雑記ブログ、ときどきAmazon

Amazonアソシエイト,楽天room,広告PRがあります。

猶予制度を使えず破産危機!運送会社が逆襲訴訟

大阪の運送会社が、横領による社保料滞納の猶予申請を拒まれたと主張し、日本年金機構を提訴。職員が制度を把握せず差し押さえが強行された経緯と、係争中の訴訟構図を報道形式で整理します。制度の運用と企業の信頼関係に注目が集まっています。

 

 

 

猶予制度を使えず
破産危機

 

広告の下に記事の続きがあります。ペコリ

 

🟦要約表

見出し 要点
▶ 滞納発覚の経緯 経理社員の横領で滞納が判明/社員は後に死亡
年金事務所の対応 猶予制度の説明なく申請拒否と会社側が主張
▶ 差し押さえ処分 約3,500万円の売掛債権を行政が押収
▶ 経営への影響 社員数3分の1減・事務所縮小・車両台数激減
▶ 裁判の構図 「猶予申請を拒否された」vs「申請書提出なし」

社会保険料の納付をめぐる手続き対応が、一つの中小企業の命運を分けた。運送会社「シーガル」が直面したのは、年金事務所職員の対応による“制度の不通達”と、その結果としての破産危機だった。大阪地裁で現在も係争中の訴訟には、国の制度と企業の信頼のすれ違いが色濃く表れている。


社保滞納と差し押さえで会社が崩壊寸前に?

滞納発覚のきっかけは?

大阪府高槻市に本社を構える運送会社「シーガル」。創業は平成16年、主にスーパーマーケットへの食品配送などを手がけ、地域に根ざした物流事業を展開してきた。だが令和5年10月、年金事務所からの呼び出しが転機となった。

呼び出されたのは社長と経理担当者。そこで突然、過去十数年に及ぶ社会保険料の滞納があると告げられた。金額は延滞金を含めて約3,900万円。社長は初めてその事実を知ったという。

その場で事情を問うと、経理社員は「長年会社資金を着服し、中国に住む妻に送金していた」と語ったという。動機や詳細は不明だが、ほどなくして社員は死亡。自殺とみられているが、正式な死因や背景は未公表とされる。

内部で納付処理を一手に担っていたのはこの社員一人だった。社内でも滞納に気づく機会がなく、危機は静かに進行していた。

差し押さえはなぜ回避できなかった?

滞納が発覚した後、会社側は年金事務所に「横領による滞納は猶予制度の対象になるはずだ」と相談した。国税徴収法厚生年金保険法では、災害や盗難などに準じて横領被害も「やむを得ない事情」とされ、申請により納付猶予が可能とされている。

だが、応対した職員は「横領が猶予対象になるとは知らなかった」と述べ、申請書の提出そのものを受け付けなかったと、会社側は主張している。正式な申請の機会すら与えられないまま、手続きは宙に浮いた。

その後も繰り返し制度の適用を求めて交渉を続けたが、ようやく別の職員が「適用は可能」と認めたのは翌年8月のことだった。だが、その時にはすでに差し押さえ手続きが進行しており、「今さら申請されても受理できない」として退けられたという。

会社の売掛債権は次々と押さえられ、結果的に差し押さえ額は約3,500万円に及んだ。


🔸差し押さえの余波は経営全体に拡大

プレハブ事務所への移転を余儀なくされたのは、この処分の影響だった。かつて3階建てだった本社事務所の賃料を払えず、会社は事務所を明け渡し、6畳程度の仮設スペースでの業務へと追い込まれた。

さらに信用も失った。売掛先の一部は支払いを停止し、6社あった取引先のうち4社が契約を打ち切った。従業員数は約3分の1にまで縮小され、30台あった貨物トラックも7台にまで減らしたという。

  • 差し押さえ実行後、売掛債権の喪失が信用不安に直結した

  • 財務圧迫により賃料・燃料費の支払いも困難化

  • トラック・従業員の維持ができず、営業規模が激減した

滞納発覚前の状態 差し押さえ後の変化
事務所:3階建て本社 事務所:6畳のプレハブへ移転
トラック:約30台体制 トラック:7台まで縮小
従業員:フル稼働体制 従業員:約3分の1に減少
取引先:6社との継続契約 取引先:4社が契約解除
財務:運営継続可能水準 財務:売掛債権押収により破綻危機