春夏合わせて11回の甲子園出場を果たしてきた鳴門高校・森脇監督が、部員への不適切指導により謹慎処分を受けました。徳島県高野連は倫理規定に基づき3か月間の謹慎を決定。学校は再発防止として研修の導入を発表し、県内全体で指導体制の見直しが進められています。
高校野球の名将
3か月の謹慎処分
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徳島県の強豪・鳴門高校を長年率いてきた森脇稔監督が、部員への暴言や身体接触を理由に、徳島県高野連から3か月間の謹慎処分を受けた。春夏あわせて11回の甲子園出場を果たしてきた名将に対する処分は、部員からの申し出を受けて行われた学校側の調査によって明らかになったもので、地域の高校野球指導体制に制度的な対応が求められている。
📋要約表
森脇監督の処分はなぜ下されたのか?
指導中の暴言と過去の行為
2025年5月、鳴門高校の野球部指導中において、森脇稔監督が部員に対し「あほ」「ぼけ」といった暴言を繰り返したとされる。発言の背景には、試合中に起きたミスを巡る選手間の指摘がなかったことへの不満があったという。
さらに、2024年にも練習中に態度を理由として、ある部員の腹を手で押し、帽子で頭をたたく行為があったとされる。いずれも部員への直接的な言動であり、指導方法としての妥当性が問われる行為だった。
学校と高野連の対応経緯
複数の部員がこうした行為に対して学校側に申し出たことで、鳴門高校は独自に聞き取り調査を実施。その結果、暴言や身体接触の事実が確認され、学校から徳島県高野連に報告がなされた。
これを受け、県高野連は6月21日付で森脇監督に対して3か月間の謹慎処分を科した。森脇監督は処分を受け入れ、「迷惑をかけ申し訳ない」との謝罪のコメントを出している。
🔸倫理規定に基づく処分措置の内容
今回の処分は、徳島県高野連が定める「指導者倫理規定」に基づいて行われた。規定には、部員への不適切な言動に対して、教育的措置を優先した対応が求められている。
処分期間である3か月間は、指導・練習参加・大会帯同を一切禁止するものであり、森脇監督は公式な指導活動から完全に外れる。この措置には、再発防止と倫理観の明確な線引きの意味が込められている。
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「指導者倫理規定」に基づく判断
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指導活動の全面停止が処分範囲に含まれる
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再発防止を制度的に位置づける狙い
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📊高校野球指導者に対する処分の事例比較
▶ 要素 | ▶ 森脇稔監督(鳴門高校・2025年) |
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処分内容 | 徳島県高野連による3か月間の謹慎 |
行為の概要 | 暴言(2025年)/身体接触(2024年) |
発覚経緯 | 部員による申し出/学校の調査 |
制度的根拠 | 指導者倫理規定に基づく処分 |
本人の対応 | 謹慎受諾・謝罪コメント発表 |
指導体制の変化と学校側の再発防止策
今後の指導体制と大会出場への対応
森脇監督の謹慎処分により、7月に予定されている徳島県大会では、同校の岡田将和部長が監督代行を務める方針が示された。学校側は代替指導体制の下でも競技への参加姿勢を保つとしており、既に県高野連にも必要な届け出を済ませている。
選手たちの動揺や影響についても配慮がなされており、保護者やチーム関係者に対して説明会を実施する準備が進められている。指導者不在の環境下でも混乱を避けるための対応が求められている。
再発防止と倫理意識の徹底策
学校側は再発防止策として、外部講師を招いたハラスメント研修の実施を決定した。これは教員全体を対象に行われるもので、暴言や不適切指導の境界について改めて共有する目的がある。
また、教育委員会とも連携し、今後は全クラブ活動における指導マニュアルの再点検を進めるとした。野球部特有の上下関係や慣習的な指導スタイルについても見直しが検討されている。
🔸制度的対応と地域全体への波及
鳴門高校は、県教育委員会の指導のもと、今後の再発防止策として、徳島県下の他校とも情報共有を行う予定だ。特にスポーツ系部活動における「旧来的な指導様式」への見直しが議論されており、制度対応は学校単独の枠を超えている。
今回の対応を通じて、県全体の高校スポーツにおける指導基準の統一化が検討されており、倫理教育を制度化する動きが現実味を帯びている。学校現場と競技団体の連携強化が今後の焦点となる。
🔁今回の処分と対応の流れ
① 部員が指導中の暴言・行為を学校に報告
→ ② 学校が聞き取り調査を実施
→ ③ 徳島県高野連へ報告
→ ④ 高野連が謹慎処分を決定
→ ⑤ 学校が代行体制と研修策を発表
再発防止策として研修を実施する制度が整っても、その現場で指導する教員が本当に言葉の重みを意識できているかは別の問題である。形式的な処置ではなく、制度の内側から指導のあり方が変わるのかどうかが問われている。
今後の高校野球指導に問われる制度的責任
高校野球における指導の倫理性は、これまで「情熱」や「勝利至上主義」によって曖昧にされてきた側面がある。だが今回、春夏合わせて11回の甲子園出場という功績を持つ指導者にも処分が下されたことで、競技の現場における制度的対応の転換点が浮かび上がってきた。
制度としての指導者倫理は、もはや表面的な方針や誓約書だけでは機能しない。問われているのは、日常的な指導の言動・接し方そのものが制度に接続しているという認識を、いかに当事者に根づかせるかという点である。
❓FAQ
Q1:森脇監督の処分期間はいつまでですか?
A:2025年6月21日から3か月間の謹慎処分とされています(徳島県高野連)。
Q2:鳴門高校の監督は今後誰が務めるのですか?
A:7月の県大会は、岡田将和部長が監督代行として指揮する予定です。
Q3:再発防止策にはどのような内容がありますか?
A:外部講師によるハラスメント研修と、教職員全体への指導マニュアル再確認が予定されています。
Q4:処分の根拠となった制度は何ですか?
A:徳島県高野連が定める「指導者倫理規定」に基づいて処分されました。
📚鳴門高校・森脇監督の処分と制度的論点