給食を通じてアレルギー症状が出た児童が松山市の小学校で救急搬送された。原因は小麦含有のスープ提供で、管理上の入力ミスが影響したとされる。市教委は保護者に謝罪し、工程の見直しを進めると説明。2022年にも同児童が誤提供を受けており、対応の見直しが急がれている。
小麦アレルギーメニュー
誤提供で再び救急搬送
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松山市立の小学校で、小麦アレルギーを持つ児童に小麦を含む給食メニューが誤って提供され、救急搬送される事態が起きた。市の担当者は入力情報の確認不足が原因と説明し、同様の誤りが3年前にもあったことを明らかにした。
項目 | 要点 |
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発生日 | 2025年6月3日 |
提供内容 | 小麦入りキャロットスープ |
被害状況 | 舌のしびれと腹痛、救急搬送 |
過去の経緯 | 2022年にも同児童に誤提供の記録あり |
なぜ再び誤提供が起きたのか?
提供されたメニューと症状の詳細
松山市の小学校では6月3日、小麦アレルギーを持つ児童に対して、誤って小麦を含むキャロットスープが提供された。児童は給食を食べた直後に、舌のしびれと腹痛を訴え、保健室で頓服薬を服用したが改善が見られず、病院へ救急搬送された。夕方には容体が落ち着き、翌日には通常通り登校している。
原因となった情報入力ミス
この事案では、給食の食材管理を行う入力作業において、小麦を含むルーの選択に関する情報が漏れていたことが判明している。児童のアレルギー情報が正しく反映されておらず、除去対応の指示が調理担当に伝わらなかったため、本来提供すべき除去対応メニューではなく、通常のスープが出されてしまった。
情報管理のしくみと再発のリスク
誤提供の直接的な要因は入力漏れであるが、根本的な課題は確認工程の設計にあると市教委は認めている。入力作業は通常1名で行われており、ダブルチェックや承認プロセスが常時行われていたわけではなかった。
過去にも同じ児童への誤提供事例が存在していたことから、今回の事案は単なる入力ミスとして片付けられない。個別対応が求められる中で、管理と共有の工程が形骸化していた可能性が指摘されている。
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小麦除去の確認工程は1人で処理
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ダブルチェック体制が不在だった
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過去の事例が活かされなかった運用
【2022年と2025年の誤提供事案】
比較項目 | 2022年(黒糖大豆) | 2025年(キャロットスープ) |
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提供時期 | 2022年10月 | 2025年6月3日 |
提供品目 | 小麦含有の黒糖大豆 | 小麦入りキャロットスープ |
対象児童 | 同一児童 | 同一児童 |
発生原因 | 食品情報の誤共有 | 入力項目の漏れ |
対応後の処置 | 謝罪と注意喚起 | 再発防止策を説明・多重確認へ |
どのような対応と再発防止策が取られたか?
学校と市教委の初動対応
誤提供が判明した6月3日、市の教育担当者は当日のうちに保護者へ連絡を取り、誤りと謝罪の意を伝えた。児童は症状が回復し、その後も学校生活を継続できたが、早急な搬送と処置が行われたことが重症化を防ぐ結果となった。現場では、医療との連携や緊急時の対応手順は概ね円滑に実施されていた。
再発防止に向けた運用の見直し
市教委は今回の件を受け、今後の管理方法を一部変更すると発表した。具体的には、食材とアレルギー情報の照合において、1人作業から複数人による入力確認体制へ移行し、リストの確認工程も見直される。また、誤提供の起点となった管理ソフト上の入力項目も検証対象となった。
保護者への説明と再発防止の可視化
市教委は保護者に対し、今回の対応の経緯を時系列で説明するとともに、再発防止に向けた変更点を文書で通知した。説明では、今後の対応体制や管理工程の再編に加え、現場職員への研修実施についても言及があった。
ただ、3年前にも同児童が誤提供を受けていたことから、家庭側の不安は根強く、説明だけで不安が解消されたとは言い切れない。市教委は今後、他の学校を含めた点検と標準化を進める考えも示している。
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説明文書を通じて経緯を保護者に共有
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調理職員と学校教職員の研修実施予定
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他校への水平展開も視野に入れている
見出し | 要点 |
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謝罪対応 | 保護者に当日中に謝罪と経緯説明 |
対応後の体調 | 児童は回復し翌日から登校 |
管理体制の見直し | 入力確認を複数人で行う方式に変更 |
再発対策 | 他校も含めて管理工程の再点検へ |
誤提供から再発防止策まで
① 食材リスト入力時に小麦含有ルーの選択ミス
↓
② アレルギー情報と照合されずそのまま調理へ
↓
③ 給食提供後に児童が症状を訴え、保健室へ
↓
④ 頓服で効果出ず、救急搬送
↓
⑤ 市教委が再発防止策を策定(入力・照合体制変更)
アレルギー対応の場面では、食材ひとつの選択が命を左右することもある。入力ミスという言葉では済まされない現場の判断が、どこまで重く受け止められていたか。繰り返しの誤りという事実が、仕組み以上に現場の意識を問うていた。
繰り返された誤りと判断の重さ
アレルギー対応の工程は、ただマニュアルを作るだけでは守りきれない。3年前に起きたことが繰り返されたという一点で、単なるミスという説明は成立しなくなっていた。安全のために設けられていた手順が、形式的な作業に留まっていたことを、今回の出来事が露わにした。守るべきは記録ではなく、判断の重みだった。
❓FAQ
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今回のアレルギー症状の経緯はどうなっていますか?
→ 舌のしびれと腹痛を訴えた後、病院に搬送され回復しました。 -
誤って提供されたメニューは何でしたか?
→ 小麦を含むルーで調理されたキャロットスープです。 -
なぜ誤提供が起きたのですか?
→ 入力作業時にアレルギー情報が抜けており、除去指示が伝わらなかったことが原因です。 -
市教委はどのような再発防止策を取っていますか?
→ 入力を複数人で確認し、調理指示と照合する体制に切り替えました。 -
過去にも同じ児童に誤提供があったのですか?
→ はい、2022年にも黒糖大豆の提供で同様の搬送が発生していました。
見出し | 要点 |
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現場対応 | 児童は救急搬送後に回復し登校 |
原因分析 | 入力項目の漏れと確認工程の不足 |
防止策 | 照合作業の複数人確認への変更 |
今後の課題 | 仕組みと現場意識の両面で点検が必要 |
🔗 本件では、しくみの見直しとともに、現場判断の在り方が改めて問われていた。