爬虫類・両生類専門の動物園「iZoo」で、来園者が水槽内に咀嚼したオニギリを吐き出すなどの迷惑行為が相次ぎました。園長のSNS発信により注目を集め、ゾウガメへの唐揚げ給餌など過去の事例も明るみに。記録と啓発で抑止を図る園側の対応に注目が集まっています。
来園者の迷惑行為相次ぐ
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
水槽におにぎりを吐き出したりする来場者も…園長が苦言を呈した。
迷惑行為の構図と園側の警鐘
水槽内への異物投入行為の報告
静岡県賀茂郡河津町にある爬虫類・両生類専門の動物園「iZoo」にて、来園者による非常識な迷惑行為が報告されていた。園長の白輪剛史氏が、自身のSNSアカウントにて苦言を呈した内容によると、男性客が園内の水槽に「口に含んだオニギリをわざと吐き出した」という。
この水槽にはカメや魚が飼育されており、本来は飲食物の持ち込みや動物への給餌が明確に禁止されている。にもかかわらず、問題の来園者は父親と見られる人物とともに園内を歩きながらオニギリを食べ、そのまま水槽に吐き入れたとされる。
園側はこの行為に気づき、映像で確認したところ、屋外の展示場においても同様の振る舞いが繰り返されていたことを把握。水の濁りや衛生上の問題から、急遽水槽の水を抜き、全面的な清掃と消毒を実施したと伝えていた。
清掃対応とSNS投稿に至るまでの経緯
iZooではこれまでも飲食物の持ち込みや無断給餌が問題視されてきたが、今回の事案は“咀嚼物を吐き出してぶちまける”という悪質性が特に強かったという。園長は「咀嚼されたオニギリを掃除し、消毒するのは汚く、大変迷惑」と述べ、スタッフへの精神的・衛生的負担にも言及していた。
SNS上には園長の投稿に対して共感や激励のコメントが多数寄せられ、「そんな来園者は二度と来ないでほしい」といった意見も見られた。
ただし園側は個人を特定した糾弾を目的としておらず、「現場の苦労を知ってもらうことが抑止力になる」として、記録と発信による啓発の姿勢を強調していた。
無断給餌行為が繰り返されてきた背景
園長の証言によれば、今回の件に限らずiZooでは過去に何度も無断で動物に食べ物を与える事例が発生していたという。中でも、ゾウガメに唐揚げを与えたり、野菜を勝手に持ち込んで小松菜やニンジンを与える来園者も確認されていた。
施設内では体験コーナーとして小松菜を用いた餌やりプランが公式に提供されているが、それとは別に「勝手に与えて良い」と解釈する利用者が後を絶たなかった。
園側が注意しても、「カレーライスを与えているわけじゃない」「園でもあげてるからいいだろう」などと反論されるケースもあり、対応に苦慮する状況が続いていた。
給餌迷惑行為の種別と発生頻度の比較表
行為の種類 | 内容の概要 | 園側の対応 |
---|---|---|
咀嚼オニギリの吐き出し | 水槽に直接吐き出す | 水抜き・消毒 |
唐揚げをゾウガメに与える | 揚げ物は動物の健康に悪影響 | 口頭注意・記録対応 |
野菜の無断持ち込み給餌 | 小松菜・ニンジンなど(公式体験と誤解) | 禁止事項の再掲示 |
注意への開き直り | 「園でもやってる」と反論されること多数 |
動物園の見解とSNSの反響
iZoo園長の白輪氏は、自身のXアカウントにて「汚物を清掃する職員の気持ちを考えてほしい」と訴えた上で、「歩いている人に顔へオニギリを吐きかけるのと同じ感覚」と例示し、衛生面とモラルの双方に問題があると指摘していた。
SNS投稿には多くの共感の声が寄せられ、「そのような人間は二度と入園させないでほしい」「小さな子どもも見ている場所で何をしているんだ」といった反応が目立っていた。白輪氏は園としての立場から、すべての動物とスタッフが安心して過ごせる空間を守る責任を再確認していた。
さらに、「今回の事案は“かわいがり”や“誤解”では済まない悪意があった」との見解を示しており、他の事例とは明確に一線を画す深刻さを伴っていた。
警察への相談と記録による抑止の限界
園長はこの問題を警察に相談することも視野に入れたが、「事件性がない」と判断される可能性が高いことも理解しているという。そのため現段階では、証拠の保存と事実の記録、SNSなどによる抑止的な発信を優先する方針をとっていた。
iZooでは来園者向けに注意喚起の掲示を強化すると同時に、職員には映像や言動の記録を徹底するよう周知。動物への給餌や危険行為が確認された場合は即時対応と再発防止に向けた内部体制の見直しも進めていた。
園内の秩序を守るうえで、施設運営者だけでなく利用者側の倫理意識も問われる事態となっていた。
動物園長の投稿に込められた呼びかけ
園長が投稿で伝えたかったのは、単なる苦情ではなく「現場の声を知ってもらう」ことだった。動物やスタッフに対する無理解や軽視が続くなか、どうすれば迷惑行為を抑止できるかを考えた末の行動だったと語られていた。
投稿に反響が集まったのも、ただの怒りではなく「命を扱う現場の重さ」を伝えようとする姿勢が共感を呼んだからである。施設が掲げるルールの背景には、動物の健康だけでなく、飼育者や清掃スタッフの安全と尊厳も関係していると感じさせる内容だった。
こうした発信が「何が悪いか伝わらない人たち」に届いてくれることを願うような、静かな願望がにじむ内容となっていた。
水槽の異変からSNS発信までの流れ
iZooでの迷惑行為発覚から園長の発信に至る経過は、以下のように3段階で記録されていた。
① 来園者の迷惑行為(6月上旬)
男性来園者が咀嚼済のオニギリを水槽に吐き出していた。
↓
② 清掃と映像記録(当日〜翌日)
水槽の水を抜いて消毒し、監視映像で他の行動も確認されていた。
↓
③ SNSでの発信(6月30日)
園長がX上で状況と園としての考えを明確に共有していた。
❓FAQ(よくある5つの疑問)
Q1. なぜiZooでは飲食物の持ち込みが禁止なの?
→ 動物の健康と水質・衛生環境を守るためであり、餌の誤飲・異物混入などを防ぐ目的がある。
Q2. エサやり体験があるのに野菜を持ち込むのはダメ?
→ エサやりは園が管理したものに限られ、衛生管理と動物の体調に合わせた設計になっているため、個人持ち込みは禁止されている。
Q3. 今回の行為は犯罪にはならないの?
→ 事件性は薄く、警察も現状は介入していないが、施設への迷惑行為として深刻に受け止められている。
Q4. 過去にもこういった事例はあったの?
→ ゾウガメへの唐揚げ給餌や無断野菜投入など、度重なる違反行為が報告されている。
Q5. 園はどうやって再発を防ごうとしているの?
→ 注意喚起の強化、映像記録の徹底、SNSによる啓発を組み合わせて対応している。
記録から読み取れる全体の要点
営業空間における動物と人間の信頼関係とは
今回の事件は、動物園という公共空間において、人間と動物の信頼関係がいかに一方通行になりうるかを示していた。単なる迷惑行為ではなく、「他者の存在を想像する力の欠如」が根底にあったとも言える。
園長が訴えたように、「咀嚼物をぶちまけられる側の感覚」に思いを馳せることができれば、こうした行為は発生しないはずである。
そこには、“自分が楽しむことだけを目的化した来園者”と、“命を預かる立場としての施設側”との深い価値観の断絶が浮かび上がっていた。
公共空間であるからこそ、倫理とモラルは施設のルールを超えて共有される必要がある。記録による抑止と発信は、その第一歩に過ぎない。