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元事務局長が放課後クラブの運営費1033万円着服 二重帳簿と虚偽報告の手口

北九州市若松区の放課後児童クラブで、元事務局長が約1,033万円を着服していた事案が発覚。市の監査直前に「空き巣による書類盗難」を偽装し、不正の発覚を逃れていた。二重帳簿による人件費水増しや経理独占が背景にあり、制度の構造的課題も浮上。市は再発防止策として二重チェックや第三者監査の導入を指導。

 

 

 

放課後児童クラブ
元事務局長、運営費着服

 

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北九州市の放課後児童クラブで、運営を委託されていた団体の元事務局長が約1,033万円を着服していたことが明らかになった。市への提出資料を偽造し、監査前には「空き巣による書類盗難」を装って不正の発覚を逃れていた。市は制度全体に再発防止策を講じる構えだ。

放課後クラブの運営費を着服…なぜ“空き巣”まで偽装したのか?

✅ 項目 ✅ 内容
発覚の経緯 市が監査に入る直前、「空き巣被害」で監査を拒否
着服の手口 二重帳簿で給与を水増し、不正に資金を流用
被害総額 5年間で約1,033万円を着服したとされる
市の対応 被害届を受け警察と連携、再発防止策を指導中

なぜ放課後クラブの着服が発覚したのか?

どんな経緯で不正が発覚した?

北九州市若松区にある放課後児童クラブで、長年運営事務を担っていた60代の男性が、約1,033万円もの運営費を着服していたことが明らかになった。発覚のきっかけは、2025年1月に予定されていた市による初の監査だった。

ところが元事務局長は、市の監査直前になって「クラブに空き巣が入り、帳簿類などの書類が盗まれた」と報告。市は一時的に監査を見送ったが、運営委員会が独自に行った内部調査によって、実際には空き巣などは起きておらず、帳簿操作の痕跡と不自然な資金移動が浮かび上がった。

市が報告を受けたのは2月で、男性は3月に事務局長を退職。4月には警察に被害届が提出された。

 

 approach.yahoo.co.jp

 

どのような手口が使われていた?

男性は2003年度からクラブの運営に関与していたベテラン職員で、2020〜2024年度の5年間にわたって組織内で唯一、経理を担当していた。主な手口は「二重帳簿」の作成だ。市に提出する公式の決算書とは別に、実際の会計記録を隠し持ち、架空の職員への給与計上や、実際より多くの賃金を支払ったように見せかける操作を続けていた。

この期間、男性が着服した金額は年間で約142万〜310万円に及ぶ。保存義務のある5年分しか確認できていないが、それ以前にも不正が行われていた可能性が残る。

市によると、着服された資金は、男性が飲食や衣服など私的な出費に充てていたといい、本人も事実を認めている。現在は分割での返還が進められており、すでに170万円が返金されたという。

なぜ「空き巣被害」と偽ったのか?

2025年1月、市の初めての監査が予定されていた。だが、元事務局長はその直前に「空き巣が入って帳簿などが盗まれたため、対応できない」と市へ連絡した。

この“偶然すぎる出来事”は、実は帳簿偽装の発覚を逃れるために仕組まれた口実だったとみられる。市が提出を求めていた帳票のうち、実際には紛失していないものも多く、不審な点がいくつも重なったことから、後に運営委員会が独自に調査を開始。虚偽の報告であると判断し、内部資料を確認したところ、資金流用の痕跡が明らかになった。

監査の直前での拒否理由として「空き巣による盗難」を選んだ点には、外部との接触を遮断し、長期にわたって単独で不正を隠し通してきた心理がにじむ。

  • 監査を避けるため、書類の存在そのものを否定する手段として「盗難」を選択

  • 被害届や現場確認など、公的手続きは行われなかった

  • 実際には帳簿は手元にあった可能性が高いと市は見ている

通常の会計管理と今回の不正例の違い

項目 通常の運営委員会 今回の元事務局長の手口
帳簿作成 単一帳簿で記録管理 二重帳簿で虚偽報告を準備
給与処理 出勤簿と連動し正規支給 架空職員・水増し給与を記載
監査対応 年次監査に応じて資料提出 空き巣を口実に監査を拒否
会計監査体制 複数人でダブルチェック 元事務局長が経理を独占管理

この事件が地域運営に与える影響は?

市のチェック体制に問題はなかったのか?

今回の着服事件では、放課後児童クラブという地域密着型の制度において、市が一括して委託料を支出していたにもかかわらず、監査やチェックの仕組みがほとんど機能していなかったことが浮き彫りになった。

市の説明によると、元事務局長が20年以上にわたり経理実務を一手に担っていたため、内部でのダブルチェックが行われておらず、クラブの運営委員会としても実質的に経理内容を把握していなかった。監査の実施も今回が初めてだったことから、制度としての「緩さ」が事件の温床となっていた。

また、運営委員会の側でも、会計報告の検証や職員配置の実態確認などを形式的に処理していた可能性があり、長期的に不正が温存される下地が存在していたとみられている。

再発防止策はどう設計されるべきか?

市は今回の事件を受けて、放課後児童クラブ全体の会計事務に対して「二重チェック体制の導入」を指導するとしている。また、経理担当者を一人に集約せず、複数人で分担することで不正の芽を事前に摘む体制への転換も検討されている。

さらに、定期的な第三者監査の導入や、決算書の内容と実際の出勤実績・給与支給記録を突き合わせる「交差点検」の仕組みも、新たな施策として求められる。信頼だけに依存した会計体制は、今後の制度設計の中では明確に見直すべき課題となっている。

制度見直しの具体案は?

北九州市はすでに複数の対策案を運営委員会に提示しており、以下のような改善策が検討されている。

市が指導中の対策案

  • 経理・決裁を必ず2名以上で処理する内部統制ルールの導入

  • 三者会計士による年次監査の制度化

  • 出勤簿・振込明細などの電子記録による整合性チェック

着服発覚までの流れ

監査予告(2025年1月)
 ↓
元事務局長「空き巣で帳簿盗難」と報告
 ↓
市が一時的に監査中止
 ↓
運営委員会が独自調査開始
 ↓
二重帳簿と資金不正を発見
 ↓
市が報告を受け、本人が退職
 ↓
警察に被害届を提出(4月25日)

✅ 前半の整理 ✅ 後半の視点導入
二重帳簿により5年間で1,033万円を着服 経理を一人に集約した体制が原因
空き巣を装って監査を逃れた報告が虚偽と判明 市の初監査で制度の甘さが露見
資金は飲食・衣料など私的流用に使用 会計体制の抜本的な見直しが必要
被害届提出後、返金170万円にとどまる 信頼のみに頼る仕組みの限界

▶︎ 誰がチェックを担うべきだったのか――その問いが残されている

このクラブで子どもたちと向き合っていた指導員や保護者は、日々の業務に追われながらも、「信頼していた人」の言葉に疑いを持たなかったのだろう。会計報告書に署名をする手は、迷いのないものだったかもしれない。

けれど、誰かがどこかで「本当に大丈夫だろうか」と感じていた可能性もある。沈黙と無関心が積み重なり、不正の影を育ててしまったのではないか。組織の制度だけでなく、空気にも問いを投げる必要がある。

制度に穴を開けた“信頼”という言葉

信頼を前提にした制度は、簡単に壊れる。

「顔見知りだから」「長年やってくれてるから」「お金のことはわからないから」――そうやって任せきった先に、不正が芽吹く。数字を操る手は冷静だったはずだ。そこに悪意があったのか、それとも惰性の中で罪に手を染めたのか。誰にも断定はできない。

けれど、制度はその迷いを許さない。再発防止という言葉だけではなく、誰が責任を引き受けるのか。その設計がなければ、同じことは繰り返される。

❓Q &A|放課後児童クラブ制度と対応

Q:監査の義務はなかったのですか?
A:北九州市では2025年1月が初めての市による監査実施予定であり、制度上の監査義務は明文化されていなかったとされています。

Q:放課後児童クラブの設置主体は?
A:地域の社会福祉協議会などが構成する運営委員会が、クラブを管理・運営し、市が委託料を支出する仕組みです。

Q:今後の再発防止策は具体的に?
A:経理の複数人分担制、第三者監査、電子化による整合性管理が推奨されています。

Q:クラブ名を非公表とした理由は?
A:在籍する子どもへの影響を配慮し、市はクラブ名を非公表としています。

要点 内容
発覚経緯 市の初監査を空き巣で拒否し、不正発覚
着服手口 架空人件費を含む二重帳簿で計1,033万円
市の対応 被害届提出、返還指導、再発防止策を提示
視点 信頼に依存した制度設計が問われている

▶︎ 地域の“信頼”が、制度の穴を見逃していたのかもしれない