禁止成分TBHQの検出を受け、千葉市は輸入菓子に対して食品衛生法に基づく回収・廃棄命令を発出。対象製品は「フライドポテト うすしお味」で、中国からの輸入品として市内で販売されていた。制度違反への対応は迅速だったものの、輸入時点での確認体制や制度の実効性に対する再検討が求められている。
輸入スナックからTBHQ
千葉県が回収命令発出
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
中国から輸入されたスナック菓子「フライドポテト うすしお味」から、日本国内で使用が禁止されている酸化防止剤TBHQが検出された。千葉市保健所は、食品衛生法違反として輸入業者に回収と廃棄の命令を出した。健康被害は確認されていないが、制度上の対応が問われている。
なぜ回収命令が出されたのか?
どのような製品が対象だったのか?
問題となった製品は、中国で製造された「フライドポテト うすしお味」(1袋45グラム)。輸入元は千葉市美浜区に所在する清水物産ホールディングスである。賞味期限は2026年1月1日に設定されており、対象ロットは市内で流通中だった。
この製品について、定期的な検査の過程で日本では使用が禁止されている酸化防止剤「TBHQ」が検出された。該当品は、スナック類として広く販売される一般消費向け商品である。
検出された添加物の内容と基準違反
TBHQ(tert‑ブチルヒドロキノン)は、海外では一定の基準内で使用が認められている添加物だが、日本国内では食品への使用が一切禁止されている。今回検出された濃度は、1kgあたり0.0011gと微量であるものの、基準自体がゼロであるため、法的には明確な違反となる。
千葉市保健所はこの検出結果を受け、食品衛生法に基づき、対象商品に対して約12万袋の回収および廃棄を命じたと発表した。
添加物基準の国際差と法的判断のずれ
日本では、食品衛生法により食品添加物の使用基準が厳格に規定されており、TBHQは使用禁止物質として明示されている。一方で、米国や中国など一部諸外国では一定の範囲内で使用が認可されており、製造国である中国では合法的に使われた可能性が高い。
しかしながら、日本国内に流通させる場合には、輸入時点で国内基準に適合させる義務がある。今回のように製品が輸入後に検査で発覚するケースでは、たとえ意図的な混入でなくても、制度上の責任は免れないとされている。
国内と海外におけるTBHQ使用基準の違い
行政対応と社会的影響はどう広がったか?
千葉市保健所の対応内容と措置
千葉市保健所は、輸入業者である清水物産ホールディングスに対し、約12万袋の製品すべてを対象に回収・廃棄命令を発出した。これは食品衛生法に基づく措置であり、違反物質の検出が明らかになった時点で、強制的に実施される手続きである。
また、回収命令と併せて、流通済み商品の所在確認や、対象ロットの回収状況を報告するよう業者側に求めている。千葉市によれば、現時点では健康被害の報告はなく、「人が一生摂取し続けても直ちに影響がある量ではない」と見解を示している。
制度的な課題と輸入監視の仕組み
今回の事案は、製造国と輸入国の添加物制度の差異がもたらした典型的な制度不一致の例である。中国では認可されている成分が、日本では無条件で禁止されている状況の中で、輸入者がその違いに気づかずに手続きした場合でも、日本の法律に抵触する。
これにより、輸入業者は製品の輸入時点で原材料の成分確認・成分証明の提出が求められるが、その実効性には限界も指摘されている。今後は、製造元における製品成分の透明化や、輸入前の自主検査体制の強化が、制度上の課題として浮上している。
輸入食品の制度整備と事前確認の強化課題
今後の制度対応としては、製造国の食品安全基準と国内の許可制度とのギャップを埋めるため、輸入前検査制度や通関段階での成分証明提出義務の見直しが必要とされている。とりわけ、「日本で禁止されている成分が含まれていないか」の事前確認が、事後検出ではなく流通前に完結される体制づくりが急務である。
業者側の自主検査だけでなく、輸入段階での厚労省や自治体の関与強化も検討される余地がある。今回の事案は、法制度の実効性と執行のギャップを示したものとされている。
-
製造元の添加物開示制度の国際標準化が必要
-
通関時の輸入食品の成分チェック体制の見直しが検討課題
-
健康リスクがなくとも、制度違反として迅速対応が求められる
-
輸入品の販売 →
-
保健所による検査でTBHQ検出 →
-
食品衛生法に基づく違反認定 →
-
回収・廃棄命令を発出 →
-
健康影響は軽微だが制度上の対応が優先された
輸入品において、製造国では合法でも、日本では禁止されている添加物が含まれていることがある。消費者としては、何を信頼して購入するべきか戸惑う場面もあるだろう。制度語での確認が日常の判断基準に直結していく。
制度上の課題と今後の再発防止策
製品の成分表示だけでは、制度違反の可能性を見抜くことは難しい。今回のようなケースでは、制度の境界線が消費者には見えづらく、リスクに気づけないまま購入が行われてしまう可能性がある。法的な禁止物質であることが確認された段階で回収命令が出されたが、消費行動の段階では、違法性を認識する術がなかったともいえる。
今後、制度的に求められるのは、成分情報の多言語化や、流通業者によるリスク情報の掲示強化など、制度の“見える化”にある。
制度の境界線は誰に見えているか
制度に違反する成分が検出された以上、行政による対応は当然の処置といえる。しかし、現実には消費者も業者も「制度の境界線」を知らずに判断をしてしまっている。この境界が不透明である限り、再発は防げない。
禁止物質を「知らなかった」という言い訳は、制度の実効性を損なう可能性がある。私たちはその境界線を、もっと可視化できていただろうか。制度は存在していても、それが伝わらなければ機能しない。制度が機能するとは何か、いま一度立ち止まる必要がある。
❓ FAQ
Q1:TBHQはなぜ禁止されているのですか?
A:日本では食品添加物としての安全性が確認されておらず、食品衛生法で使用が禁止されています。
Q2:今回のスナックを食べてしまった場合、健康に問題はありますか?
A:千葉市保健所によれば、今回検出された量では健康への影響はないとされています。
Q3:対象商品の賞味期限はどのように確認できますか?
A:今回の回収対象は「2026年1月1日」賞味期限のロットとされています。
Q4:今後、輸入食品の安全はどう強化される予定ですか?
A:通関時の成分証明提出や、輸入前の自主検査の制度化が検討されています。
Q5:TBHQは他国では使用されているのですか?
A:米国や中国など一部の国では、一定基準内での使用が認められています。