見た目は地味、価格は強気
ドンキの「152円ビール」
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モノクロの缶に「ド」とだけ書かれたこのビール。スーパーやコンビニに並ぶ派手な缶たちの中で、異質な存在がSNSで話題になっている。「え、これがビールなの?」と手に取った人が次々に価格と味に驚く。その正体は、ドン・キホーテが発売した1缶152円の“PBビール”だった。
なぜあの見た目になったのか?
白パッケージの意図と設計方針
通常のビール缶は、色とデザインで消費者の視線を引く。金、黒、銀、赤、時に動物やキャラクターまで描かれ、見た目の競争は激しい。だが、ドンキのPBビールはその逆を突いた。白地に黒文字、正面には「ド」の1文字と「本格ラガービール」の表記だけ。あらゆる派手さを排し、“目立たないことで目立つ”という真逆の発想が込められていた。
開発担当の井上遼太さんによれば、「価格で勝負するためにデザインは極限まで削った」と語る。一般的なカラー印刷を避け、必要最低限の情報だけを配置。さらに、OEM製造の現地・ベトナム工場との調整により、シンプルな印刷形式でインクコストの削減を実現したという。
SNS反応とユーザー心理
「なにこれ、地味すぎて逆に気になる」「この缶、絶対ドンキでしょ」。SNSではこの“見た目の異質さ”に興味を持つ声が多く投稿された。特に目立ったのは、「あえて情報がない方が選びやすい」「パケ買いしない層にはありがたい」というユーザーの実用志向だ。
通常はブランドやキャッチコピーが購買の決め手になるが、今回のような引き算のデザインは、価格に敏感な層にとってはむしろ安心材料となった。視線を奪うことより、手に取ったときの納得感を重視する姿勢が、SNSでもじわじわと共感を広げていた。
ブランド感の排除は“価格最優先”の選択だった
ドンキの商品に共通するのは「価格が主語である」点だ。特にこのPBビールでは、味や香りの前にまず“買いやすさ”があるかを重視したという。店内でブランド缶と並んでも浮かないよう、そして販促費が価格に跳ねないように、文字・色・デザインを意図的に削ぎ落とした。
実際、ビール缶に「ド」と書くだけの提案には社内でも反発があったが、担当者は「価格を守るにはここしか譲れなかった」と語る。結果として、価格に敏感な層に刺さる“潔い選択”としてSNSで評価された。
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ブランド感を最小限に抑える判断
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デザイン経費の削減が価格維持に直結
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無印的な見た目が実用層の支持を得た
通常ビールとドンキPBビールのちがい
どのような反応と影響が出ているのか?
SNSと販売現場の声
発売から3週間が経過し、ドンキPBビールは当初予想の130%ペースで売れているという。SNSでは「この価格でこの味なら十分」「1本だけ買うより、ケース買いの方がお得」といった投稿が散見される。
とりわけ注目されたのは、容量と価格のバランスだった。一般的な350mlに比べて20ml少ない330mlであることに気づいた一部のユーザーが「お得に見えて、ちょっと小さい」と言及。とはいえ「この価格なら納得」「冷蔵庫にも収まりやすい」と肯定的な声も多く、全体としては許容されている印象が残る。
デザインとコストの兼ね合い
PB商品の大半は価格を軸に設計されるが、ドンキのビールは“見た目”と“包装”の工夫によってさらにコストを圧縮していた。缶デザインを単色にし、24缶のケース包装も上面をフィルムに変更。フィルム面に説明文を印刷することで、見た目の訴求とコストカットを両立させた。
また、製造拠点であるベトナムの工場では、基本仕様が330mlのため、日本仕様の缶を使う場合は追加の物流費がかかる。こうした事情からあえて容量を増やさず、価格優先で330mlのまま採用したとされる。
容量の違いに対するSNSの疑問と工場事情
SNSでは「缶が少し小さい」とのコメントが目立ったが、開発サイドは「製造国の標準に従うことで価格を抑えた」と説明している。日本から缶を輸入すれば、1缶あたり数円のコスト上昇となり、24本で比較すれば100円単位の差が出る。
この選択は、1円単位の価格に敏感な消費者層を意識した判断だった。結果として、容量に対する不満より「これなら許せる」という納得感がSNSで共有されていた。
観点 | 内容 |
---|---|
販売動向 | 想定の130%ペース/ケース購入が主流 |
SNS反応 | 見た目の異質さが話題/価格に納得する声 |
容量の違い | 330mlに疑問の声もあるが理解されつつある |
今後の焦点 | モノクロ路線の定着と飲用層の拡大性 |
【発売までの流れ】
クラフトビールの成功
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PB化の模索(国内メーカーと価格折り合わず)
↓
ベトナム工場とOEM提携
↓
モノクロ缶+コスト削減パッケージ案
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社内反対→フィルム印刷の妥協案で承認
↓
330ml缶で価格維持→発売へ
缶を手にしたとき、小さくて軽いと思った。だが、価格を見て納得し、棚に戻すことはなかった。味にうるさくはないが、出費には敏感な自分にとって、これは“買えるビール”だったのだ。ブランドの看板も、ラベルのうたい文句もなかった。ただ、それでも十分だった。そう感じる人が、今は少しずつ増えているように見えた。
今後の課題と価格戦略の焦点
モノクロ缶に込められた意志は、商品設計の最小単位を再定義する試みでもあった。ラベルに頼らず、味と価格に集中する姿勢は、従来の「選ばれる理由」を裏返した判断だったのかもしれない。
330mlという数字は、小ささよりも“必要十分”という選択に見える。満足を過剰に装飾しない構成は、長期的には価格への信頼感として蓄積されていく。今後このビールが「選ばれ続ける」存在になるかは、派手さのない設計が、静かに価値を伝えきれるかにかかっているようにも思えた。
❓ FAQ
Q1. ドンキPBビールの特徴は何ですか?
A1. モノクロ缶に「ド」と大きく記されたデザインで、330ml・アルコール度数6%。ドイツ産ホップとフランス産モルトを使用しています。
Q2. なぜ330mlと少し小さめなのですか?
A2. 製造拠点のベトナム工場では330mlが標準のため、日本仕様の缶にすると物流コストが上昇するからです。
Q3. ケース購入すると価格はいくらになりますか?
A3. 1缶164円ですが、24缶入りケースで購入すると1本あたり152円になります。
Q4. 店頭の反応はどうですか?
A4. SNSでは「安いのにしっかり飲める」「地味だけど逆に目立つ」と好意的な声が目立ちます。
Q5. どこで買えますか?
A5. ドン・キホーテ各店舗の店頭ビールコーナーで販売されています。