広島県府中市の市立府中明郷学園で、教職員が冬期に排水弁を閉め忘れたまま送水を行い、約34万円分の水が流出。市教育委員会は操作ミスとマニュアル不備を認め、弁償は求めず再発防止を徹底すると発表しました。水泳授業開始から発覚までの経緯と市教委の見解を詳しく解説。
学校プール水道代34万円
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広島県府中市にある市立学校で、教職員による送水操作のミスにより約34万円分の水道代が余分に発生していたことが明らかになった。市教育委員会は、現場マニュアルの不備を認めたうえで、関係者に対する弁償は求めない方針を示している。
項目 | 内容 |
---|---|
学校名 | 市立府中明郷学園(広島県府中市) |
発生時期 | 2025年6月5日~6月17日 |
主な原因 | 排水弁の閉め忘れ(冬場から開いたまま) |
水の流出量 | 約1300立方メートル |
水道料金 | 約34万円が余分に発生 |
教委対応 | 弁償請求は行わず、再発防止を表明 |
操作ミスの経緯と発覚まで
広島県府中市教育委員会は、同市立府中明郷学園において教職員がプールにつながる送水管の排水弁を閉め忘れたことで、水が流出し約34万円の水道代が発生したと発表した。
排水弁は凍結防止用に設置されていたが、冬期以降も開いたままの状態が続いていたという。
水泳授業に備えて教職員が送水を開始したのは6月5日だった。その後、水道の使用量が異常に多いことを受けて、6月17日に県水道広域連合企業団から指摘が入り、市教委が調査を実施。結果として排水弁の閉め忘れが判明した。
流出した水の量はおよそ1300立方メートルに上り、市が負担した水道料金は約34万円に達した。市教委は「市民に多大な迷惑をかけたことを深くおわびする」とコメントし、再発防止に努めると説明している。
責任の所在とマニュアル不備の指摘
市教育委員会は、今回の事態について教職員個人に弁償を求めない方針を明言している。背景には、給排水の運用マニュアルに明確な手順や確認項目が不足していたことがあり、過失を組織的な運用の不備と捉えている。
また、学校現場では水泳シーズンに限らず施設管理の一部を教職員が担う体制が続いており、業務分担の見直しも含めた再発防止策の検討が求められている。
操作経緯と指摘時系列
教育委員会の見解と今後の対応
市教育委員会は、再発防止に向けた対応として、排水弁の点検手順を含めた給排水マニュアルの見直しを行う意向を示している。
今回の件を受けて、全市立学校を対象に施設管理の点検体制を強化する方針も示されており、同様の操作ミスが起きないよう職員研修の実施も検討されている。
一方で、マニュアルに従って作業していた教職員に対して個人責任を問うことは適切でないと判断し、金銭的な弁償請求は行わないとの決定が下された。市は「組織としての運用の不備」を認め、制度的な是正に重点を置く姿勢を明らかにしている。
弁償なしの判断とその背景
市教委が弁償を求めなかった理由には、管理手順そのものに不備があったことが挙げられる。
排水弁の開閉確認を明示したチェックリストが存在しなかったため、教職員の作業に明確な落ち度を認定することは困難だったとされている。
また、給排水に関する担当者が明確に割り振られていなかったことも指摘されており、学校設備の管理を巡る体制の脆弱さが浮き彫りとなった。今後は「責任の所在を曖昧にしない運用体制」への移行が求められている。
学校現場の施設管理の限界
学校現場では、教職員が本来の教育業務に加えて、施設や設備の管理業務を兼務する例が少なくない。
今回の排水弁の閉め忘れも、送水業務の中に潜在的なリスクが含まれていたことを示しており、限られた人員で多岐にわたる管理を担う体制に無理が生じている可能性がある。
今後、自治体や教育委員会が設備管理の外部委託や定期点検の制度化を含めた対策を講じなければ、同様の問題が再び起こる懸念も残されている。
水道代増加に至る経緯
【冬期】
排水弁が開いたまま
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【6月5日】
教職員が送水を開始
↓
【6月17日】
水道広域連合企業団から異常使用の指摘
↓
【市教委調査】
排水弁の閉め忘れを確認
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【7月3日】
市教委が正式発表・謝罪
❓FAQ
Q1. 教職員に責任はあるのか?
A1. 市教委はマニュアル不備を認め、個人責任は問わないと明言している(朝日・NHK報道)。
Q2. 34万円の水道代はどのように処理された?
A2. 市が公費で負担し、教職員への弁償請求は行われていない。
Q3. 今後の再発防止策は?
A3. マニュアルの見直し、点検体制の強化、職員研修の実施を予定。
Q4. 他校でも同様の事故は起きている?
A4. 今回の件に関する類似事例の報告は現時点で確認されていない(2025年7月時点)。
Q5. 市民への説明は行われた?
A5. 7月3日の市教委発表で謝罪がなされており、再発防止への方針も示された。
項目 | 要点 |
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原因 | 排水弁の閉め忘れによる水流出 |
流出量 | 約1300㎥ |
被害額 | 水道代 約34万円 |
発覚経緯 | 外部からの使用量異常指摘 |
教委判断 | マニュアル不備のため弁償は求めず |
再発防止策 | マニュアル改訂・職員研修・体制見直し |
施設管理と責任構造の見直し
公立学校における施設管理は、教育の現場と密接に連動しながらも、実務的には限られた人員と資源の中で成り立っている。今回のような排水弁の操作ミスは、単純なヒューマンエラーとして片付けるには、組織運用の脆弱性が大きく影響している。
教育委員会が教職員への責任追及を行わなかったことは、現場の負担実態とマニュアルの不備を踏まえた合理的な判断といえる。ただし、同様の事例が再発すれば市民からの信頼は大きく揺らぐ。制度としてのチェック機構と点検体制の確立が急務となっている。