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出荷すれば赤字、畑に残されたキャベツ1万玉の決断

 

価格高騰から増産、そして暴落へ──沖縄の農家が1万玉のキャベツを廃棄した判断には、単なる損得だけでない複雑な要因が絡んでいた。価格と判断のギャップに迫る。

 

 

 

出荷すれば赤字
キャベツ1万玉の決断

 

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沖縄県宜野座村の農家が、収穫を目前にしたキャベツ約1万玉を畑に残したまま廃棄する決断を下した。高騰していた価格は春先から急落し、出荷すればするほど赤字になるという逆転現象に直面していた。農家の努力とは裏腹に、物流コストと市場価格の不均衡が重なり、育てた作物を手放す選択を余儀なくされた。

見出し 要点
廃棄数 約1万玉が畑に残された
原因 市場価格下落と輸送費高騰
価格推移 年始の高騰→春以降に暴落
農家の判断 出荷断念、畑で廃棄処理へ

なぜキャベツが廃棄される事態となったのか?

値崩れと物流コストの逆転

5月半ば、市場で競りにかけられたキャベツは6玉入り1ケースで400円だった。段ボール代を除けば、1玉あたりの売値は40円にとどまる。一方で、資材価格と人件費は昨年よりも上昇しており、農家は「1玉100円を超えなければ利益が出ない」と見積もっていた。価格の落差が広がり、出荷するほど収支が悪化する状態が続いた。

本土までの輸送にかかる費用も負担の一因だった。競り値にかかわらず、物流コストを自腹で補填せざるを得ない構造のなかで、農家は「売るよりも廃棄したほうがマイナスが小さい」と判断せざるを得なかったという。

増産と天候条件が重なった背景

価格高騰が報じられた昨年末、各地でキャベツの作付けが一気に増加した。宜野座村の農家も例年より多くの苗を植え、豊作を期待していた。加えて、今年3月までの冷え込みが害虫の発生を抑え、生育も順調に進んだ。

しかし、4月に入り市場には品質の良いキャベツが大量に出回り、値崩れが始まった。県外産の出荷時期とも重なったことで、卸売市場の在庫が急増。買い手側の動きが鈍くなり、県内農家の出荷余地が狭まっていった。

流通と価格形成の歪み

沖縄県では、地元産野菜の価格が県外市場の動向に強く左右されやすい。生産地からの距離や輸送量によって、競り値よりも物流負担が上回る事例が少なくない。特に、段ボールや包装資材の価格が年々上昇しており、農家の実質利益を圧迫している。

この農家は、県内のスーパーや直売所に回す案も検討したが、在庫処理の時間と人員が足りず断念した。「規格外でもよいから買いたい」という声は一部であっても、安定した流通の形には至らなかったという。

  • 県外向けの出荷には段ボールや冷蔵輸送が必須

  • JAや仲卸との調整で時間を要し、タイミングを逃すことも

  • 地元流通の拡充には設備と協力体制が求められる

昨年との状況比較

項目 今年(2025年) 昨年(2024年)
出荷時単価 約40円/玉 約120円/玉
気象条件 害虫少なく好天 干ばつと台風影響
廃棄規模 約1万玉 なし(全量出荷)

影響と関係者の反応はどうか?

農家の声と地域への波及

廃棄が決まった畑では、今も一面にキャベツが残されたままになっている。出荷を断念した農家は「せっかく育てたのに悲しくなる」と言いながらも、その判断に迷いはなかったという。実際に出荷を続ければ損失が膨らみ、次の作付け資金にも影響するため、止むを得ず処分に踏み切った。

地域内でも、収穫されたはずの野菜が売り場に出ないことに驚きの声が出ている。「食べられるのにもったいない」「どこかで使えないのか」という意見もあるが、輸送や販売の仕組みが整っていないと一時的な支援にはなりにくいという現実もある。

取引業者や県内対応の現状

沖縄協同青果の担当者は「キャベツについては上半期の価格が異常だった」と前置きした上で、「価格が戻ってきている状態」と説明した。一方で、「県外での出荷量が増えれば、今後も価格の上下は続く可能性がある」との見通しを示している。

仲卸業者も「在庫が多いと手が出しづらい」と語るなど、農家だけでなく流通側でも判断に迷いがあった。JAでは「農家への出荷支援や地産地消の強化などが課題」としているが、すぐに実現できる体制はまだ整っていない状況が続いている。

競合と需給タイミングのギャップ

宜野座村の出荷時期と、九州や関東など他のキャベツ生産地の供給時期が重なったことも、大きな要因だった。本土では春先から気温が安定し、各地で出荷が進んだことで、全国的に市場供給量が増加した。

沖縄産のキャベツは、品質・価格ともに競争力を持つが、流通のタイミングと輸送コストの問題が重なると、どうしても「後手に回る形」になりやすい。地元農家は、今後の作付け時期の見直しも視野に入れ始めている。

  • 本土と同時期の出荷で価格が急落

  • 地元出荷は量のまとまりと設備面に課題

  • 次期作では時期分散と作物選定が焦点

見出し 要点
現場の声 「せっかく育てたのに悲しい」
市場動向 在庫が多く買い手が減少
出荷判断 段ボール・人件費が利益を圧迫
今後の不安 価格変動にどう対応するか不透明

廃棄判断に至る経過

① 年末価格高騰

② 農家が作付け拡大

③ 3月までの好天で生育順調

④ 4月に価格下落/供給過多

⑤ 出荷断念・廃棄処理へ

出荷を断念したのは、価格や収支の問題だけではなかった。努力して育てた野菜に値がつかず、誰にも食べてもらえないまま畑に残すという判断は、言葉にしづらい迷いがつきまとう。「品質は良いのに」という思いを抱えながら、それでも前に進むしかなかった姿勢が、判断の裏側に残っていた。

価格の暴落と出荷判断の分岐点

かつては高値で取引されていたキャベツが、今や段ボール代にも届かない水準に落ち込んでいる。農家はこの逆転を目の前にして、作物の価値そのものが揺らぐ瞬間を目撃したともいえる。市場のタイミングと需要の読み違いが重なる中で、農業の現場には、価格だけでは測れない判断の連続があった。作る側にとっても、売る側にとっても、見えないズレがこの廃棄を導いたことは否定できなかった。

❓FAQ

Q1. なぜキャベツが廃棄されたのですか?
A1. 市場価格の急落により、出荷しても採算が合わず赤字になると判断されたためです。

Q2. 市場価格はどれくらい下がったのですか?
A2. 5月時点で6玉400円、1玉約40円にまで下がりました(段ボール代を除くと利益が出ない水準)。

Q3. 出荷以外の選択肢はなかったのですか?
A3. 地元流通も検討されましたが、量や時間の問題で難しかったと報じられています。

Q4. 今後、同じような事態は避けられるのでしょうか?
A4. 県内外の出荷時期の見直しや、流通の仕組み強化が課題とされています。

Q5. 消費者にできることはありますか?
A5. 地元産野菜を選んで買うことで、生産者を応援する形が一つの方法とされています。

見出し 要点
廃棄判断 赤字回避のため収穫を断念
市場価格 年始高騰→春に価格崩壊
生産背景 増産と気候条件の好転
今後の注目 県外不作時の価格変動に期待