雑記ブログ、ときどきAmazon

Amazonアソシエイト,楽天room,広告PRがあります。

王谷晶『ババヤガの夜』がダガー賞受賞 日本人初の快挙

世界最高峰のミステリー文学賞ダガー賞」翻訳部門で、日本の作家・王谷晶さんの小説『ババヤガの夜』が受賞。翻訳を手がけたサム・ベット氏との共作で、日本語原作としては史上初の快挙。女性の連帯やミソジニーを描いた作品が、国際的に高く評価された経緯を詳しく解説。

 

日本人初、ダガー賞受賞

広告の下に記事の続きがあります。ペコリ

 

世界最高峰のミステリー文学賞ダガー賞」の翻訳部門で、作家・王谷晶さんの小説『ババヤガの夜』が選ばれた。翻訳を担当したサム・ベット氏との共作で、日本人としては初めての受賞となった。

王谷晶さん ダガー賞翻訳部門受賞

項目 内容
受賞発表日 2025年7月3日(ロンドン)で授賞式が行われた
受賞作品 『ババヤガの夜』(英題:The Night of Baba Yaga)
翻訳者 サム・ベット氏が英訳を担当していた
受賞意義 日本語原作として翻訳部門で初の受賞だった

 王谷晶さんの『ババヤガの夜』がダガー賞翻訳部門を受賞していた

英国推理作家協会(CWA)が主催する世界的ミステリー文学賞ダガー賞」の授賞式が、2025年7月3日にロンドンで開かれた。翻訳部門では、王谷晶さんの小説『ババヤガの夜』の英語版が受賞作として発表された。

この作品は、サム・ベット氏によって英訳され、2024年に海外で出版されていた。原作は2023年に日本で刊行されており、国内では女性読者層を中心に支持を集めていた。

ダガー賞の翻訳部門は、非英語圏の優れた犯罪・ミステリー作品に贈られるもので、これまでに日本人作家が最終候補に名を連ねたことはあったが、受賞は初となった。

approach.yahoo.co.jp

作品に描かれていた「暴力と連帯」という構図

『ババヤガの夜』は、暴力を生きがいとする女性・新道依子が、ある暴力団の会長の娘を護衛する中で、互いの距離を縮めていく過程を描いた物語だった。

作中では、女性同士の関係性や連帯のほか、ミソジニー(女性蔑視)やジェンダー差別といった現代的な社会課題が重層的に描かれていた。審査委員長のマキシム・ジャクボウスキ氏は「ヤクザ映画、マンガ文化、LGBTQの要素が融合された独創性」を評価したと述べていた。

 過去に最終候補入りしていた日本人作家との比較補足

王谷晶さん以前にも、日本の著名作家がダガー賞の最終候補に選ばれていた。

横山秀夫さんの『64』、東野圭吾さんの『新参者』、伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』などがこれに該当し、いずれも国内外で高い評価を受けていた。ただし、いずれも受賞には至っておらず、今回が日本語原作として初の翻訳部門受賞となった。

過去の日本人候補作品と今回の違い(ダガー賞翻訳部門)

項目 王谷晶『ババヤガの夜』 横山秀夫『64』/他候補作品
翻訳者 サム・ベット 各翻訳家(複数)
受賞歴 ✅ 翻訳部門受賞(2025) ❌ 最終候補止まり
評価軸 女性視点/LGBTQ/暴力と連帯 刑事ドラマ/警察組織/捜査構造
翻訳出版国 英国(2024刊) 英国(2010年代)
審査コメント 「独創性」「文化融合」 「緻密な構成」「叙情的描写」
共感読者層 女性・若年層・LGBTQ読者 ミステリー愛好層・文学読者

 日本人女性作家の創作姿勢と国際的評価

王谷晶さんは国内で作家・翻訳家として活動しており、自身の創作において「女性の現実」を見つめる視点を一貫して貫いていた。
今回の受賞に至った『ババヤガの夜』でも、単なる暴力描写にとどまらず、女性同士の関係性を通じて社会構造のひずみを浮き彫りにしていた。

授賞式に先立ち、TBSの単独インタビューに応じた王谷さんは「日本では女性を描こうと思ったら、ジャンルに関係なくミソジニーが避けられない」と語っていた。
文化や国境を越えて女性読者と“あるある”を共有できたことが、今回の国際的な評価につながったという見方も報じられていた。

kicks-blog.com

翻訳の完成度と国際書評での反響

本作の翻訳を手がけたサム・ベット氏は、これまでも村田沙耶香さんや川上未映子さんの作品を英訳してきた実績を持つ。
今回は王谷作品の文体と主題を保ちながらも、英語圏の読者にとって自然なリズムと言葉選びで再構築していた点が高く評価された。

英国の有力書評誌では「ストリートと詩性が交差する文体」と紹介され、翻訳版の初版は刊行から2週間で重版が決まった。
ミステリーとしての魅力と同時に、現代女性の声を反映した文学として受け止められたとされている。

女性同士の関係性が海外読者に届いていた構図

今回の作品構造は以下のような段階を踏んで国際的な共感へとつながっていた:

  • 登場人物の「非対称な関係性」から物語

  • 連帯や葛藤を描く中盤で“対話の余地”

  • 最終的に「名前のない関係性」が肯定される構造に着地

このような語りの組み方が、特にLGBTQやマイノリティ読者の間で高い共鳴を得たと記録されていた。

 受賞までの経緯

  • 2023年:日本国内で『ババヤガの夜』刊行

  • 2024年:英訳版 “The Night of Baba Yaga” が英国で出版

  • 2025年5月:CWA(英国推理作家協会)により翻訳部門で最終候補入り

  • 2025年7月3日:ロンドンで授賞式開催 → 翻訳部門受賞発表

  • 受賞後:日本国内外で報道多数/女性作家・翻訳文学への注目が再燃

❓FAQ よくある5つの疑問

Q1. ダガー賞とはどんな賞?
A. 英国推理作家協会が主催する世界的な犯罪・ミステリー文学賞で、1955年に創設されました。

Q2. 翻訳部門とは何を評価するの?
A. 非英語圏の作品を対象に、英訳の完成度や原作の魅力が適切に伝わっているかを審査する部門です。

Q3. 王谷晶さんはどんな作家?
A. フェミニズムジェンダーを中心に描いてきた日本の作家で、翻訳家としても活動しています。

Q4. 翻訳者のサム・ベット氏はどんな人物?
A. 川上未映子村田沙耶香らの作品も英訳してきた翻訳家で、繊細な訳文で知られています。

Q5. なぜ日本人女性作家の作品が注目されているの?
A. ジェンダーや社会構造への視点が国際的な読者と響き合い、翻訳文学としての魅力が高まっているからです。

要素 内容
賞名 ダガー賞(翻訳部門)
受賞作 『ババヤガの夜』/英訳:The Night of Baba Yaga
翻訳者 サム・ベット氏
発表日 2025年7月3日(ロンドン)
受賞理由 女性視点と文化融合の独創性
評価者コメント LGBTQ要素・ヤクザ映画的手法の調和
他の日本人候補作 『64』『新参者』『マリアビートル』など(いずれも未受賞)
今回の意義 日本人初の翻訳部門受賞として記録されていた
王谷晶という存在が示した、翻訳文学の次なる地平

これまでの日本文学の海外進出は、川端康成村上春樹のような文学的作品が多く、犯罪・ミステリージャンルにおける翻訳評価は限られていた。
しかし、王谷晶さんの『ババヤガの夜』は、暴力描写やアクションを含みながらも、女性の生きづらさや関係性の葛藤を丹念に描き出していた点で、従来のジャンル文学の枠を越えていた。

今回のダガー賞受賞は、その翻訳完成度と合わせて、現代日本文学の社会性や問題提起が世界的に通用することを証明するものだった。
とりわけ、女性作家と女性読者の間で共有されるリアルな「痛み」が言語を越えて伝わったことは、国際文学の中で新たな地平を開いたと見なされている。

note.com

kicks-blog.com