広島県西部の公立小学校に勤務する61歳の男性教諭が、偽造した診断書や入院申込書を使って計19日間の特別休暇を不正取得していたことが判明。県教委はこの教諭を停職3か月の懲戒処分とし、他にも3名の教職員に対する処分を発表した。
偽造で特別休暇取得
小学校教諭に停職処分
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公的な信頼を背負う教員の不正行為がまたも発覚した。
広島県内の小学校に勤務する男性教諭が、医師の診断書や両親の入院申込書を偽造し、特別休暇を不正取得していたことが明らかになった。しかも、その書類はすべて自作だったという。
県教育委員会は、懲戒処分に踏み切るとともに、他の教員3人についても異なる不祥事で処分を発表。教育現場の倫理観に揺らぎが生じている。
見出し | 要点 |
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発覚日 | 2025年6月13日(県教委が公表) |
主な不正内容 | 医師診断書・入院申込書の偽造による特別休暇取得 |
処分対象 | 小学校男性教諭ほか計4人(全員懲戒処分) |
偽造期間 | 2023年10月〜2024年2月の計19日間 |
なぜ広島県の教員が懲戒処分を受けたのか?
どのような不正が行われたのか?
広島県内の公立小学校に勤務する40代の男性教諭が、2023年10月から2024年2月にかけて、合計7通の偽造文書を提出し、合計19日間の特別休暇を取得していた。
内容は、自らの体調不良を装った診断書や、両親の介護に関連する入院申込書など。実際には病院にかかっていなかったり、両親が入院していないにもかかわらず、書類には実在の病院名や医師名が記載されていた。
県教委によれば、書類はいずれも自宅のパソコンで作成されたものと見られ、印章も自作だったという。
男性教諭が提出した偽造文書の枚数と期間
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提出された偽造書類:計7通
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対象とされた休暇:特別休暇19日分
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偽造手法:実在病院の書式に似せたテンプレート+印章偽造
いつ・どこで問題が発覚したのか?
県教育委員会が調査を開始したのは、職場内からの通報が発端だったとされている。
不審に思った同僚が校内管理職に報告し、さらに市教育委員会を経て県教委に情報が共有された。
その後の内部調査で、休暇申請時の書類に不自然な点が多く見つかり、最終的には本人が偽造を認めたという。
広島県教委は2025年6月13日に記者会見を開き、懲戒処分とともに事実関係を公表した。
他にも処分された教員はいたのか?
今回の発表では、対象の男性教諭以外にも3名の教員が懲戒処分を受けている。内容は以下の通り:
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中学校教諭(40代):職場に無断で勤務せず、部活動にも不参加(戒告処分)
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特別支援学校教諭(30代):生徒への不適切な言動(減給処分)
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高校教諭(50代):校内備品の不正持ち出し(戒告処分)
いずれも公務員倫理に反する行為として県教委が厳正な処分を行ったとされている。
なぜ診断書や申込書の偽造は見抜かれにくいのか?
一般的に、教職員の特別休暇は上司の承認を経て付与されるが、提出された書類の真偽まで精査されることは稀だ。
特に、家族の入院や通院といった私的な理由を記した申請では、医師や病院に確認を取ることはプライバシー保護の観点からも慎重にならざるを得ず、結果として“見逃しやすい構造”があるとされる。
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医師の名前・病院名に見覚えがあると信用しがち
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押印の真贋を現場で見抜く手段が限られる
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現場では「申請されたら受け入れる」風土がある
比較項目 | 今回のケース | 過去の類似事例(例:2022年・大阪府) |
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偽造の種類 | 診断書・入院申込書 | 診断書・通院証明書 |
使用目的 | 特別休暇取得(19日間) | 有給休暇取得(12日間) |
偽造方法 | 自作テンプレ・印章も偽造 | 本物の印章を不正使用 |
処分内容 | 懲戒処分(詳細未公開) | 懲戒免職 |
なぜ教諭たちは不正を繰り返したのか?動機と背景にある“制度の穴”
小学校教諭が「虚偽の診断書」を偽造した理由とは?
小学校教諭(61)が、医師の診断書5通と両親の入院申込書2通を偽造した背景には、教職員の“特別休暇制度”の甘さがあったとされる。通常、特別休暇を取得する際には証明書類が求められるが、提出自体が後回しになっているケースも多く、そこに“後づけの偽造”が可能なスキが生まれていた。
さらに、本人のメンタル不調や家庭事情などが積み重なり、正規手続きでの休暇申請が困難だった可能性もある。制度と現場のギャップが、偽造という選択肢を生んでしまったのかもしれない。
診断書偽造の実際の手口
この教諭は、医師の名前・施設名・診断内容などを記した“精巧な診断書”を自作し、複数回提出。内容も入院や重度の体調不良を装っていたとされる。県教委が精査を進めた結果、文書全体が本人による偽造と確認された。
特別支援学校教諭による“保育園用証明書”の改ざん
33歳の女性教諭は、育児休業中であることを隠すため、職場が交付した就労証明書を自ら書き換え、市役所に提出していた。理由は「子どもの保育所入所を継続させるため」とされ、悪意のある虚偽というより“制度のすき間”に追い詰められた結果とも読める。
育児と制度が両立しない現場の実情
育休中は「就労実態がない」と判断され、保育園継続の審査で不利になる。これにより、「嘘でも働いていることにしないと子どもが退園になる」という保護者の焦りが、制度の改ざんにつながるケースが他にも確認されている。
車で生徒を送迎した主幹実習教諭の“配慮”とルール違反
県立学校の男性教諭(56)は、所属長の許可を得ずに、生徒4人を自家用車に同乗させた。この行為は「好意による送迎」だったとみられるが、学校規則上は重大な違反となる。結果として戒告処分を受けた。
「安全」と「優しさ」のあいだで揺れる教育現場
事故やトラブルのリスクが大きく、教員の車両同乗は禁止されている。だが、地方部では公共交通が少なく、教師の“思いやり”がルールを超える例も出てきてしまう。
この一連の不正事例から見えるのは、教員の個人的な事情と制度の隙間が交差する“構造的問題”だ。特別休暇や育児制度は「現場で機能していない」との指摘も多く、真の問題は「不正そのもの」ではなく、「追い詰められた末の判断」だったとも言える。
多忙な勤務、家庭との両立、制度と現実のギャップ──教員たちはその綻びのなかで、あえてルールを越える選択をした。
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特別休暇の制度設計が現場実態と乖離
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保育制度と育休制度の「すれ違い」
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運用マニュアルの不統一がトラブル誘発
【不正が起きた背景構造】
「家庭や体調に問題」
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「正規手続きでは休みが取りづらい」
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「書類提出の猶予制度が存在」
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「後から偽造すればバレないと思う」
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【偽造診断書・改ざん証明書・無許可送迎】
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県教委の精査 → 懲戒処分へ
見出し | 要点 |
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診断書偽造の実態 | 教諭は5通の診断書を自作し、虚偽の特別休暇を取得した。 |
保育所証明書改ざん | 就労証明書を書き換え、子の保育継続を図った。 |
送迎による戒告 | 教諭が無許可で生徒を車に同乗させた行為が問題視された。 |
背景にある制度不備 | 実態と乖離した制度が、不正の温床になっている。 |
本件のような虚偽申請は、教員個人の倫理だけではなく、制度設計の“形骸化”や学校組織の監視体制の甘さとも密接に関係しています。
たとえば、「診断書が出ていれば疑わない」という慣習や、「誰も内部で告発しない」という空気は、不正を容易に隠せる土壌を生み出します。
読者が本件から考えるべき視点は以下の通りです:
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どのような制度設計が“悪用されやすい構造”を作っていたのか?
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管理職や同僚は不正に気づいていた可能性はなかったのか?
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他の自治体でも起こりうる、共通の“監査の死角”とは何か?
「見て見ぬふりの構造」――教室の奥に潜む倫理の断絶
「バレなければいい」という発想が、いつから教育現場に入り込んだのか。
制度を逆手にとり、医師の診断書まで自ら“生成”する小細工に手を染めた教員の姿に、私はただの個人の逸脱以上の問題を感じる。
学校は形式の塊だ。出勤簿、申請書、報告書……すべてが記録と印鑑の文化に覆われている。そこに「この程度ならごまかせる」という慢性的な抜け穴ができた瞬間、教育は“信頼”ではなく“処理”になる。
だが、もっと怖いのは、それを咎められるまで誰も止めなかったこと。
校内に異変を察する空気はあったはずだ。ならばなぜ、それは黙殺されたのか。
人間関係の波風を避けたのか。それとも、「見なかったことにする」が文化として染み込んでいたのか。
問いは、制度そのものよりも、そこに生きる人間たちの倫理観に向けられている。
❓FAQ(3問)
Q1. なぜ特別休暇が偽造までして取得されたのか?
A1. 教員は計19日間の休暇を申請するにあたり、通常の理由では通らないことを予想し、医師の診断書5通と両親の入院申込書2通を自作して提出した。
Q2. なぜ学校側はすぐに見抜けなかったのか?
A2. 診断書や入院書類が形式的に整っていたため、内部での確認プロセスが甘く、不正が見抜かれなかったとみられる。
Q3. 他にも同様の不正が起こっていたのか?
A3. 同日に、他3人の教員も懲戒処分となっており、複数の不正行為が同一自治体内で同時発覚している。
項目 | 要点 |
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主な不正行為 | 診断書や入院書類の偽造による特別休暇取得(計19日) |
処分内容 | 停職3か月(男性教諭61歳)含む教員4人が懲戒対象 |
背景の構造問題 | 診断書の確認体制が形式的で、内部監査が不十分 |
今後の焦点 | 教員倫理の再教育と、休暇制度の運用見直しの必要性 |