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「天下一品」の大量閉店、その裏にあった弟子の独立戦略

天下一品から三田製麺所へ。味ではなく“方向性”が分岐した運用の現場に迫る。都内閉店の連鎖が示した変化の本質とは。

 

 

 

「天下一品」の大量閉店
弟子の独立戦略

 

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全国に200店以上を展開するラーメンチェーン「天下一品」が、2025年6月末をもって都内7店舗の閉店を決めた。昨年の6店閉鎖と合わせると、都内では1年で13店舗が姿を消すことになる。長年“こってりスープ”で熱狂的な支持を得てきた同ブランドに何が起きているのか。その裏側には、“味を支えてきた弟子たち”の動きと、新たな方向を選んだ運営元との分岐が見え隠れしていた。


要約表

項目 内容要点
閉店対象 都内23店舗中7店を6月末で閉店
直近動向 昨年も6店舗を閉鎖、合計13店舗減
運営形態 閉鎖は直営ではなくFC店舗中心
背景動作 FC運営側が他ブランドへ転換を進行中

“味の継承”と現場判断のねじれ

こってり信仰と都市部撤退の実態

「天下一品」の“こってりスープ”は、他のラーメンチェーンとは一線を画す濃度と粘度を持つ名物商品だ。1981年に京都で始まり、瞬く間に熱烈な支持を獲得。関東圏でもコアなファンに支えられてきた。だが今回、閉鎖対象となったのは新宿西口・渋谷・池袋などの都心拠点。再出店が難しい立地を手放す判断は、ブランド側にとっても重大な局面を迎えていた。

表面的には“味の衰え”が原因と捉えられがちだが、実際には多くがフランチャイズ店であったことから、各社の営業方針や契約判断に基づく可能性が高い。現地では今も行列が見られ、商品そのものへの評価が大きく変化している様子はない。


運営企業の路線分岐と人材判断の差

今回閉鎖対象となった店舗の多くは、エムピーキッチンやティーフーズといった外部の運営企業が担っていた。これらの企業は、もともと「天下一品」の看板で成長してきた経緯がありながら、近年は「三田製麺所」など別ブランドの強化を進めている。その背景には、キャッシュレス非対応や設備の老朽化など、“運営の柔軟性”で他チェーンに見劣りする点があった。

一方、三田製麺所ではスマホ注文・セルフレジ導入・商品訴求の明示など、現代の飲食業界で求められる設計を着実に実装。味の力で牽引してきた天下一品とは異なり、店舗設計・人材配置・ブランディングなど多角的な視点から「選ばれるチェーン」への転換が進められていた。


転換判断を左右した“今どきの食体験”

加盟企業がブランド転換を決めるとき、必ずしも“味の善し悪し”だけが指標になるわけではない。むしろ、店舗設計・収益管理・人材の柔軟性など、“ビジネスとしての整合”が優先される場面も多い。

天下一品の特徴的な運営スタイルは、熱意ある店長や古参社員の存在によって支えられてきた。しかし、店舗の古さや設備の制限が足かせとなる中で、若い世代や初来店者に向けた対応力が問われていた。フランチャイズ加盟店にとっては、客単価の高いこってりスープ一本での集客には限界があった可能性もある。

  • メニュー訴求やUI面での不親切さが新規客を遠ざけていた

  • 決済面の対応遅れがリピート機会を減少させていた

  • 加盟企業が別ブランドでの展開を優先する判断も増加していた


天下一品と三田製麺所:店舗運営の違い

比較項目 天下一品 三田製麺所(エムピー)
店舗設計 狭小・昭和風情/古い什器 清潔/広さ確保/カウンター広め
メニュー訴求 看板商品の記載のみ/説明不足 スープ説明あり/推奨セット明示
決済対応 現金中心/キャッシュレス非対応多数 スマホ注文・セルフレジあり
顧客対応 常連客向けの接客傾向 初心者向け誘導が整備されている

 

“脱・師弟”が導いた運用方針の断絶

徒弟型の限界と「継がぬ選択」

天下一品の仕組みは、創業者のこってりスープを忠実に守る形式で成長してきた。一方、フランチャイズ加盟店には独自の裁量が少なく、「継承」ではなく「同調」を求められる運用が続いていた。これに対し、エムピーキッチンは三田製麺所という別のラーメンブランドを成功させ、自らフランチャイズ本部となる方向を選んでいた。

この判断には、味そのものではなく“経営の持続性”が問われていたように映る。加盟店にとって、味への誇りと同時に、未来を描けるかどうかも重要だった。


対照的な人材登用と出口戦略

天下一品は一族経営を中心に動いてきたのに対し、エムピーキッチンでは業界出身者の招聘や上場準備に向けた展開が進められていた。外部の専門人材を起用しながら、複数ブランドを持つ形に移行している。

運用面でも、三田製麺所は客層の広さと店舗オペレーションの合理化を両立し、都市部での展開にも柔軟に対応できる体制を築いていた。このような仕組みの差が、今回の大量閉店に至る下地をつくっていたと見られる。

 

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都心ブランド転換の“静かな進行”

2024年に閉店した都内6店のうち、5店舗が三田製麺所などに転換されていた。今回の7店舗閉鎖も、グループ内での再活用が予想される。表向きは“閉店”であっても、実際は“衣替え”という方が近いかもしれない。

飲食業界では、ブランド名や看板だけが変わり、厨房設備や什器はそのまま使い回されるケースが増えている。今回も、静かに別ブランドへ転換され、天下一品の看板が街角から少しずつ消えていく構図が進行している。

要素 内容
閉店背景 FC加盟企業の自立・ブランド転換が加速
味の評価 継続的な支持あり、店舗人気も健在
経営判断 三田製麺所の運用効率と成長志向が優位に
今後の動向 閉店→転換→再出店の循環が続く可能性

天下一品FC店舗の動きと転換の流れ

[こってりスープで集客] 
   ↓
[FC加盟企業が運営] 
   ↓
[運用上の負担・制限が蓄積] 
   ↓
[別ブランド(三田製麺所)への転換検討] 
   ↓
[店舗閉鎖→設備流用→新ブランド開店] 
   ↓
[天下一品の看板が街から徐々に減少]


こってりがつなげた記憶の置き場所

「食べるスープ」という言葉は、今も天下一品の代名詞として語られている。だがその裏には、守り続ける者と、次の戦いに踏み出す者の分岐があった。

味は、変わらず強く、個性的だ。けれどその強さが、変わらないことへの“縛り”にもなっていた。運用を担う側が、より自由に、より速く動こうとしたとき、こってりの厚みが壁に変わっていたのかもしれない。

離れていったのは、敵ではなかった。ただ、別の道を選んだだけだ。かつての厨房を支えてきた弟子たちが、独自の店をつくり、別の客に向き合っている。こってりの記憶は、それでも食べた人の中に残っていた。

 

FAQ

Q1. 天下一品の閉店が多発しているのはなぜですか?
A1. 主にフランチャイズ加盟企業による契約終了や別ブランドへの転換が要因で、本部の経営悪化によるものではないとされています。

Q2. 閉店する店舗の味や集客に問題はあったのですか?
A2. 多くの店舗では味の評価や客足は健在で、閉店理由は店舗運用の方向性や事業戦略に関係していました。

Q3. 今後、天下一品が再出店する可能性はありますか?
A3. 一部地域では別企業による再出店がすでに確認されており、今後の動きに注目が集まっています。

Q4. 閉店した店舗はどうなるのですか?
A4. 多くの場合、厨房設備や内装をそのまま利用し、三田製麺所など系列ブランドに転換される傾向があります。

Q5. なぜ三田製麺所はうまくいっているのですか?
A5. 初心者に優しい設計やキャッシュレス対応など、現代的な運用が整っており、幅広い層に受け入れられています。


まとめ

項目 内容
閉店数 都内13店舗・首都圏16店舗が1年で終了
主な理由 FC加盟企業が自社ブランドに転換
店舗状況 味の評価や集客は健在な店が多い
今後の動き 別企業による再出店・ブランド移行の可能性あり

導線文:見た目は閉店でも、内部は再起動。運用の主導権が誰にあるのかが、次の展開を左右する時代が来ていた。