鳥取県倉吉市の養魚場で、大雨により水路が詰まり、酸欠状態となった池でニジマスやイワナ約1000匹が死亡しました。被害額は450万円にのぼり、出荷目前だった魚たちの損失が報告されています。水口のごみ詰まりや監視体制の課題が指摘される中、養殖という営みのもろさが改めて問われています
鳥取・養殖池で
魚1000匹死亡
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鳥取県倉吉市の養魚場で、ニジマスやイワナおよそ1000匹が酸欠により死亡した。大雨で水路が詰まり、池に十分な水が供給されなくなったとされる。業者は出荷直前の被害に「残念だとしか言いようがない」と語った。
✅ 要約表
なぜ大量死が起きたのか?
水路詰まりと酸欠の発生状況
6月23日夜、鳥取県倉吉市の関金町では局地的な激しい雨が降った。1時間あたりの降水量は22.5ミリを記録し、その雨が養殖池の水路に落ち葉や泥を詰まらせた。水の流れが滞り、池への供給が一気に減った結果、魚たちが酸欠状態に陥った。酸素量が急激に減ったことで、特に大型のニジマスが影響を受けやすく、多くが池の底で動かなくなっていた。
気象と池の配置構造
被害が集中したのは、敷地内にある23の養殖池のうち、特に魚の密度が高かった5つの池だった。池の配置は段差構造になっており、上流からの水が順に流れ込む仕組みだったが、最上流の水口が詰まったことで連鎖的に下流の池も水不足となった。酸素を多く必要とする出荷間近の成魚が多かったため、短時間で被害が広がったと見られている。
🔸 類似事例との比較と防止の難しさ
過去にも同様の事例は各地で発生している。2021年には新潟県の山間部で、大雨により養殖池が濁流にのまれ、イワナ約700匹が死んだケースが報告された。また、2018年には長野県で排水管の破損が原因で同様の酸欠死が発生した。いずれも自然由来の原因であり、即時の対応が難しいことが共通していた。
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大雨に起因する水路トラブルは各地で複数回報告あり
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酸欠は数時間で致命的状況となるため対応猶予が少ない
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池ごとの酸素センサー導入が予防策として検討されている
✅ 過去の類似被害との違い
比較項目 | 小泉川養魚場(今回) | 新潟県の例(2021年) |
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被害規模 | 約1000匹・2トン | 約700匹・イワナ中心 |
原因 | 水路詰まりによる酸素不足 | 豪雨による土砂混入と濁流 |
発生時間 | 夜間〜早朝(24日朝に発見) | 昼過ぎに急変し、夕方までに全滅 |
被害回避の可否 | 水口のゴミ詰まりは予測困難 | 豪雨予報が出ていたが、水位上昇が想定外だった |
対応策の見直し | 水路監視体制の強化と物理フィルター設置を検討中 | 土砂崩れ対策と監視カメラの導入が進行中 |
影響と関係者の声
養殖場側の発言と対策方針
今回の被害を受けた小泉川養魚場の小椋勝美社長は、「55年ほどやってきたが、ここまで大きな被害は初めて」と振り返った。被害が出たのは6月24日の朝で、すでに出荷直前の成魚が多く池に入っていたという。とくに大型魚の密度が高い池で酸欠の影響が顕著だったとされ、被害額はおよそ450万円にのぼる。
今後については、「水路のごみ詰まりが発端だったことを重く見て、吸い込み口の見直しや監視体制の強化を進めていきたい」としており、今後は物理フィルターの導入や排水経路の整備も視野に入れている。
地域や関連機関の反応
関金町は大山からの水を利用する養殖が盛んな地域であり、今回の件は地元でも驚きをもって受け止められている。近隣の農家や観光関係者からは「自然相手とはいえ、ここまで一気に被害が出るとは思わなかった」という声も上がっていた。
また、地域の小学校などと交流のある施設であったことから、子どもたちにとってもショックの大きい出来事だったとの報告もある。現地では観光用のニジマス釣り堀や見学体験も行っており、今後は安全管理体制の見直しも求められている。
🔸 再発防止への対応
再発防止と養殖業の今後
小泉川養魚場では今後、全池の流入口にセンサーを設置し、水位や水量の変化をリアルタイムで把握できるよう準備を進めている。また、今後は地域の防災連絡網とも連携し、大雨の予報が出た時点で早期に注意喚起を行える体制を目指すという。
過去の事例を踏まえても、水路の目詰まりは短時間で生じ、酸素の供給が断たれることで致命的な影響を与える。とくに出荷間際の成魚は代謝も活発で酸素消費が多く、事前対応が被害を左右する。
見出し | 要点 |
---|---|
被害に対する声 | 養殖場代表は「55年で初の規模」とコメント |
今後の対策方針 | 水口の管理強化と監視機器の導入を検討 |
地域の反応 | 観光施設としての側面もあり、地元では驚きと心配の声が出ている |
安全管理と再発防止 | センサー導入や防災連携を通じて再発防止を図る予定 |
✅ 酸欠による被害発生の流れ
① 強い雨が降る(6月23日夜)
↓
② 水路の入口に落ち葉や泥が堆積
↓
③ 水量が減少し、池への流れが止まる
↓
④ 酸素が不足し始める(深夜〜早朝)
↓
⑤ 出荷前の成魚が大量に酸欠死
酸素不足が発生したのは、わずか数時間の間だったという。池にいた魚たちは逃げ場もなく、静かに水底へ沈んでいた。あの朝、業者の目に映った光景を思うと、自然と向き合う仕事の過酷さが浮き彫りになる。
養殖という営みの脆さと向き合うとき
水路の詰まりが引き金となり、わずか一晩で1000匹もの魚が命を落とした。養殖という営みは、人の手によって水や餌が管理される一方で、その供給が途切れた瞬間に支えを失ってしまう。今回のように自然のわずかな変化が致命的な結果をもたらす以上、その扱いにはより繊細な準備と観測が求められていた。大規模な設備が整っていても、判断の遅れが命に直結する構造に、弱点が残っていた。
✅ FAQ
Q1. なぜ酸欠が発生したのですか?
A1. 大雨によって水路が詰まり、池への水の供給が減少したことで、溶存酸素が不足しました。
Q2. 被害額はどのくらいですか?
A2. 出荷直前だったこともあり、ニジマス・イワナあわせて約450万円の損失が見込まれています。
Q3. どのくらいの規模の魚が死んだのですか?
A3. 約1000匹、重量で約2トン分の魚が一晩で死亡したとされています。
Q4. 養殖業者は今後どう対応する予定ですか?
A4. 吸い込み口の清掃体制の強化やセンサーによる監視体制の導入が検討されています。
Q5. 他地域でも同様の被害はあるのですか?
A5. 新潟や長野などでも過去に同様の被害が報告されており、自然要因による酸欠死は全国的な課題となっています。