北海道・釧路市動物園で生まれ育ったアムールトラ「ココア」が、2025年6月18日に17歳で死亡しました。脚に障害を抱えながらも懸命に生きる姿で多くの人々を励まし、SNSなどでも注目されていた個体です。近年は加齢と腰の湾曲により体調を崩し、展示中止と治療を続けていました。園内では献花台が設置され、別れを惜しむ声が広がっています。
釧路市動物園
人気トラ「ココア」死去
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脚に障害を抱えたアムールトラ「ココア」が死亡 釧路市動物園に全国から追悼の声
北海道・釧路市動物園で飼育されていた雌のアムールトラ「ココア」が6月18日に死去した。生まれつき脚に障害を抱えながらも懸命に生きる姿で、多くのファンから長年愛されてきた存在だった。園は19日、死を発表し、園内に献花台を設置した。
要約表
どのような経緯で「ココア」は死を迎えたのか?
後ろ脚の障害と闘いながら、17年間を生き抜いた
釧路市動物園によると、「ココア」は2008年5月に園内で誕生した。生まれつき骨の成長に支障があり、後ろ脚をうまく動かすことができなかった。歩行には大きな困難を伴い、移動する際には後肢を引きずるような姿を見せていた。
その姿が「けなげで愛らしい」と、道内外から来園者の人気を集める要因となった。釧路市動物園では人工保育で育てられ、通常のトラの成長とは異なる経過を辿ってきたが、健康管理や環境配慮の工夫により、長期にわたって園内での生活を続けてきた。
2024年末から急激に体調が悪化
ココアの健康状態に異変が見え始めたのは、2024年の年末ごろからだった。加齢に伴う体力の衰えに加え、慢性的な腰の湾曲が進行。展示場内でも横たわっている時間が増え、食欲も徐々に落ちていった。
園では診療チームが経過観察と処置を続け、2025年4月以降には展示の中止と休養期間を交互に設けていたが、6月18日午後7時20分ごろ、飼育員にみとられながら息を引き取った。園によると、死因は確定していないが「穏やかな最期だった」としている。
ココアが与えた影響と、全国の反応
「障害があっても前向きに生きる姿に励まされた」。SNSには、ココアの訃報に接した人々から多数の追悼コメントが寄せられている。北海道内のみならず、東京や関西からもココアに会いに来たという来園者のエピソードも多く、障害を持つ動物との共生について考えるきっかけとなっていた。
園では6月19日から園内に献花台を設け、来園者が花やメッセージを手向けられるよう対応している。今後、オンラインでの記帳・献花フォーム設置も検討されている。
アムールトラ「ココア」の生活と一般個体の違い
項目 | ココア(釧路市動物園) | 一般的なアムールトラ |
---|---|---|
誕生年 | 2008年 | 平均寿命:約15〜20年 |
健康状態 | 生まれつき骨発育に障害(後ろ脚の運動困難) | 通常は四肢に異常はなく運動量も豊富 |
飼育方法 | 人工保育+バリアフリー展示場 | 親トラによる育児が基本 |
展示対応 | 状況により展示中止・個別対応 | 基本的には常時公開 |
人気・象徴性 | 全国から応援される「けなげなトラ」 | 種の保護対象としての象徴性が高いが個体に注目は少ない |
なぜ「ココア」の存在が全国で注目されたのか?
障害を抱えながらも懸命に生きた姿
釧路市動物園で2008年5月に誕生した雌のアムールトラ「ココア」は、生まれつき後ろ脚に障害を抱えていた。骨の成長に支障があり、後ろ脚を引きずるように歩く姿が特徴だった。人工哺育で育てられた背景からも、来園者や関係者から特別な存在として見守られてきた。
その様子はSNSや動物園の広報活動を通じて全国に広まり、障害があっても生き抜く姿勢が人々の心を打った。特に高齢期に入ってからも慎ましく生きる姿に、多くのファンが励まされていたという。
動物園が支え続けた長い日々の記録
釧路市動物園は「ココア」の身体に負担をかけないよう、展示内容や飼育方法を工夫し続けていた。後年は腰の湾曲や体力の衰えが目立ち、2023年末からは寝ている時間が長くなり、展示の中断や治療も繰り返されていた。
2024年からは断続的に展示を休止し、ケージ内でのケアに重点を置いていた。2025年6月18日午後7時20分、飼育員にみとられて安らかに息を引き取った。「最後まで頑張った姿を伝えたい」と園関係者は語ったという。
障害を理由に排除しない社会的視点の広がり
「ココア」の存在は、障害のある動物に対する社会のまなざしを変える契機ともなった。見た目や行動が他の動物と違っていても、生きる姿が称賛されるべきだという考えが、SNSやメディアを通じて広がった。
特に次のような反応が見られた:
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障害を理由に「可哀想」ではなく「尊い存在」と捉える投稿が増えた
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高齢者や障害のある人との共通点に感情を重ねる声もあった
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動物園が展示動物の福祉に本格的に取り組んでいる点が評価された
この変化は、動物福祉の進化だけでなく、共生社会における価値観の変容をも映している。
「ココア」と共に歩んだ17年の記録
2008年5月|釧路市動物園で誕生
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人工飼育により命をつなぐ
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脚の障害が判明(骨成長の障害)
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展示開始後、全国で話題に
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2023年末|腰の湾曲・加齢により体調悪化
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2024年〜|断続的な展示中止と治療
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2025年6月18日|飼育員にみとられ死亡(享年17歳)
見出し | 要点(1文構成) |
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前半のまとめ | 障害を抱えて生まれたアムールトラ「ココア」は17年間を懸命に生きた。 |
後半の注目点 | 高齢による衰えの中でも人々に希望を与え、福祉の象徴として見送られた。 |
誰かと違っていたからこそ、心に残る存在がいる。「普通」の基準では測れない命の物語に、人は心を寄せた。脚を引きずりながらも凛としたまなざしを失わなかったその姿は、動物の範疇を越えて、ひとつの象徴となった。
「障害を背負っても、命は堂々とあるべきだ」
そうした価値観が世の中で浸透してきたのは、もしかすると動物の存在があったからかもしれない。人間が言葉にしにくいこと、社会が直視しきれないもの。そういうものを、静かに引き受けてくれるのが動物という存在なのだ。
「ココア」が歩いた釧路の雪道は、たしかに不格好だった。だが、誰よりも真っすぐだった。
それを見た人たちが「尊い」と言ったこと。そこに意味があった。哀れみではなく、尊敬として。
死の知らせが全国に届いたあと、「ありがとう」と書き込んだ人は、きっと何かを教えられていたのだと思う。
FAQ|釧路市動物園のアムールトラ「ココア」について
Q:ココアの死因は何ですか?
A:現在のところ死因は特定されていませんが、加齢と体力の衰えが主因と見られています。
Q:脚の障害はどのようなものでしたか?
A:骨の発達障害により後ろ脚が正常に成長せず、常に引きずるような歩き方をしていました。
Q:最後まで展示はされていたのですか?
A:2024年以降は体調を考慮し、展示を断続的に中止し治療に専念していました。
Q:釧路市動物園の対応に批判はありましたか?
A:報道・SNSでは園の献身的な飼育体制に評価の声が多く、批判的な意見は確認されていません。
Q:献花や見送りの場は設けられていますか?
A:2025年6月19日より、園内に献花台が設けられています。