フィギュアスケート界のレジェンド浅田真央さんがコーチ業に本格始動。「木下MAOアカデミー」を設立し、5〜9歳の子どもたちを対象に直接指導を開始します。氷上トレーニングに加え、バレエや新体操を組み合わせた独自カリキュラムで未来のスケーターを育成。MAOイズムが次世代に受け継がれます。
浅田真央が
コーチ始動
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フィギュアスケート界に再び新たな風が吹き始めた。
10年バンクーバー五輪で銀メダルを獲得し、プロ転向後も全国ツアーなどで注目を集めてきた浅田真央さんが、いよいよコーチとしての一歩を踏み出す。
自身の名を冠した「木下MAOアカデミー」を立ち上げ、5〜9歳の若きスケーターたちに直接指導を行うと発表した。これは単なるスクールではない。浅田真央という象徴が、次の世代を育てる「場」としての決意を込めた本格育成拠点である。
【要約表】
見出し | 要点 |
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設立発表 | 2025年6月12日、都内で記者会見実施 |
アカデミー名称 | 「木下MAOアカデミー」 |
開校日・場所 | 2025年8月1日、東京都内(MAO RINK予定) |
対象年齢 | 5~9歳(25年4月1日時点)・男女不問で定員10名 |
なぜ浅田真央さんは今、指導者としての道を選んだのか?
いつ、どこで発表されたのか?
2025年6月12日、都内で開かれた記者発表会。
全身白のパンツスーツで登壇した浅田真央さんは、凛とした笑顔でこう語った。
「私は指導者として、新たな一歩を踏み出します。スケーター一人ひとりと向き合い、丁寧に指導していきたいと思います」
この日発表されたのは、木下グループとの共同設立による「木下MAOアカデミー」の開校だ。開校日は8月1日。拠点は東京都立川市に昨年オープンした「MAO RINK TACHIKAWA TACHIHI」とみられる。
この場で彼女は、育成者としての第一歩を、強い覚悟とともに示した。
どのようなプログラムが実施されるのか?
同アカデミーは、単なる技術指導の場ではない。
浅田さん自身が構想し、3つの柱として打ち出した育成方針が注目されている。
1つ目は、浅田真央さん本人による直接指導。これは単なる「顔出し」ではなく、練習リンクでともに滑り、技術だけでなく姿勢やマインドまで指導するスタイルになるという。
2つ目は、氷上だけでなく、バレエ・ダンス・新体操・陸上トレーニングなどを融合した独自プログラム。これは「表現力」と「基礎身体能力」の両立を狙った設計で、従来のスケート教室との差別化ポイントとなる。
3つ目は、選手のレベルに応じた奨学金制度の導入。家庭の経済事情に関係なく才能ある子どもを応援する仕組みだ。浅田さん自身が「支えられたからこそ滑れた」と語るように、この制度にも強い思いが込められている。
応募条件と選考プロセス(補足)
募集は2025年6月30日まで、専用ホームページにて受付。
対象は「25年4月1日時点で5~9歳の児童」で、スケート経験の有無は問わないが、基礎滑走力や柔軟性などを考慮し、選考は実技も含めて行われる予定。
定員は10名程度と限られ、「少人数で丁寧に育てる」方針が貫かれている。
会場に笑いを誘った「ハーフ、ハーフ」の名言
質疑応答で「プロ活動はもうやめるのか?」と問われた浅田さんは、「今のところ、ハーフ、ハーフです。久しぶりに言いたかったので(笑)」と語り、会場に柔らかな笑いが広がった。
2014年のソチ五輪帰国後の会見でも同様に使われたフレーズで、彼女らしいユーモアが垣間見える一幕だった。
✅これまでの「浅田真央プログラム」と今回のアカデミーの違い
過去の活動(例:サンクスツアー、BEYOND) | 木下MAOアカデミー |
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全国巡回型エンタメ要素中心 | 固定拠点での本格育成指導 |
自身の表現・演出が主体 | 子どもへの指導と育成が目的 |
一般観客向けのショー構成 | 少人数制で競技志向のトレーニング |
プロスケーターとしての表現追求 | 指導者としての哲学と継承 |
✅プロから指導者へ、浅田真央が紡ぐ新たな物語
2017年に競技生活から引退し、プロスケーターとして舞台を変えて活躍してきた浅田真央さん。
「浅田真央サンクスツアー」や「BEYOND」では、全国の観客に夢と感動を届ける存在であり続けた。
その活動の中で彼女が強く感じたのは、「次の世代へバトンをつなぐ」ことの責任だったという。
2024年に完成した自前のスケートリンク「MAO RINK」はその象徴だが、今回のアカデミー設立は、さらに一歩進んだ“人づくり”への本格的な挑戦となる。
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「プロ=表現者」から「コーチ=育成者」への役割転換
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自身が受けてきた支援を次世代に「返す」姿勢
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「MAO RINK」→「MAOアカデミー」へと進化する活動拠点の戦略的展開
木下MAOアカデミーの教育方針はどのようなものか?
どんな子どもを対象としているのか?
木下MAOアカデミーは、2025年4月1日時点で5~9歳の男女を対象とする少人数制のフィギュアスケート育成機関である。
「小さな才能を見逃さず、早い段階から丁寧に伸ばす」ことを主眼に置き、定員はわずか10名程度。これは“浅田真央流”ともいえる「寄り添う指導」の象徴でもある。
スケート経験の有無は問わず、応募は6月12日〜30日の期間、ホームページを通じて受付。選考は書類と実技の2段階で行われ、最終的に本人面接を行う予定だという。
プログラムの特徴は何か?
アカデミーが掲げる3本の柱は、単なる技術育成の域を超えている。
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氷上での直接指導に加え、バレエ・ダンス・新体操・陸上などを通じた総合的な身体づくり
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精神面のケアと生活習慣の指導
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各レベルに応じた奨学金制度の導入
さらに、学業との両立にも配慮し、登校時間帯や学期単位での柔軟なカリキュラムも検討されている。こうした点からも、「競技人生」だけでなく「人生設計」に寄り添う姿勢が見えてくる。
なぜフィギュア+バレエ・陸上なのか?
真央さんは過去インタビューで「スケートだけでは“美しさ”や“軸”は育たない」と語っていた。
その哲学が形となったのが、今回の複合型プログラムである。氷上の回転技術だけでなく、音楽表現や身体のしなやかさも重要視されている。
✅アカデミー入学からの育成ステップ
応募開始(6/12)
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書類選考+実技選考(6月下旬〜7月初旬)
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合格通知・入学手続き(7月中旬)
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8/1 入学・初回オリエンテーション
↓
月単位のトレーニング開始(氷上+陸上+芸術指導)
↓
半年ごとの成果発表会(非公開)
↓
段階評価による育成カリキュラム調整へ
次世代を見据える“浅田真央イズム”とは何か?
目指すのは「次のオリンピック」ではなく「その先」
木下グループの木下直哉社長が語ったように、「次の次の次のオリンピックを目指す選手を」という言葉に象徴されるように、MAOアカデミーのビジョンは長期的だ。
短期間で結果を出すのではなく、10年スパンで世界レベルの人材を育てる“育成志向”が全面に出ている。
プロスケーターとしてのキャリアはどうなるのか?
現在のところ、浅田さんは「MAOアカデミーとMAOクラブに全力集中する」と明言しており、プロ活動は一時休止と見られる。
「久々に言いたかった」と笑顔で返した「ハーフ、ハーフ」の名言も、今や彼女自身の“区切り”と“継承”を象徴するキーワードになっている。
✅指導とは、未来を託すこと
浅田真央さんが育てるのは、ただのスケーターではない。
「心」「体」「夢」をすべて受け止める“人間”としての基礎を育てようとしている。
少人数制にこだわるのは、その覚悟の表れだ。誰もが「真央さんに見てもらえる」という希望のもと、自分の未来を信じられる仕組みがここにはある。
浅田さんの眼差しは、氷上ではなく「未来」に向いている。指導者とは、いまを支える者であり、未来を託す者である——そんな哲学が、このアカデミーには流れている。
浅田真央さんの取り組みは、教育・育成・ジェンダー平等・地域再生など多くの社会的課題に波及し得る構想である。
特に「奨学金制度」や「教育機会の平等」という視点から見ると、次世代の教育論の実験場としての可能性を秘めている。
教育機関としてのモデルケースとなるか、今後の展開に注目すべきだ。
✅白いリンクに、哲学を描く女
浅田真央の人生は、氷の上で転び、立ち上がるその繰り返しだった。
誰もが称賛するジャンプよりも、誰も知らない裏の失敗と葛藤が、彼女を育ててきたのだろう。
そして今、彼女はリンクに「哲学」を置こうとしている。
それはメダルの数や技の難易度では測れない、“人間の深さ”を伝える場だ。
このアカデミーで育つ子どもたちは、単にスケートが上手くなるだけではない。
「真央さんと同じように、夢を信じ抜く力」を身につけていく。
白いリンクの上には、きっと哲学が滑っている。