東京都足立区は、2025年6月18日に都営住宅の敷地内で毒グモ「セアカゴケグモ」1匹が発見されたと公表。既に駆除され、被害報告はなし。区は注意喚起を強化し、住民に対し発見時の対応や咬傷時の症状についても情報提供を実施。都内では過去にも継続的に発見例があり、環境省も警戒を呼びかけている。
都営住宅で
セアカゴケグモを駆除
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東京都足立区は6月20日、毒を持つ特定外来生物「セアカゴケグモ」が区内で発見されたと発表した。見つかったのは都営住宅の敷地内で、通報者がその場で駆除したとされる。けが人の報告はなく、区は注意喚起を強化している。セアカゴケグモは全国各地で確認されており、都内でも定期的に発見例が続いている。
激痛や呼吸困難の危険も 東京都足立区でセアカゴケグモ発見
東京都足立区は2025年6月20日、特定外来生物に指定されている毒グモ「セアカゴケグモ」が区内で1匹発見されたと発表しました。区によると、被害は報告されておらず、発見された個体は既に駆除されています。セアカゴケグモは噛まれると激しい痛みや腫れ、呼吸困難などの症状を引き起こす恐れがあり、区は住民に対して注意を呼びかけています。
発見の経緯と個体の特徴は?
6月19日午前、足立区内の住民から「セアカゴケグモに似たクモが敷地内にいる」との通報が寄せられ、区職員が現地で確認にあたりました。写真などから種の同定を行い、「セアカゴケグモ」と断定。個体は通報者がその場で潰しており、周辺に他の個体は見つかっていないとされています。
今回確認されたクモは体長約1センチで、足を含めた全長はおよそ3.5センチ。性別は不明とされていますが、体長の大きさから区は毒を持つメスであった可能性が高いと見ています。セアカゴケグモの特徴として、腹部に赤色の砂時計のような模様があり、特にメスに強い毒性があるとされています。
区の対応と注意喚起の内容は?
足立区は発見を受けて即時に情報を公表し、公式サイト等を通じて区民へ注意喚起を行っています。区は「見かけた場合は絶対に素手で触れたり捕まえたりしないように」と呼びかけており、専門機関への連絡や殺虫剤による対応を推奨しています。
セアカゴケグモに噛まれると、個人差はあるものの激しい痛み、患部の腫れ、めまいや吐き気、さらには血圧上昇や呼吸困難といった症状が報告されています。これらは主にメスの毒によるもので、重症化するケースもあるとされています。
足立区内では令和5年度に3件、令和6年度には10件の発見例が報告されており、今回の事例は今年度2件目となります。区は引き続き、区民からの情報提供を受け付けるとともに、公共施設や学校などに対しても定期的な点検を行うとしています。
都内におけるセアカゴケグモの拡散状況
セアカゴケグモは、もともと日本には生息していなかった特定外来生物で、平成7年に大阪府で初めて確認されました。その後、温暖な気候に適応して徐々に分布を拡大し、現在では関東を含む各地で報告されています。
東京都内でも足立区以外に、江戸川区や葛飾区などで過去に発見例があり、気温の上昇に伴って生息範囲の北上が続いています。自治体間では、発見時の報告ルールや駆除対応の標準化が進められており、住民の防護意識とあわせた周知徹底が求められています。
セアカゴケグモ発見に関する比較表(全国の発見状況との比較)
セアカゴケグモの危険性と対策は?
咬傷による健康被害はどこまで深刻か?
セアカゴケグモの毒は神経毒であり、咬傷を受けた場合、強い痛みを伴う局所の腫れだけでなく、めまいや吐き気、呼吸困難などの全身症状に至ることがある。とくに高齢者や小児などは重症化のリスクが高く、医療機関での迅速な処置が求められる。
メス個体に毒があるとされており、体長は約1センチ。腹部の裏側に赤い砂時計状の模様があるのが特徴で、視認での識別が可能とされる。
区は今回発見された個体がメスとみられることから、周辺地域においても注意喚起を強めている。万が一咬まれた場合には速やかに病院を受診するよう呼びかけている。
行政がとった対応と市民への注意喚起
足立区では、19日の通報を受けて現地を調査。写真によりセアカゴケグモと確認したのち、当該個体は通報者がその場で潰しており、職員による駆除作業は不要とされた。周辺には他の個体は確認されていない。
過去の発見状況を見ると、足立区では令和5年度に3件、6年度には10件確認されており、今年度は今回が2件目。年々確認件数が増加傾向にあるとの見方もある。
区は市民に対し、「決して素手で触れないこと」「疑わしい場合は写真を撮り、速やかに区へ連絡すること」を基本的な対応として周知している。
発見状況と今後の見通し
今回の発見は、個人からの通報によって確認されたものだったが、見逃されるケースもあるとみられる。今後も温暖な気候や物資の移動により、生息域の拡大が懸念されるため、以下の対策が検討されている。
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公園や校庭などの定期的な巡回点検
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学校・保育施設向けの注意喚起資料配布
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区ホームページでの最新発見事例の周知
過去の他地域の事例では、排水溝のふたの裏や室外機の隙間などに潜んでいた例もあり、発見しにくい生息環境が多い点にも注意が必要とされる。
見出し | 要点 |
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クモの毒性と症状 | 咬傷により腫れ・嘔吐・呼吸困難を起こすことがある |
区の対応状況 | 通報→確認→駆除済、周辺には個体なしと報告された |
年間発見件数の変化 | 足立区内では年々発見数が増加しつつある |
「たった1匹でも、毒のある生物が住まいの周囲にいる」
その不安は、情報があるかどうかで大きく変わる。
このクモが何者なのかを知らなければ、見つけても素通りしてしまう。
──わたしたちは、どこまで知識と予防策を持てるのだろうか。
通報者が敷地内で発見
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区が確認(写真・特徴で同定)
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個体は通報者によりその場で駆除
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周辺を職員が調査(他個体なし)
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区が市民に注意喚起を発信
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発見履歴に加え、巡回・啓発強化へ
静かに忍び寄る侵入者
東京の住宅地に“毒グモ”が現れる。それはニュースであり、同時にある種の予告のようにも見える。今回足立区で確認されたセアカゴケグモは、平成以降の日本に侵入し、もはや全国に分布している。だが、この事実に対して、どこまでの想像力を私たちは持てるのか。
環境省が「特定外来生物」として指定する理由は、単なる生物学的な脅威だけではない。人の生活空間そのものに、じわりと侵食してくる現象だからだ。目に見えないところで広がる外来生物の影響は、都市に暮らす者にとって現実味を持たない。だが、マンションの階段や公園のフェンスの隙間に、この小さなクモが潜んでいると想像してみるとき、そこには確実な「生活の変質」がある。
私は問いたい。これは単なる自然現象の一部なのか?あるいは、人が都市の快適さを追求するあまりに生まれた“代償”なのか。駆除すれば済む、という態度では済まされない。特定外来生物は、静かに都市の脆弱さをあぶり出している。
都市の境界は曖昧になり、自然と人工のあいだに線が引けなくなった今、目に見えない“侵入者”がその境界を試しに来ている。そのとき、私たちは何を選ぶのだろうか。無関心か、警戒か、それとも共存という第三の視座か。
❓FAQ
Q:セアカゴケグモはどこで発見されましたか?
A:2025年6月18日、東京都足立区内の都営住宅敷地で発見されました(足立区発表)。
Q:発見されたセアカゴケグモは駆除されましたか?
A:はい、発見された1匹はすでに駆除され、足立区は「被害は確認されていない」としています。
Q:セアカゴケグモに咬まれるとどのような症状がありますか?
A:激しい痛みや腫れ、かゆみを伴うほか、まれに呼吸困難などの全身症状を起こすことがあります(環境省)。
Q:東京都内での発見は今回が初めてですか?
A:いいえ、足立区では2023年度にも10件の発見報告があり、都内では継続的に確認されています。
Q:市民はどのように対応すべきですか?
A:発見しても素手で触らず、速やかに自治体または保健所に連絡し、専門的な駆除を依頼することが推奨されています。