2025年の韓国は記録的な暑さに見舞われ、6月の平均気温は観測史上最高を更新。40度超の極限猛暑にも警戒が必要です。
韓国、史上最悪の猛暑へ
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🇰🇷韓国、史上最悪の猛暑に直面
観測開始以来で最も暑かった6月を超え、40度超えの「極限猛暑」も現実味を帯びている。専門家らは、短かった梅雨と気圧配置の影響により、今年の夏が2018年を超える記録的猛暑になると警鐘を鳴らしている。
韓国・2025年の猛暑状況
区分 | 内容 |
---|---|
平均気温 | 6月:22.9度(1973年以降で最高) |
猛暑特性 | 梅雨が短く、熱帯夜が早期に出現 |
気象庁の見解 | 南西風と湿った空気が猛暑と熱帯夜を助長 |
懸念 | 週末には気温37度、体感34度の地域も |
専門家の指摘 | 2018年を上回る長期猛暑の可能性 |
観測史上最高の6月、始まった“極限の夏”
韓国では、6月の全国平均気温が22.9度を記録し、1973年の観測開始以来で最も高い水準となった。昨年の22.7度を1年で更新し、6月としての暑さが記録的であったことを示している。
気象庁が7月4日に発表した「6月の気候特性」によると、平均最高気温は28.2度と過去2番目に高く、熱帯夜や猛暑日の発生件数も例年を大きく上回った。大田・大邱・光州など12地域では6月19日に異例の熱帯夜が出現し、首都ソウルでは2022年から4年連続で6月中に熱帯夜が確認された。これにより、初夏にもかかわらず深夜の気温が下がらない現象が全国的に広がっていた。
気象庁はその原因について、南東側の高気圧の発達と南西風による湿った熱気の流入を挙げている。特に6月末(27〜30日)にかけては、強い日差しと湿度の影響で昼夜問わず気温が上昇しやすい条件が重なったとされている。
さらに、7月に入っても全国的に猛暑特報が発令される状況が続いており、昼間の気温は35度前後、南部では週末に37度に達する地域もあるとされる。特にソウルでは、高い湿度により体感温度が34度以上になる見通しであり、夜間の睡眠環境や屋外労働への影響が懸念されている。
短い梅雨が猛暑を加速、気象庁も長期化に警鐘
例年よりも早く始まった今年の梅雨は、済州島で6月12日、中部・南部地方では19〜20日ごろに開始されたが、初期の豪雨を除き、期間中は「乾いた梅雨」が続いたとされる。韓国気象庁は、平年より3〜7日早く梅雨入りし、終了も前倒しになったと発表している。
済州地方では6月26日、南部地方では7月1日をもって梅雨明けが観測されており、梅雨期間が短かったことが明らかになった。結果として、北太平洋高気圧の勢力が早期に拡大し、韓国全土に晴天と高温が続く気象条件が整った。
このような梅雨の短縮によって、日射量が急激に増加し、地表の加熱が促進されたほか、夜間にも熱が逃げにくくなる「熱帯夜現象」が各地で繰り返されている。特にソウル・大邱・光州などの都市部では、昼夜を問わずエアコン稼働率が上昇し、電力使用量のピークが前倒しで訪れているとの分析もある。
韓国気象庁の張東彦(チャン・ドンオン)庁長は、公式会見で「6月末以降、全国的に猛暑と熱帯夜が頻発しており、高齢者や野外作業者への注意が急務」と述べ、地方自治体に対しては避難所や冷却施設の稼働拡充を求めた。
さらに、気象学者の間では、2018年に記録されたソウル39.6度・江原道洪川41.0度の事例が再現される懸念が強まっている。ソウル大学のソン・ソクウ地球環境科学部教授は、「今年は2018年よりも梅雨明けが早く、猛暑の持続期間も長期化する可能性が高い」とし、「40度を超える極限的な暑さも排除できない」と述べている。
このように、気象庁のデータと専門家の指摘の双方から、猛暑が7月下旬から8月にかけてさらに深刻化する兆候が示されており、各自治体と市民の対応が問われる状況となっている。
韓国における主要猛暑年の気象記録比較
年度 | 梅雨明け時期 | 猛暑日数(全国平均) | ソウル最高気温 | 江原道最高気温 | 熱帯夜初出現日 | 主な報道社(3社以上) |
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2018年 | 7月10日ごろ | 31日(観測史上最多) | 39.6度 | 41.0度(洪川) | 7月13日 | ソウル新聞/KBS/聯合ニュース |
2023年 | 7月上旬 | 約26日(概算値) | 37.5度前後 | 39.2度 | 6月28日 | 中央日報/ハンギョレ/朝鮮日報 |
2025年 | 6月末(済州6/26、南部7/1) | ※進行中 | ―(観測中) | ―(観測中) | 6月19日(12地域) | 朝鮮日報/ハンギョレ/中央日報 |
猛暑が変える市民生活と体感温度の現実
韓国各地では、6月下旬から猛暑と熱帯夜が連日続いており、生活行動そのものに変化が生じている。屋外作業の開始時刻を早朝5時台に繰り上げる自治体や、通学時間の変更を検討する教育機関も出てきている。
首都圏では、夜間の最低気温が27度を超える日が複数観測されており、エアコンを24時間稼働する家庭が増加している。これにより電力需要が一気に高まり、韓国電力公社は「7月中にも供給警戒ラインに達する恐れがある」として、節電要請の発動を検討中と報じられた。
特に都市部では、アスファルトやコンクリートの蓄熱により、午後7時以降も気温が30度近く残る地域がある。この「都市型ヒートアイランド現象」によって、同じ気温でも体感温度は地方都市と比べて高くなりやすい。ソウルでは、湿度の上昇と無風状態が重なり、体感温度が実測よりも2〜3度高く感じられる状態が繰り返されている。
また、地下鉄や商業施設では冷房強化によって屋内と屋外の気温差が10度以上になる例もあり、高齢者や子どもへの体調影響が懸念されている。気象庁は「外気温だけでなく、体感温度を基準とした行動調整が必要なフェーズに入っている」としたうえで、行政機関には熱中症対策の周知強化を求めている。
このように、気温上昇だけでなく生活のリズム・移動手段・公共設備の使い方までが連鎖的に変化している現実が、今回の猛暑の深刻さを裏付けている。
韓国における猛暑対応の流れ(2025年版)
段階 | 主体 | 対応内容 | 時期・状況 |
---|---|---|---|
①事前予測 | 韓国気象庁 | 6月中旬に「観測史上最悪の暑さになる可能性」として早期警戒を発表 | 6月26日 |
②データ発表 | 韓国気象庁 | 「6月の全国平均気温が過去最高」を公式発表 | 7月4日 |
③猛暑特報発令 | 各地方気象台 | 地域ごとに猛暑注意報・警報を段階的に発令 | 6月下旬以降 |
④対応方針通知 | 保健福祉部/環境部 | 高齢者支援、冷房費補助、熱中症診療体制の強化を通知 | 7月初旬 |
⑤電力需給調整 | 産業通商資源部 | 夏季の電力逼迫に備えて節電要請水準を7年ぶりに見直し | 7月上旬 |
⑥自治体対応 | 地方自治体 | 避難所設置、早朝勤務への移行、屋外作業制限など | 各地で実施中 |
⑦周知・拡散 | 気象庁・報道機関 | 「40度超の可能性」に言及し市民へ呼びかけ強化 | 継続中 |
❓FAQ|韓国・2025年の猛暑に関する5つの疑問
Q1. 今年の6月はどれほど暑かったのか?
A1. 全国の平均気温は22.9度で、1973年の観測開始以来で最も高くなった(気象庁公式発表)。
Q2. 猛暑はいつから始まっていたのか?
A2. 熱帯夜は6月19日に12地域で出現し、6月下旬からは全国的に猛暑特報が連日発令されていた。
Q3. 今年の梅雨はどのような特徴があったのか?
A3. 済州では6月12日、中部と南部では19〜20日に梅雨入りしたが、豪雨後は雨量が減り、6月末には梅雨明けが発表された(気象庁発表)。
Q4. 40度を超える可能性は本当にあるのか?
A4. ソウル大学の専門家が「2018年を超える長期猛暑が続く可能性があり、40度を超える事例も排除できない」と警告している(中央日報ほか)。
Q5. 市民や行政はどのように対応しているのか?
A5. 地方自治体では避難所や冷房施設を設置し、保健当局は高齢者世帯への冷房費支援を進めている。作業時間の前倒しも行われている。
項目 | 内容 |
---|---|
平均気温(6月) | 22.9度(観測史上最高) |
初の熱帯夜 | 6月19日(12地域) |
梅雨の終了 | 済州:6月26日、南部:7月1日 |
猛暑特報 | 6月下旬〜全国で連日発令 |
体感温度 | ソウルで湿度と無風により34度超と予測 |
行政対応 | 避難所・冷房補助・電力需給見直し |
専門家見解 | 2018年超えの長期猛暑、40度超の可能性 |
猛暑が警告する「都市の脆弱性」と構造的対応の限界
韓国で観測史上最悪の暑さが記録された今年の6月は、単なる異常気象という表現では片づけられない状況に入っている。記録更新の速さと、6月中旬からの熱帯夜の出現、さらに全国的な猛暑の早期化は、従来の気象パターンとは異なる兆候を含んでいる。
今回の猛暑を構造的に見たとき、2つの要因が交錯している。ひとつは「短縮化された梅雨」であり、もうひとつは「高気圧の長期定着」である。前者は本来なら気温を抑制する役割を持つ雨期が機能せず、都市の熱環境を急速に悪化させた。後者は晴天の継続と熱気の滞留をもたらし、冷却の時間帯を奪った。
この2点は偶然ではなく、2018年の記録的猛暑と共通する要素である。しかし今年は、それを1カ月前倒しで再現しつつある点で、警戒すべき位相にある。
また、注目すべきは「体感温度」と「都市の生活圧力」のギャップである。行政は平均気温や予測最高気温をもとに対策を進めるが、実際に市民が感じる暑さや生活負荷は、その数値とは異なる水準で蓄積されている。夜間のエアコン依存や公共交通機関での温度差による体調不良は、統計には現れにくいが確実に拡大している。
電力需給の逼迫や高齢者支援の制度も、連日の猛暑が長期化すれば機能不全に近づくおそれがある。特に40度超の気温が一時的ではなく連続して出現する場合、市民生活と行政機能の両面で耐性を超える可能性がある。
猛暑は一過性の災害ではなく、「夏という季節の再定義」を迫る現象であることが明らかになってきた。気温の記録更新よりも、市民の行動変化と制度の対応速度に注視する必要がある。