埼玉を拠点に洋菓子店「キャトーズ・ジュイエ」を展開していた(有)白鳥菓子工房が、全店舗を閉鎖し、破産手続きの準備を開始。長年地域で愛された菓子店の突然の事業停止に、SNSでは惜しむ声が相次いでいる。事業停止の経緯と影響、今後の手続き状況を整理する。
「キャトーズ・ジュイエ」
全店閉鎖へ
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有名フランス菓子店「キャトーズ・ジュイエ」を展開していた(有)白鳥菓子工房が、資金繰りの限界から事業停止に至った。地域に根ざし、長年にわたり親しまれてきた菓子店が、なぜこの時期に経営を終えることとなったのか。
見出し | 要点 |
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店舗停止の概要 | 白鳥菓子工房が6月24日までに事業停止 |
店舗ブランド | 「キャトーズ・ジュイエ」を運営、6店舗展開 |
手続き | 弁護士に債務整理を一任、破産申請準備中 |
負債総額 | 約1億6000万円と確認された |
なぜ白鳥菓子工房は停止に至ったのか?
成長期とブランド形成
白鳥菓子工房は1991年に創業され、1996年に法人化された。代表はフランスでの修業経験を活かし、独自の製法と素材にこだわった洋菓子づくりに取り組んでいた。ケーキや焼き菓子は地域の人気商品となり、「キャトーズ・ジュイエ」の屋号で展開された複数の店舗は、地元メディアにもたびたび登場していた。最盛期の2016年には、年商約2億700万円を記録していた。
財務悪化と多店舗展開の影響
順調に見えた運営の裏では、慢性的な収益性の低さが課題となっていた。多店舗展開にともなって借入が増え、有利子負債の返済が資金繰りを圧迫していた。そこへ新型コロナウイルスによる営業制限、さらには原材料価格の高騰といった外部要因が重なり、経営は一層厳しさを増していった。
資産売却と猶予策の限界
資産の一部を売却し、借入返済に対して猶予を受けるなど、経営再建の努力は続けられていた。しかし、状況は改善せず、2025年初頭から店舗の段階的な閉鎖が始まっていた。事業の継続が現実的でなくなり、最終的に全店舗の営業を終了し、債務整理を弁護士に一任する判断が下された。
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一部店舗の早期閉鎖
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債務整理を視野に入れた協議
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弁護士への事後処理委任
項目 | 過去(最盛期) | 現在(停止直前) |
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店舗数 | 最大6店舗 | 全店舗閉鎖済み |
年売上 | 約2億700万円(2016) | 非公開(推定大幅減) |
収益性 | 継続的な赤字基調 | 経営維持が困難な水準 |
どのような影響と反応が出ているのか?
地元住民・常連客の反応
長年「キャトーズ・ジュイエ」のケーキや焼き菓子を利用してきた常連客からは、閉店を惜しむ声がSNSを中心に広がっている。誕生日や記念日に同店を利用していた家庭も多く、思い出とともに喪失感を語る投稿が目立つ。とくに千間台本店の閉鎖を知った地元住民の中には、閉店告知の写真を撮影し、惜別のコメントを添える動きが続いていた。
関係先と取引金融機関の対応
同店と取引のあった原材料業者や流通業者には、すでに閉店と債務処理の通知が送られている。また、金融機関との間では、手形や借入の整理に向けた協議が進められており、当面は弁護士を窓口として対応する体制が整えられている。
雇用・物流の影響
パート・アルバイトを含めた十数人が一斉に離職する形となり、短期的な生活不安が一部地域で表面化している。また、これまで同店と定期的な供給契約を結んでいた製菓材料業者では、取引中断に伴う在庫調整や仕入れ契約の見直しが進行中で、調整負担が波及している。自治体の福祉窓口でも生活相談の受け付けが始まっており、地域の支援体制も問われている状況にある。
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雇用調整助成金の対象には該当していない
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地域の洋菓子需要に空白が生まれている
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他社による事業引き継ぎの動きは確認されていない(調査中)
注目点 | 状況 |
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SNSでの声 | 惜しむ投稿や思い出の共有が多数 |
雇用への影響 | パート等十数人の解雇 |
供給側の反応 | 取引中断に伴う調整が進行中 |
【事業停止に至る経営悪化の流れ】
①事業拡大
↓
②収益性低下
↓
③資金繰り逼迫
↓
④コロナ・原材料高騰の直撃
↓
⑤債務整理・事業停止
有利子負債の増加に伴い、店舗運営の柔軟性が奪われていった。原材料の高騰という外的要因が追い討ちをかけたが、読者の立場でも、閉店という選択が他になかったのかを振り返る余地はあるだろう。
店舗拡大と収益圧迫の狭間で問われた選択
地域密着型の洋菓子店であっても、店舗数の拡大と金融負担の両立には限界があった。多店舗化を進める中で、販路や支出管理の制度的基盤が確立されないままに推移し、最終的には破綻という形に帰結した。事業承継や縮小経営の選択肢が、どれほど真剣に検討されていたのかが問われている。
❓FAQ
Q1. キャトーズ・ジュイエの店舗は今も営業していますか?
→ すべて閉店済み。2025年6月24日までに事業を停止したと確認されている。
Q2. 商品の購入は今後どうなりますか?
→ オンライン販売・再開の予定は出ていない。在庫販売等の情報も確認されていない(調査中)。
Q3. 破産手続きは開始されていますか?
→ 石河秀夫弁護士が債務整理を担当し、自己破産申請に入っている。
Q4. 雇用者への補償はあるのか?
→ 助成金の活用はなされていない。地域の福祉窓口を通じて対応している。
Q5. 事業を引き継ぐ企業はありますか?
→ 現時点では確認されていない(調査中)。
見出し | 要点 |
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店舗名と事業内容 | 「キャトーズ・ジュイエ」を展開する洋菓子製造・販売業 |
停止の時期と手続き | 2025年6月24日までに全店舗を閉鎖し事業停止、破産準備へ |
背景要因 | 収益性の低さ・借入増・原材料高騰・コロナ影響が重なった |
被害と影響 | 雇用喪失、取引停止、地域の需要空白、今後の再建見通しなし |