大阪・関西万博で唯一未開館のネパール館が、6月中にも開館予定であることが判明。駐日ネパール大使が明かした背景には、建設の遅れや資金難の克服がある。7月には「ネパールデー」の開催も予定され、注目が集まる。
万博ネパール館
6月中に開館へ
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開幕から2カ月が経過した大阪・関西万博。多数の海外パビリオンが賑わいを見せるなか、唯一開館できていなかったネパール館が、ようやく開館に向けて動き出した。ドゥルガ・バハドゥール・スベディ駐日ネパール大使は6月14日、産経新聞のインタビューで「早ければ6月中、遅くとも7月上旬に開館する」と明言。建設費の支払いは「ほぼ完了」し、内装工事が再開されるという。7月28日には「ネパールデー」の開催も予定されており、開館が遅れた背景と今後の展望に注目が集まる。
要約表
見出し | 要点 |
---|---|
開館時期 | 6月中または7月上旬の見込み(大使談) |
開館遅延の理由 | 受注会社の資金難+着工遅れ |
現状 | 建設費支払いほぼ完了・内装再開へ |
今後の予定 | 7月28日に「ネパールデー」を開催 |
なぜネパール館だけが開館できていないのか?
ネパール側の資金難と着工の遅れ
大阪・関西万博では、100を超える国と地域が参加し、独自の文化や技術を紹介している。しかしその中で、唯一「未開館」となっているのがネパール館である。背景には、ネパール側が任せていたマネジメント会社の財政難がある。スベディ大使は「工事開始自体が遅れたことに加え、同社が資金難に陥り、建設会社への支払いが滞った」と説明している。
覚書の再締結と支払い完了
問題を受け、ネパール政府はマネジメント会社と新たに覚書を結び直した。その結果、建設会社への未払い金は「ほぼ完了」し、再び工事が動き出す。6月16日夜には、いよいよ内装工事が再開される予定で、ようやく開館への道筋が見えてきた。
ネパール館にかける想いと「ネパールデー」の開催
遅れても「ベストパビリオン」になると自信
スベディ大使は「ネパールは小さいが文化、自然が豊かな国。開くのは最後だが、ベストのパビリオンになる」と語り、遅れを取り戻す意気込みを示している。万博を通じて、観光資源や伝統文化を紹介する機会と位置付けており、展示内容の質の高さが期待されている。
7月28日に「ネパールデー」開催決定
また、当初予定していたナショナルデー(5月31日)が実施できなかった代替として、7月28日に「ネパールデー」が会場内で開催される予定だ。開館と同時にイベントを盛り上げることで、来場者への強い印象を残す狙いもある。
「困難の中の一歩」―ネパール大使が語る開館への覚悟
今回の遅れは、ネパール政府にとっても大きな挑戦だった。世界中の国が注目する国際イベントで、唯一開けなかったことの重みは計り知れない。しかし、スベディ大使はあくまで前向きだ。「困難な状況の中でも、信頼を築くことができた。だからこそ、開館後には必ず価値ある体験を届けられる」と語る。
今後、開館後の反響や来場者数も、ネパールにとって重要な指標になるだろう。文化の発信と観光促進を両立させる「パビリオン外交」の成否が問われている。
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開館遅延は「単なる施工問題」にとどまらず、国家の国際的信頼に関わる問題
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展示内容は「自然・宗教・工芸文化」を三本柱に構成予定
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パビリオン完成後は観光局主導でガイドを配置予定
比較項目 | ネパール館 | 他の国のパビリオン |
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開館状況 | 未開館(6月〜7月開館見込み) | ほぼ全て開館済み |
遅延理由 | 受注会社の資金難・着工遅れ | 通常進行/一部軽微な遅延 |
ナショナルデー | 実施延期→7月28日に開催予定 | 多くの国が予定通り実施済 |
内装・施工状況 | 内装未了・再開準備中 | 完了済み(展示中) |
なぜネパール館の開館が遅れているのか?
建設遅延の直接要因は何だったのか?
ネパール館の開館遅延の原因は多岐にわたるが、最大の要因は建設を担ったネパールのマネジメント会社が財政難に陥ったことだった。もともと工事の開始時期も他国に比べて遅れていたことに加え、マネジメント会社から日本側建設業者への支払いが滞るなど、計画全体に遅れが波及した。
2025年5月末の時点で、ネパール館は「唯一未開館」の状態が続いており、万博の目玉である“グローバルパビリオン連携”からも取り残されていた。
駐日大使の交渉と再調整は功を奏したのか?
駐日ネパール大使ドゥルガ・バハドゥール・スベディ氏の主導により、マネジメント会社と再度覚書が結ばれ、資金の再分配と支払いが進められた。工事再開は2025年6月16日夜からとされており、すでに支払いは「ほぼ完了」と発表されている。
当初開催予定だった5月31日のナショナルデーは中止となったが、7月28日に代替として「ネパールデー」の開催が正式決定された。
開館に向けた最終ステップは?
内装工事の完了と展示準備
現在残されている作業は内装工事および展示品の設置。関係者によると、6月中には全体が完成し、7月上旬までには開館にこぎつける見通しだという。
外交の現場が動かしたパビリオン
駐日ネパール大使館の働きかけは、単なる建設遅延への対応を超え、国家的な信頼の回復戦とも言える動きだった。万博会場の中で“囲いがされたままの空間”として象徴化されてしまったネパール館は、外交の現場から再構築された例となった。
特に、工事再開に向けた資金面の解決は、行政交渉だけではなく、文化・国家イメージを守るための戦略的判断として位置づけられる。
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ネパール館の復旧=外交信用の再構築
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7月28日の「ネパールデー」は文化発信と名誉挽回の場
ネパール館開館までの経緯
工事着工遅延
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マネジメント会社の財政難
↓
建設会社への資金滞留
↓
パビリオン建設停止
↓
ナショナルデー中止(5/31)
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大使館が再交渉・覚書締結
↓
支払い「ほぼ完了」
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内装工事再開(6/16夜予定)
↓
6月中〜7月上旬:開館見通し
↓
7月28日:ネパールデー開催
ネパール館は今後、万博にどう貢献できるのか?
“最後に開く”ことで得られる注目とは?
すべての海外パビリオンが出揃ったあとに開館するネパール館は、逆に“話題性”の面で注目を集める可能性が高い。スベディ大使も「最後に開くが、ベストのパビリオンになる」と語っており、遅れた分を逆手にとった戦略的な展開が期待される。
とりわけ、文化・自然・宗教建築などを前面に押し出す展示コンセプトは、万博会場内のスピリチュアルゾーンとの親和性も高く、特異な存在感を示すことができるだろう。
今後の課題と“文化発信力”の行方は?
遅れを取り戻すには、パビリオンの内容だけでなく、ネパールという国そのものの「文化価値」の訴求が不可欠である。7月28日の「ネパールデー」が成功すれば、万博における評価だけでなく、観光や国際関係面での波及効果も期待される。
ベストパビリオンへの道筋
文化・体験の演出とSNS拡散戦略
来場者に対し“特別感”を演出できる構成が必要だ。伝統舞踊、仏塔型の建築、ヒマラヤ映像などを活用し、「一度は行ってみたいパビリオン」としてSNSを通じた発信を仕掛けることが鍵となる。
見出し | 要点 |
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遅延の原因 | マネジメント会社の資金難と工事開始の遅れ |
開館見通し | 6月中〜7月上旬に開館、内装工事は6/16夜再開 |
代替イベント | ナショナルデー中止 → 7/28にネパールデー開催 |
今後の鍵 | SNS戦略と文化体験による巻き返し |
「まだ行けないネパール館」への関心は、逆に高まりやすい。だからこそ、開館後に“期待を裏切らない体験”を提供できるかが成否を分ける。会場での存在感、SNSでの話題性、文化的深み——この3要素が揃えば、遅れを逆転の武器に変えることは可能だ。
遅れた者が最後に笑う。
そう信じなければ、国の顔として開館が遅れた意味はない。
囲いで覆われ、無人のまま時が過ぎる建築物は、
まるで“国家の沈黙”を可視化したかのようだった。
しかし、ネパールは引き下がらなかった。
再び金を集め、外交が動き、希望の再点火がなされた。
「最後に開くが、ベストになる」
この言葉が、現場で体現されたとき。
ネパール館は“遅れ”ではなく、“伝説”として語られるだろう。
【FAQ:3問】
Q1. なぜネパール館だけ開館が遅れているの?
A. ネパールのマネジメント会社が財政難に陥り、建設会社への支払いが滞ったためです。
Q2. ネパール館はいつ開館予定?
A. 現時点での見通しでは、6月中〜7月上旬に開館予定です。
Q3. ナショナルデーの代替はある?
A. はい、7月28日に「ネパールデー」を開催することが正式に発表されています。
まとめ
項目 | 要点 |
---|---|
遅延の背景 | 財政難による建設停止と開館未実施 |
現状の対応 | 駐日大使による再調整と支払い完了 |
今後の展開 | 6月中〜7月上旬に開館、ネパールデー開催で再起を狙う |
成功の鍵 | 文化体験+SNS発信による巻き返しと独自性の訴求 |