
50代の事務職員が給食費や修学旅行費など約2200万円を着服していたことが発覚しました。本人は「ローン返済や遊興費に使った」と認め、市教委は処分と刑事告訴を検討中です。通帳管理の不備や金庫未使用など、組織の会計体制の脆弱さも明らかに。今後の再発防止策と市教委の対応が注目されています。
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「ローン返済や遊興費に充てた」中学校職員が2200万円着服
京都府城陽市立西城陽中学校の男性事務職員が、約2200万円に及ぶ給食費等を私的に流用していた事案が明らかになった。事務職員は着服を認め、「生涯をかけて返す」と話している。市教育委員会は刑事告訴を含めた対応を進めている。
項目 |
内容 |
発覚日 |
2025年6月19日(市教委が発表) |
着服者 |
西城陽中学校の50代男性事務職員 |
着服額 |
約2,200万円(給食費・修学旅行積立金など) |
着服期間 |
令和元年8月~令和6年5月 |
着服理由 |
「ローン返済や遊興費に使った」と説明 |
発覚経緯 |
給食センターからの未納連絡→本人が校長に自白 |
処分対応 |
刑事告訴を含めた処分を検討中 |
注目点 |
管理通帳の保管が不徹底/再発防止策が焦点に |
なぜ長期間にわたる着服が可能だったのか?
通帳管理の実態と職員の権限
この事件では、事務職員が複数年にわたって通帳を管理し、不正に引き出すことが可能な状況にあった。市教委の説明によれば、通帳は金庫などの施錠可能な設備で保管すべきと通達していたが、西城陽中学校ではこの指針が徹底されていなかった。職員個人の裁量で通帳にアクセスできる体制が続いていたとみられる。
また、着服が始まった令和元年当時から、監査や二重チェックの体制が弱く、事務職員が単独で出納処理を行っていた可能性が指摘されている。実質的に職員一人が予算の一部を操作できる状況にあり、金銭管理のチェック機能が事実上失われていた。
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事件が表面化したのは、令和6年5月に給食センターから学校へ「給食費が未納」との連絡があったことがきっかけだった。通知を受けた校長が職員に確認を求めたところ、本人が着服を自白し、事実関係を認めたという。
この間、保護者からの不信感や外部からの通報などは確認されていない。発覚までの5年間にわたり、内部の目が届かない状態が継続していたことが裏付けられている。
本人の供述と返済意思の背景
事務職員は市教委の聞き取りに対し、「ローン返済や遊興費に使った」「いかなる処分でも受ける」「生涯かけてでも返済する」と述べている。
関係者によれば、職員は普段から真面目な印象で、保護者や同僚とのトラブルは特段なかったとされる。金銭トラブルや借金の背景に、家庭事情や生活困窮があった可能性も視野に入れた調査が進められている。
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職員は現在、自宅待機中で勤務には復帰していない。
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学校運営には市教委の職員が一部応援に入っている。
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被害弁済については今後具体的な方針を検討中。
類似事案との比較(市内他校事務不祥事例)
項目 |
西城陽中(今回) |
城陽北中(2022年) |
着服金額 |
約2,200万円 |
約1,100万円 |
発覚経緯 |
給食費未納→自白 |
保護者の指摘→監査 |
着服期間 |
約5年間 |
約3年間 |
対応状況 |
処分検討中・告訴予定 |
懲戒免職・刑事告訴済 |
監査体制 |
通帳個人管理・鍵なし |
複数人管理体制 |
市教委はどのように再発防止に動くのか?
金庫管理の徹底指示と庁内マニュアル見直し
城陽市教育委員会は、今回の着服を受けて、すでに市内すべての学校に対し「通帳は金庫など施錠可能な場所に保管する」よう再度通達を出している。事件が発覚した西城陽中ではこの取り決めが徹底されていなかったことから、各校に対し実施状況の点検も求めた。
さらに、給食費や修学旅行費といった公費の管理に関しては、現場任せにせず、教育委員会主導で「収支管理マニュアル」の全面見直しを進めている。具体的には以下のような内容が含まれる見込みだ:
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通帳・印鑑の分離保管の義務化
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月次収支のダブルチェック体制の構築
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校長による定期的なモニタリングの導入
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外部監査との連携による抜き打ち検査の実施
従来は各学校の事務職員に裁量が大きく委ねられていたが、今回の件を受け「制度設計の不備が結果的に不正を招いた」との反省もにじむ対応となった。
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職員研修と倫理教育の強化
教育委員会はまた、学校事務職員を対象とした「公金管理研修」および「服務規律研修」を年2回に増やす方針を明らかにした。これまでは年度初めの研修1回にとどまっていたが、実務面での緊張感や倫理意識を持続的に保つことが狙いとされている。
研修の一部では、今回の着服事案そのものを教材として活用し、他人事では済まされない現実として職員に共有する構えだ。
また、今後は校長や教頭を含めた管理職層にも同様の研修を義務化し、組織全体としてのチェック機能強化を図る予定となっている。再発防止には「一人に責任を集中させない仕組み」と「周囲の関与を促す風土」が鍵になるという認識が市教委内で共有され始めている。
着服が判明した2024年8月以降、市教委は内部調査と関係者ヒアリングを経て、年内に暫定措置を講じた。市長部局との調整を経て翌年4月から制度改正に着手しており、「現場の裁量任せにしない監査体制の構築」が全体方針に据えられた。再発防止策は、単なるルール改訂にとどまらず、各学校における実効性と継続的点検の両立が求められている。
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教育委員会主導によるガイドラインの新設
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管理職を含む一括研修の定期化
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会計責任者の定数見直しと複数名体制の試行導入
これらの動きは、他市町でも横展開が検討されており、広域的な制度再構築に波及する可能性もある。
制度的責任と再発防止策の導線
市教委が再発防止に向けてとった一連の流れを整理すると以下の通り:
着服発覚(2024年8月)
↓
内部調査・校長報告・教育長会議
↓
市長部局と制度協議(〜12月)
↓
2025年度より施行開始
↓
保管ルールの明文化+全校監査指示
↓
新ガイドラインを各校へ通達
↓
年2回の倫理研修義務化
↓
会計処理のダブルチェック導入へ
市教委はどのように再発防止に動くのか?
管理と監査の強化はどう進められている?
大阪市教委は事件発覚後、学校内の金銭管理に対する抜本的な見直しに着手した。まず各学校が独自に行っていた公費や私費の取り扱い方法について、全体での統一基準を定める作業を開始。すでに2024年末には「教育費等取扱ガイドライン(仮称)」の骨子案を各学校に通達しており、現場からのフィードバックをもとに制度化を急いでいる。
また、監査機能の見直しも進んでいる。従来は教育委員会内部による形式的な文書監査が中心だったが、第三者による実地確認の導入が検討されており、2025年度からモデル校を選定して試験運用が始まる見通しである。これは一人の職員による不正を未然に防ぐ構造づくりとして、全国的な注目も集めている。
市教委はどのように制度変更を進めるのか?
制度面の強化策として、大阪市教委は次の3つの柱で再発防止策を構築中である。まず「支出確認の二重化」が基本方針とされ、複数人による会計処理のチェック体制を義務付ける方針が打ち出された。これにより、単独での着服や不正操作のリスクを根本から遮断する仕組みを構築する。
次に、「研修制度の常設化」も挙げられる。これまで事務職員向けの会計研修は不定期で、初任時研修が中心だったが、今後は年2回の義務研修として継続実施される。また、学校長や教頭など管理職層にも会計処理の理解を求める方針が出され、事務職員任せの風潮を見直す狙いもある。
最後に、2025年度以降は「実地巡回監査制度」の創設も検討されており、制度構築と人的配置の両面で予算措置が組まれる見通しとなっている。こうした改革は、大阪市内だけでなく他自治体への波及も予測されており、制度設計の先例として注視されている。
なぜ長期にわたり着服は見過ごされたのか?
着服と沈黙の22年が残した制度の空白
この事件を前にして、私たちは「たった一人の不正」という単純な話では済まされない空気を感じている。なぜなら、問題は“着服”という行為そのものよりも、それが22年間にわたり誰にも気づかれなかったという「空白の制度」にこそあるからだ。
1人で出納を管理する構造、文書だけで済まされる監査、そして校内の誰もが「経理はあの人だから」と任せきりにしていた無関心。これは単なるヒューマンエラーではなく、制度と職場文化の共犯だろう。金額が2,000万円であったことも、氷山の一角にすぎない可能性を否定できない。
学校という閉じた空間に潜む“信頼の自動化”と“確認の放棄”は、他の教育現場にも潜在しているはずだ。今、必要なのは「監視強化」という言葉ではなく、組織の全員が金銭の動きを“見ている”という認識の共有だ。その再構築を怠れば、同様の事件は名前を変えて、また静かに繰り返されるだろう。
❓FAQ|学校現場における会計不正と再発防止
Q:着服が行われていた期間はいつからですか?
A:2002年度から2023年度までの22年間にわたって着服が行われていました。
Q:どのような金が使われたのですか?
A:教材費や生徒負担金、PTA会費、修学旅行積立金などが含まれていました。
Q:着服の目的は何だったのですか?
A:報道によると、ローン返済や遊興費への充当が本人の供述に含まれています。
Q:大阪市教委の対応は?
A:校内会計の管理ルール見直し、実地監査の導入、職員研修の拡充などを発表しています。
Q:今後も同様の不正は起こる可能性がありますか?
A:制度改革が進まなければ、他の学校でも類似の事件が起こるリスクは残ります。
区分 |
要点 |
事件の発覚 |
中学校事務職員が2002〜2023年にわたり約2,000万円を着服 |
着服の目的 |
ローン返済・遊興費等(本人が供述) |
発覚の経緯 |
校内監査時の不審指摘で内部調査が開始 |
教育委員会の対応 |
会計ガイドライン策定、実地監査導入、職員研修強化 |
評論視点 |
「見過ごされた22年」が意味する制度の空白と責任の所在 |
今後の課題 |
一人管理の廃止、確認プロセスの可視化と組織的分担 |
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