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SHEINに68億円罰金 仏政府が虚偽値引きを認定

中国発のファストファッション大手「SHEIN(シーイン)」が、フランスの消費者保護機関から約68億円の罰金を科されました。問題視されたのは、通販サイト上の“セール”表示のうち57%が実際の最安値に基づいていなかったこと。フランス法では過去30日間の最低価格を基準とするルールがあり、これに違反したとされます。SHEINは技術的ミスと説明しましたが、当局は消費者誤認の影響を重視しました。

 

SHEINに68億円罰金

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フランスの競争監視当局が、ファストファッション大手「SHEIN(シーイン)」の通販サイトに対して、実態と異なる安売り表示を行い消費者を欺いたとして、4000万ユーロ(約68億円)の罰金を科した。割引表示の57%が不当とされ、値上げされた商品も含まれていた。国際的なECプラットフォームに対する監視が強まる中、今回の行政処分は価格表示の透明性を問う重要な一手となった。

項目 内容
発表主体 フランス競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)
罰金額 約4000万ユーロ(約68億円)
違反内容 割引表示の57%が虚偽、11%は実質値上げ
対象期間 2022年10月~2023年8月
主な論点 安売り表示の信頼性と消費者保護法の適用

SHEINの安売り表示が不正と判断された経緯

フランス政府の競争監視機関である「競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)」は、2024年7月3日、中国発のファストファッションブランド「SHEIN(シーイン)」に対し、価格表示に関する違反行為があったとして制裁処分を下した。調査の結果、SHEINの通販サイト上で表示されていた「割引価格」の大半が、フランスの法律に基づく表示基準を満たしていなかったことが確認された。

対象となったのは、2022年10月から2023年8月までの販売履歴であり、DGCCRFはこの期間にわたりSHEINの価格設定とキャンペーンの実態を調べた。その結果、同サイトで「セール」や「割引中」と表示されていた商品のうち、57%が実際には“過去30日間の最安値”を基準としていない不正な表示であったと報告された。

さらに、11%の商品については、割引表示されていたにもかかわらず、実質的に価格が上昇していた例も存在した。DGCCRFはこの点について、「消費者が“今が最もお得だ”と錯覚する仕組みが常態化していた」として、SHEINの販売手法に対する強い懸念を表明している。

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割引表示57%が不正とされた調査内容

DGCCRFが発表した調査結果では、SHEINが日常的に実施していたディスカウント表示が、フランスの商業表示ルールに違反していたことが明示された。具体的には、「30日間の最安値以下での販売がなければ割引表示は不可」とする規定を無視し、架空の基準価格を設定したうえで、見かけ上の値下げを行っていた事例が多数あった。

DGCCRFは、こうした価格表示の仕組みが、消費者に「今買えば得をする」と誤認させる効果を狙ったものであり、景品表示法に相当するフランス法の理念に反していると説明した。とくに注目されたのは、ある商品が本来20ユーロで継続販売されていたにもかかわらず、過去30日間に実績のない30ユーロを“旧価格”と表示し、20ユーロへの値下げを演出していたケースである。

SHEINの販売サイトは、関連する複数の法人が運営しているが、当局はシステム的な価格操作の有無や故意性についても今後調査の焦点を当てる方針を示している。

フランス法上の「過去30日最安値」ルールと照合過程

フランス国内では、2021年の法改正により、すべての割引表示は「過去30日間に実際に販売された最安値」を基準とすることが義務付けられている。これにより、消費者が不正な価格操作に惑わされず、実際の値引き幅を把握できる環境整備が進められてきた。

DGCCRFは、SHEINの価格履歴と販売記録を照合したうえで、こうした法令に反する表示が常態化していた点を確認したと説明している。これは、短期的に価格を引き上げたあと、即座に「大幅値下げ」として見せかける“価格吊り上げ型のセール表示”が横行していたことを意味する。

この処分は、単なる民事上の是正勧告ではなく、消費者の経済的利益を侵害した重大な違法表示として、行政罰の対象とされた。

他国EC規制との比較構成

項目 フランス(SHEIN事案) 日本 米国
違反とされた内容 割引表示が実態と異なる 景品表示法に類似 州ごとに異なる広告規制
表示基準 「過去30日間の最安値」ルール 「有利誤認」禁止 FTCによるガイドラインあり
処分主体 DGCCRF(行政制裁) 消費者庁(措置命令) 州検事・FTC(和解金など)
特徴 値上げ後の“見かけ値引き”を明確に罰則 表示・説明責任を重視 表示の明確性が主眼
制裁額 約68億円(4000万ユーロ) 数百万~数億円規模が中心 企業規模に応じ数十億円も

シーイン側の反応とフランス当局の判断意図

SHEIN側は、今回の処分に対し「表示上の技術的ミスであり、意図的なものではない」とする見解を示している。同社は声明の中で、調査対象となった2022年~2023年の間に導入していたシステムが一部欧州法に適合していなかったと認めつつも、現在は是正済であると強調した。

一方、DGCCRFの見解は明確だった。同局は「表示が意図的か否かに関係なく、実態に基づかない値引き表示は不正である」とし、消費者が本来得られるべき価格判断の権利が損なわれていた点を重視した。とくに、値引き率や“限定セール”のような表示が、日常的にサイト内に並んでいた状況について、「制度上の悪用」とみなした形となる。

この判断は、企業の意思表示ではなく「結果責任」を重視する欧州型の消費者保護法制を反映している。

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他国にも波及する可能性と影響補足

SHEINは現在、欧州だけでなくアジアやアメリカでも積極的に展開を続けているが、今回の制裁処分は他国の監督機関にも影響を与える可能性がある。とくに日本においては、景品表示法の枠組みがあるとはいえ、海外ECサイトへの直接的な執行は制度上の課題を抱えている。

消費者庁も今後、国際連携による情報共有や表示規制の明確化を検討する場面が増えると見られる。今回の事案は、プラットフォームの国境を越えた責任問題を可視化した点で、制度設計上の見直しを促す契機ともなる。

SHEINのようにグローバルに展開する企業ほど、地域ごとの法制度を精密に理解し、法令適合性を自社でモニタリングできる体制の構築が求められている。

消費者視点から見た「安さ信仰」とそのリスク

「今だけ」「70%OFF」「残りわずか」――。こうした言葉に引き寄せられ、つい手が伸びるという人は少なくない。今回のSHEINの一件は、“安さ”そのものに価値があると信じる消費行動に、いかに冷静な判断が求められるかを突きつけた。

価格は、単なる数字ではない。どのような根拠で、いつ、どれだけ下がったのか。その背景を見抜くには、消費者自身が「比較」と「時期」を見定める意識を持たなければならない。

「お得だから」ではなく、「何が変わったから安くなったのか」を問う視点が、これからの買い物には欠かせないといえる。

処分決定までの3段階構造

フェーズ 内容
調査開始(2022年10月~) フランスDGCCRFがSHEINの表示・価格履歴を精査
違反判定(2023年8月) 過去30日間の最安値ルールに適合しない表示が多数確認される
行政処分(2024年7月3日) 虚偽表示による消費者誤認を重く見て、罰金4000万ユーロを科す

❓FAQ よくある5つの疑問とその回答

Q1. SHEINはどの国で罰金を科されたの?
A1. フランス政府の競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)によって行政処分を受けました。

Q2. なぜ割引表示が違反と判断されたの?
A2. フランスでは「過去30日間の最安値」が基準価格とされており、それを下回っていないのに“セール表示”をしていたためです。

Q3. 本当に全商品が虚偽だったの?
A3. いいえ。調査対象のうち57%が不正表示、11%が値上げを含んでいました。

Q4. 日本にも影響はある?
A4. 今回の件をきっかけに、日本でも越境ECの価格表示への注目が高まると考えられます。

Q5. SHEINは処分にどう反応した?
A5. 「技術的なミスであり、すでに是正済」とする声明を出しています。

分類 要点
法制度 フランス法は「過去30日最安値」を割引表示の条件とする規定がある
違反内容 SHEINはこの条件を満たさない価格で“セール”と表示していた
調査経緯 2022年10月~2023年8月にかけてDGCCRFが販売履歴を精査
制裁措置 2024年7月3日、罰金約68億円を科す行政処分が発表された
波及効果 国際的な価格表示ルールの整備と越境ECの監視強化が進む可能性がある
ECサイト規制の本質と“安さ”の限界構造

SHEINに対するフランス当局の制裁は、単なる一企業への処分にとどまらず、「価格表示とは何か」という問いを私たちに投げかけている。
“安さ”という言葉の背後に、何が省略され、何が誤魔化されているのか。今回の事件は、それを露わにした。

ECサイトは利便性と引き換えに、価格の信頼性を失いやすい構造にある。とりわけ海外発のプラットフォームでは、消費者がその国の法制度に直接アクセスすることは難しく、表示を鵜呑みにしてしまいがちだ。

「この価格は、いつ、どんな背景で決まったのか」。この問いかけがなされないまま、消費者が“得をした気分”だけで購入を繰り返す社会は、価格そのものの信頼を損なう。

だからこそ、今回のような行政処分は、単なる罰ではない。
それは、価格が語るべき“根拠”と“時間軸”を守るための、最低限のラインを引いた出来事だった。

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