フランス発の人気コスメブランド「ローラ メルシエ」が日本市場からの撤退を発表。百貨店・直営店舗・公式サイトを含む全チャネルでの販売は2025年10月31日までに終了予定です。資生堂からオルヴェオンへの移管経緯やSNSでの反響、今後の流通の注意点まで詳しく解説します。
ローラメルシエ日本撤退
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高い評価を得ていたベースメイク製品で知られる化粧品ブランド「ローラ メルシエ」が、日本市場からの撤退を発表した。親会社の米オルヴェオンが明かした内容によれば、全店舗と公式オンラインストアでの販売は2025年10月末までに終了する予定だ。
項目 | 内容 |
---|---|
ブランド名 | ローラ メルシエ(LAURA MERCIER) |
発表日 | 2025年7月2日 |
販売終了日 | 2025年10月31日予定 |
運営元 | オルヴェオン(ORVEON Global) |
国内展開 | 百貨店・直営店・公式EC・モールなど |
理由 | グローバル戦略の見直し(公式発表) |
ブランド創設から撤退決定までの経緯
フランス人メイクアップアーティスト、ローラ・メルシエ氏によって1996年に創設された同ブランドは、ベースメイク製品を中心に世界中で高い支持を得ていた。特に「ルースセッティングパウダー」や「ファンデーションプライマー」は、日本国内でも百貨店カウンターを中心にロングセラー製品として展開されていた。
2016年には、国内大手の資生堂が約2億6000万ドル(約288億円)でブランドを買収。以降、資生堂ジャパンが正規輸入販売元として製品供給を行っていたが、2021年に米投資ファンドのアドベント・インターナショナルにより同ブランドの事業は譲渡された。アドベントは「オルヴェオン(ORVEON)」という新会社を設立し、ローラ メルシエを含む複数ブランドを傘下に収めた。
日本市場におけるローラ メルシエ製品の販売は、その後も資生堂ジャパンが担ってきたが、2025年7月2日、親会社オルヴェオンが日本からの完全撤退を正式発表した。撤退にあたり、全国の百貨店カウンターや直営店、ECサイトでの販売は同年10月末までにすべて終了する予定だと報じられている。
ブランド買収と運営体制の変遷
資生堂による買収後、ローラ メルシエは日本市場における高価格帯メイクブランドとして定着した。ベースメイクの技術力に加え、リップやチーク、アイブロウ製品なども順次拡充され、日本のコスメファンから広く受け入れられていた。
しかし、買収からわずか5年後となる2021年には、資生堂が欧米ブランドの再編方針に伴い、複数の海外ブランドを売却。その一環で、ローラ メルシエもアドベント・インターナショナルに譲渡された。新たな運営主体であるオルヴェオンは、北米・欧州市場を中心に事業基盤を再構築してきたが、今回の発表で日本市場からの全面撤退を決断したとされる。
資生堂からオルヴェオンへの交代過程
2021年にブランドの譲渡が行われた際、資生堂は「ポートフォリオ最適化」を理由に複数のグローバルブランドの売却を進めていた。ローラ メルシエを含む事業は、アドベント・インターナショナルが中心となって立ち上げた新会社「オルヴェオン」に統合され、米国拠点での統括体制が敷かれた。
この際も日本市場では、オルヴェオンが保有権を持ちつつ、販売業務は引き続き資生堂ジャパンが担当する形式が継続されていた。実際の店頭展開やブランドPRは、日本の消費者向けに資生堂が調整していた記録がある。
日本撤退に伴う販売終了と対応
オルヴェオンが発表したスケジュールによれば、「ローラ メルシエ」の日本国内での製品販売は2025年10月31日をもって終了する見通しだ。これにより、全国の百貨店カウンターをはじめ、ブランド直営店や公式オンラインストア、楽天・AmazonなどのECモールでも順次販売を終了していくとされている。
販売終了に向けては「在庫限り」での対応となり、一部製品については早期に品切れとなる可能性もある。カウンターでの肌色診断やメイクアップ相談といったサービスも、販売終了に伴い段階的に停止される見込みだ。
同ブランドを長年愛用してきた顧客に向けて、資生堂ジャパンとオルヴェオンは合同で公式サイトやSNSを通じ、順次情報提供を行っていくと説明している。
販売終了後の製品流通と案内方法
10月末での販売終了後、「ローラ メルシエ」の製品は日本国内の正規販売ルートでは新たに入手できなくなる。今後は並行輸入品や海外の越境ECなどを通じた購入に頼ることとなり、価格や品質保証、サポート体制が異なる可能性がある点には注意が必要とされている。
また、撤退後の返品・交換対応や問い合わせ先については、資生堂ジャパンが一定期間サポート窓口を継続する方針とされている。これらの詳細については、今後公式サイトにて改めて案内される予定だ。
SNSでの反響:「ローラ メルシエが無くなるなんて」
SNSでは、ブランド撤退の報に驚きと悲しみの声が相次いだ。X(旧Twitter)では「クッションファンデの仕上がりがきれいすぎて、リピートしてたのに…」「アイブロウとチークとパウダーとプライマー全部ローラなのに、顔が組めなくなる」などの投稿が多数見られた。
中には「他のブランドでは代替が難しい使用感だった」「ギフトにもよく選んでいたので残念」という投稿もあり、長年の愛用者による愛着がうかがえる。今回の撤退は、単なるブランド消失ではなく、生活習慣やメイクのルーティンにも影響を与える変化として受け止められている。
ブランド設立から日本撤退までの流れ
❓FAQ
Q1. ローラ メルシエの日本での販売はいつまで?
A1. 2025年10月31日をもって、全店舗およびECサイトでの販売が終了予定です。
Q2. 今後、どこで製品を購入できますか?
A2. 日本国内での正規販売は終了となり、海外ECサイトや並行輸入品に限られる見込みです。
Q3. 撤退の理由は?
A3. 親会社オルヴェオンは「グローバル戦略の見直し」と説明しています。
Q4. 購入済み製品のサポートはどうなりますか?
A4. 資生堂ジャパンが一定期間、問い合わせ窓口を設ける予定です。
Q5. 他の国では販売継続されますか?
A5. 現時点で、アメリカや韓国など一部地域では販売継続と報じられています。
ブランドの“記憶”が消えるということ
「ローラ メルシエ」は、単なる化粧品ブランドの一つではなかった。メイクを覚えた時、初めての百貨店コスメ、あるいは大切な人への贈り物――そうした記憶とセットで、このブランドは多くの人の中に根づいていた。
それだけに、「なくなる」という報道がもたらす反応は、単なる商品への喪失感にとどまらず、個人の生活の中にあった“役割”が静かに消えていくような感覚と重なる。
企業の戦略変更や経営合理化によって、消費者の“日常”が見えないまま切り離されていく現実を、私たちはまた一つ目の当たりにしている。