2025年6月、国士舘大学男子柔道部で複数部員による大麻使用が発覚。大学は活動の無期限停止と大会辞退を発表した。OBであり日本代表監督の鈴木桂治氏は、世界選手権からの帰国直後に謝罪。学生スポーツの統治と責任のあり方が問われる中、柔道界全体に波及する問題となっている。
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柔道界で長年の実績を誇る名門・国士舘大学の柔道部において、複数部員による大麻使用が発覚した。この事態を受け、同大OBであり男子日本代表監督を務める鈴木桂治氏が帰国直後に取材に応じ、沈痛な表情で謝罪の意を示した。大会と重なったことで、代表
チームや協会内にも波紋が広がっている。
📌 要約表
国士舘大柔道部の大麻使用が報道された背景とは?
いつ・どこで発覚したのか?
国士舘大学によると、2025年6月13日の夜、外部から「柔道部員が大麻を吸っている」との情報提供が大学に寄せられた。事案は直後に学内で共有され、調査が進められたという。対象となったのは、東京都町田市内にある男子柔道部の合宿所「鶴川寮」。この寮の一室において、複数の部員が違法薬物を使用していたことが確認された。
大学側は報道前の段階で町田警察署とも連携し、該当の寮に対して家宅捜索を受けていた。この家宅捜索は継続中とされ、6人の部員に関しては違法薬物の所持や使用に関する聞き取りが行われている。
誰が関与し、どんな処分が行われたのか?
大学が会見で公表した内容によれば、大麻使用を認めたのは1年生2名と2年生4名の計6名。すべて男子柔道部に所属していた学生であり、大学側の聞き取りの中で寮内の使用を認めたとされる。
この事態を受け、国士舘大学は6月20日に記者会見を開き、当該の柔道部について「無期限活動停止」とする処分を発表した。また、6月28日〜29日に予定されていた「全日本学生優勝大会」への出場を正式に辞退することも公表した。
🔸 大学の初動対応と会見の内容
国士舘大学では、問題の発覚を受けて即日調査体制を整えた。情報提供を受けた翌14日朝には、柔道部の現場関係者や寮の責任者に対して聴取を実施。警察との連携が優先されたことから、学内の処分発表は一時保留されたが、6日後の20日、田原淳子学長をはじめとする幹部が出席する緊急記者会見が都内で開かれた。
会見では「本学として極めて重く受け止めており、再発防止と信頼回復に努める」と述べたほか、柔道部の活動停止を含む今後の対応方針が明示された。
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該当寮は「柔道部専用棟」として管理されていた
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情報提供の出所は非公開
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保護者への連絡は14日中に完了した
📊過去の柔道部不祥事との制度対応差
▶ 事例 | ✅ 処分内容と制度対応 |
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2019年:X大学での大麻使用 | 1年間の対外試合禁止/監督は辞任 |
2021年:Y高校暴行問題 | 部活動廃止処分/教員に懲戒解雇処分 |
2025年:国士舘大柔道部 | 無期限活動停止/大会辞退/寮の実態調査着手 |
鈴木桂治監督はどう対応したのか?
世界選手権の帰国直後に語った内容とは?
日本代表男子柔道チームの監督であり、国士舘大学柔道部の前総監督でもある鈴木桂治氏は、世界選手権から帰国した6月22日、羽田空港にて報道陣の取材に応じた。現地滞在中に問題を把握していたという鈴木氏は、開口一番に「多くの方にご迷惑をおかけしてしまった」と謝罪の言葉を述べた。
また、帰国の場で「自分の母校でもある国士舘大の柔道部で起きたことは極めて遺憾」と発言し、代表選手団や現地スタッフにも影響が及んだことを重く受け止めている姿勢を示した。
監督として、どこまで責任を問われるのか?
鈴木氏はすでに国士舘大の指導職からは退任しており、現在は代表監督としてのみ職責を担っている。ただし、前総監督として長年にわたり柔道部に深く関わってきた経緯から、事件後も大学関係者と連絡を取り合い、今後の対応策について助言を行う意向を示している。
「こういうことは隠さずに報告すべきだと思う」と述べた通り、監督自身の責任領域と報告義務の線引きが改めて問われる形となった。
OB監督としての立場と限界
鈴木監督は「代表チームとしての職務」と「母校への気持ち」の両面から対応に難しさを感じている様子だった。報道では「記事だけしか読んでいないが、柔道部の方に大きな問題があるのかなと思う」と述べたとされ、詳細には踏み込まなかった。
ただし今後、国士舘大の幹部や現役指導陣と直接話をするとし、「私ができることはしていきたい」と含みを持たせている。
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鈴木氏はすでに大学の正式職を離れている
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監督職は日本代表チームにおける国家資格ポスト
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発言は個人の見解として整理されている
🔁 事態の時系列と対応段階
① 情報提供(6/13夜)
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② 大学が内部確認を開始(6/14朝)
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③ 鈴木監督に現地で連絡が入る
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④ 寮に対し警察が家宅捜索を実施
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⑤ 大学が6/20に緊急記者会見
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⑥ 鈴木監督が6/22に謝罪対応
↓
⑦ 柔道部は活動無期限停止+大会辞退を発表
責任をどう分けるべきか
たとえば、あの日彼が学生だったなら、どう受け止めただろう。
監督として現地にいた鈴木桂治氏の「できることはしたい」という一言には、肩書きではなく人間としての迷いがにじむ。
かつて自らも畳の上で学び、勝ち抜いてきた場所が、なぜこのような問題を抱えてしまったのか――
私たちは、指導者と制度のどちらに、答えを求めるべきなのだろうか?
柔道界全体への影響と制度的課題はどこにある?
他大学や連盟の動きはどうなっているか?
事件を受けて、全日本柔道連盟や大学柔道連盟など、関連団体も事態を重く受け止めている。大会運営や審査委員会の安全管理体制の再点検が進められており、「同様の寮管理体制を見直す動きが広がっている」との指摘もある。
また、今回の大会辞退により、全日本学生柔道界の競技バランスにも影響が出る見通しとなっている。
再発防止のルール整備は進んでいるのか?
柔道部に限らず、学生寮という「私的空間」の監視と安全管理の限界が問われている。国士舘大学はすでに寮の管理責任者や運営マニュアルの見直しを進めており、全国の大学柔道部でも同様の制度再整備が必要との意見が出ている。
今回の事件は、単なる個人の問題ではなく、部活動全体の統治構造の見直しを迫るものとなった。
柔道は、技だけではなく、精神を重んじる競技だ。
その本質が問われる今回の事件は、「勝つために強くなる」のではなく、「人として成熟する」ことの難しさを私たちに突きつけている。
制度が壊れたのか、人が逸脱したのか。答えはまだ出ていない。
だがひとつだけ確かなのは、黙っていても何も戻らないということだ。
📌 全体まとめ
✅ 節タイトル | ▶ 要点 |
---|---|
✅ 発覚からの流れ | 通報→寮調査→会見→謝罪と進行 |
✅ 鈴木監督の対応 | 責任ある立場として発言と行動を両立 |
✅ 柔道界の影響 | 大会バランスや安全規定の再考に波及 |
✅ 制度の課題 | 寮管理・部活運営の統治構造が焦点に |
✅ 社会的意味 | 個人と組織、どちらの限界も問われた |
❓ FAQ
Q:柔道部員は逮捕されたのですか?
A:6月22日時点では、逮捕の報道はなく、警察が家宅捜索と事情聴取を進めているとされています。
Q:大会出場辞退は自主的な判断ですか?
A:国士舘大学が自ら会見で発表し、自主的な判断として処分を表明しました。
Q:柔道連盟の処分はありますか?
A:全日本柔道連盟は大学の処分を尊重しつつ、今後の制度運用の再検討を示唆しています。
Q:再発防止の具体策は決まっていますか?
A:大学側は寮の運営マニュアルと部内規定の見直しを進めていると説明しています。