仕上がりだった。価格帯は1個140〜160円台と手頃で、店舗ごとに販売開始時刻が異なる形で展開された。
その販売初日から異変が起きた。「午前中で全種類完売」「3軒回っても買えなかった」など、SNS上には入手困難を嘆く投稿が殺到。多くの店舗で開店後すぐに売り切れる状態が続き、「幻のドーナツ」として熱狂が広がっていった。
なぜこれほど注目されたのか?
背景には、商品名にも込められた“もっちゅり”という新食感への期待がある。かつての「ポン・デ・リング」とは異なる食感として、もちもち感としっとり感が両立する独自の生地が開発され、従来のドーナツとの差別化に成功した。また、発売前からテレビCMやSNSキャンペーンを通じて“新・看板商品”としての期待値が高められていたことも、需要爆発の一因となった。
さらに、発売タイミングも絶妙だった。梅雨の合間の晴れ間、冷たいドリンクと合わせて楽しめる季節性、そして“限定販売”という言葉が希少性を高め、爆発的な人気へと火をつけた。
和素材×新食感という魅力とは?
従来のドーナツが油脂の濃さや甘さで勝負していたのに対し、「もっちゅりん」は和風のあっさり感を重視。もち粉をベースとした生地に、きなこやあずきなどの優しい甘さが加わり、口当たりも軽やかだった。「どこか懐かしいのに新しい」「和菓子のようなドーナツ」という声も多く、年齢層問わず広い支持を集めた。
SNS上では、発売後すぐに“争奪戦”ともいえる現象が起きていた。X(旧Twitter)では「#もっちゅりん難民」というタグが自然発生し、「買えたら奇跡」「5軒目でようやく見つけた」といった報告が次々と投稿された。SNSのバズによる「話題の乗り遅れたくない」という心理も、多くの人をミスドへと向かわせたと考えられる。
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「もっちゅりん食べたいのに全滅」「朝イチで並ばないとムリ」など悲鳴多数
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Instagramでは「断面萌え」写真がトレンド化し、購買意欲を刺激
要素 | 従来人気商品(ポン・デ・リング) | 新商品(もっちゅりん) |
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生地の特徴 | 弾力あるもちもち感 | 弾力+しっとり感の融合 |
味の系統 | 甘み強め(グレーズ主体) | 和風素材(きなこ・みたらし等) |
消費者層 | 10〜30代中心 | 10〜60代まで幅広く反応 |
入手難易度 | 通年販売・安定供給 | 限定販売・売り切れ続出 |
ミスタードーナツの対応策とは?
謝罪と公式声明の内容は?
「もっちゅりん」がSNSを中心に瞬く間に話題となり、発売直後から一部店舗では午前中に完売する事態が相次いだ。この反響に対し、運営元のダスキンは6月10日、公式サイト上に謝罪文を掲載。内容は「品切れが発生していることを深くお詫びいたします」とのもので、想定を超える反響に企業側も対応が後手に回ったことを認めた形だ。
この謝罪文では、「楽しみにしていたお客様にご迷惑をおかけしております」という言葉が強調されており、購買機会を逃したファンへの配慮を示す姿勢がうかがえる。また、文中では「より多くのお客様に提供できるよう努める」とし、安定供給への努力も明言された。
背景として、ミスタードーナツの期間限定商品には、これまでも予想以上の売れ行きに生産・供給が追いつかないケースがあった。しかし今回の「もっちゅりん」は、その規模がさらに広範囲であったことが特徴的だ。全国的な売り切れの声とともに、ファンの間で「都市伝説化」すらし始めていたのである。
販売個数制限・時間指定の背景は?
謝罪だけでなく、実際の販売現場でも対応策が講じられている。公式発表によれば、「一部店舗においては販売時間や販売個数を限定して対応しております」とのこと。具体的には、「午前と午後で販売時間を分ける」「一人あたり2個まで」などの制限が実施されている。
このような販売制限は、希少性の演出だけでなく、購入チャンスの公平性を保つためでもある。また、店舗スタッフの負担軽減や混乱防止にも繋がる策として、多くの店舗で共通して導入されている点が注目される。
この対応が効果的だったのかについては、現時点で明確な結論は出ていないが、少なくとも「謝罪」+「制限対応」の二軸での施策が展開されている事実は、企業としての危機管理意識が強まっている兆しでもある。
SNS時代におけるヒット商品の爆発的拡散は、時に“過剰需要”という形で企業の供給体制を突き破る。今回の「もっちゅりん騒動」はまさにその典型で、謝罪に至った要因のひとつには「供給見積もりの甘さ」もあったといえる。裏を返せば、それだけ“もっちゅりん”が魅力的であった証左でもある。
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販売制限は“配慮”と“混乱防止”の両面対応
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SNS起点の話題性が流通計画を上回った
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「謝罪+実務対応」の2段構えが企業の信頼構築を左右
もっちゅりん発売
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想定以上の売れ行き
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各店舗で売り切れ続出
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SNSで炎上・拡散
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ダスキンが公式謝罪
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販売制限(個数・時間)開始
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対応継続と供給体制の見直し中
“もっちゅりん現象”は何を映し出すのか?
消費者の欲望とSNSの拡散力
この“もっちゅりん旋風”は、現代の消費構造そのものを映す鏡だ。SNSの短時間拡散力、限定商品の希少価値、そして「早く食べたい」という焦燥感が混ざり合い、1つのドーナツが社会現象的な話題を生んだ。
いわば、これは現代型“フードフェティシズム”のひとつの形である。もっちゅりんの見た目、語感、写真映え。すべてが「拡散されやすさ」を備えていた。そして、タイムラインに並ぶ“完売報告”が、購買意欲をさらにあおる逆説的効果となった。
企業の謝罪戦略は信頼を取り戻すか?
ブランドは危機でこそ真価が問われる。今回、ミスタードーナツはただ謝罪を出すだけでなく、「販売時間と個数を制限する」「対応継続を宣言する」など、実務的な戦術と丁寧な広報のバランスをとった点が評価できる。
とはいえ、今回のような“急激な話題化”に備えるためには、事前の供給リスクマネジメントや需要予測の精度が、より問われる時代に入ったことを意味している。
一つのドーナツが、これほどまでに社会をかき乱す時代。
美味しさではなく、“話題にされること”が新しい価値基準になった。
企業は謝る。買えなかった人は怒る。だが、誰も本気で“ドーナツだけ”の問題だとは思っていない。
むしろその裏には、「いつでも買える安心」や「無意識の優越」が隠れている。
もっちゅりんは問いかけている。私たちはいったい、何を欲していたのだろう?
甘さか、体験か、物語か。それとも、誰かに“持っている”と見せる自分か。
「企業対応」と「SNS拡散」の狭間で揺れる現代消費。
読者として意識したいのは「話題になった商品に飛びつく前に、その背景構造を観察する視点」だ。買えなかった“悔しさ”は、情報環境が作り出した感情かもしれない。
【FAQ】
Q1. もっちゅりんは今後再販される予定はありますか?
A. ダスキンからは現時点で明確な再販告知はありませんが、「一人でも多くのお客様に届けたい」という声明が出ているため、一定の再生産は見込まれます(調査中)。
Q2. 全4種の種類は?
A. 「きなこ」「みたらし」「あずき」「黒ごまきなこ」の4種類で、すべて和風テイストです。
Q3. 通販での購入は可能?
A. ミスタードーナツの公式通販では、もっちゅりんの取り扱いは現在ありません(調査中)。
Q4. 今回の対応は過去の商品と比べてどう?
A. 人気商品が売り切れた際に謝罪と販売制限を同時に行うのは過去にもありましたが、ここまで大規模な謝罪発信は異例です。