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名古屋城のシカが2頭に 市が絶滅回避へ譲受検討

1952年から続く名古屋城のシカ飼育が、個体数2頭・繁殖不能という構造的危機に直面している。市議会ではオスの導入と繁殖再開の提案がなされ、市は外部施設との連携に着手。名古屋城の風景を守るための制度判断が問われている。

 

 

 

名古屋城のシカが2頭に
市が絶滅回避へ譲受検討

 

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名古屋城の内堀で飼育されてきたシカが、最盛期の56頭から現在はわずか2頭にまで減少している。高齢のメス2頭のみが残され、繁殖も困難な状況にある中、名古屋市は絶滅回避に向けた制度対応として、外部施設からの譲受を検討。市議会と市長が対応を協議する動きが進んでいる。

見出し 要点
飼育開始 1952年に東山動植物園から譲渡されて始まった
個体数推移 1977年に56頭となったが、現在は2頭にまで減少
残存個体 残っているのは高齢のメス2頭(母子)とされる
市の提案 市議が外部施設からの譲受と繁殖再開を提案
市長の対応 職員派遣を表明し、制度的検討を進める方針を示した

なぜシカは絶滅危機にあるのか?

いつ・どこで飼育が始まったのか?

名古屋城の内堀でシカが放し飼いにされたのは、1952年のことである。戦時中の空襲で焼失した天守の再建が進められていた時期、来場者に楽しみを与えようという発想から、東山動植物園名古屋市千種区)からヤクシカ3頭が譲り受けられた。

この3頭は、その後自然繁殖を繰り返し、1977年には頭数が56頭にまで達した。城郭の内堀という限られた空間で、草を食む群れが訪れる人々に親しまれ、名古屋城の風景の一部として定着していった。

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なぜ頭数が減少したのか?

しかし、繁殖が続いたことで問題も表面化する。野犬に襲われる事例や、病死する個体の増加が目立ち始め、徐々に頭数が減っていった。さらに、管理上の理由から繁殖制限が導入され、群れの自然増加は抑えられていった。

1991年には、和歌山城公園動物園(和歌山県)からホンシュウジカ3頭が新たに贈られ、血統維持の試みもなされた。しかし、現在残っているのは、その子孫とされるメス2頭のみである。母「もみじちゃん」と子「やまむらちゃん」は、それぞれ人間に換算して60歳と40歳ほどの高齢であり、繁殖能力は既に失われているとされる。

制度的な飼育継続の限界とは

名古屋市によると、シカの飼育は当初レクリエーション的な発想に基づいており、長期的な維持管理制度が整っていたわけではなかった。野生動物に近い環境下での放し飼いは、給餌・健康管理・繁殖制御を人為的に行う必要があり、継続には相応の予算と制度化が求められていた。

繁殖停止後、管理体制は徐々に簡素化され、死亡や老齢化が進行しても新たな導入や再繁殖の制度措置が取られなかった。この放置的な運用が、現在の“絶滅危機”という状況を招いたとの指摘もある。

  • 初期は動物福祉ではなく観光施策として運用されていた

  • 繁殖制限以降の制度的バックアップが途絶していた

  • 動物の高齢化に対する対応が制度内に整備されていなかった

他都市の動物飼育制度との違い

要素 名古屋城(内堀のシカ) 和歌山城(小動物園)
飼育開始年 1952年(戦後復興施策) 昭和初期(動物園として開設)
飼育対象 ヤクシカ→ホンシュウジ サル・シカ・小型哺乳類など
飼育環境 内堀に放し飼い 柵内に展示・繁殖管理あり
管理制度 市直営だが繁殖制限後は低調 専門職員が常駐し記録管理あり
現在の状況 高齢メス2頭のみ/繁殖不能 複数種が定期繁殖・維持中

市と議会の対応はどう進んでいるか?

誰が提案し、何を目指しているのか?

2025年6月23日の名古屋市議会定例会で、浅井正仁市議(自民)が「名古屋城のシカが絶滅しかけている現状を放置すべきではない」と述べ、繁殖再開に向けた対策を求めた。

具体的には、和歌山県のレジャー施設「アドベンチャーワールド」からオスのシカを譲り受け、再び繁殖を目指す案が提示された。浅井市議は「観光資源としての価値もあり、次の世代にも残すべき」と述べている。

なぜ外部施設と連携するのか?

この提案に対し、広沢一郎市長は「名古屋城でシカを内堀に放して飼っているのは他に例がなく、来場者にとって象徴的存在」とした上で、「絶やすことのないよう、市として対応を急ぐ」と答弁した。

市長はさらに、具体的な対応として、アドベンチャーワールドに担当職員を派遣する意向を明らかにしている。譲渡交渉や生育環境の適合調査、制度的な受け入れ基準の確認など、繁殖体制の復元に向けた動きが本格化する見込みだ。

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制度連携の難しさと現実的対応

繁殖再開に向けて外部施設から新たな個体を導入するには、単なる動物の移送だけでなく、種の適合性や遺伝的管理、飼育施設の基準整備など、多面的な制度対応が求められる。

アドベンチャーワールド側との調整が成立したとしても、名古屋城内の放飼環境が新しい個体に適応可能かは慎重な評価が必要とされている。また、獣医師による健康評価や、環境省の許可を要する場合も想定される。

  • 動物搬入には生育環境・感染症リスク評価が必要

  • 遺伝管理・生態系維持が制度上の必須項目

  • 観光と動物福祉の両立に向けた議論も不可避

見出し 要点
議会の提案 市議が繁殖再開へ向けた譲受案を提示した
市の姿勢 市長が職員派遣を含めた対応に言及した
制度的課題 遺伝・環境・健康面での調整が必要
外部施設 アドベンチャーワールドとの連携が鍵となる

名古屋市の対応ステップ

① 市議会で繁殖再開が提案される
 ↓
② 市が担当職員の派遣を決定
 ↓
③ 受け入れ候補の施設と交渉開始
 ↓
④ 飼育環境・個体適合性を評価
 ↓
⑤ 必要な制度手続きを整備・実行

名古屋市は「観光資源の維持」という名目で再導入に動こうとしている。だが、20年以上にわたり管理されてきた高齢メス2頭の存在が、制度的にどう扱われるのかは明確でない。飼育を「再開すること」が、本当に保護につながるのかという問いが、制度の外側で静かに浮かんでいる。

飼育継続の制度的論点はどこにあるのか?

絶滅寸前の2頭が問いかける“観光動物”の制度責任

名古屋城のシカは、制度でも福祉でもなく、長く「風景」として扱われてきた。その結果、世代交代もされないまま2頭の命が残された。もし今、新たな個体を迎えるとしたら、それは展示のためか、救済のためか。その目的が制度の中で定義されていない限り、次の決断はまた“自然減少”に委ねられてしまうのではないか。動物の命と観光制度の関係を、いま問い直す時期にある。

 

❓ FAQ

Q1:なぜ名古屋城でシカが飼育されているのですか?
A:1952年、東山動植物園から譲渡された3頭のヤクシカが放され、来場者の慰めとして始まったとされています。

Q2:今残っている2頭は繁殖できますか?
A:現在の2頭はともに高齢のメスであり、繁殖能力はないと報道されています。

Q3:市はどのような対策を検討していますか?
A:市はアドベンチャーワールドからのオス個体の譲受や繁殖再開を視野に、職員の派遣などを検討しています。

Q4:他の城でも動物を飼っている例はありますか?
A:和歌山城など一部の城では動物展示が行われていますが、名古屋城のような放し飼いは珍しいとされます。

要素 要点
飼育の歴史 1952年に東山動植物園から譲渡され、内堀での放し飼いが始まった
減少の経緯 野犬被害や病死、制度的な繁殖停止により頭数が減少した
現在の状況 メスの親子2頭が残存し、いずれも高齢で繁殖は不可能とされる
市の対応 オスの譲受を検討し、繁殖再開を視野に外部施設との調整を進めている

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