秘匿SNS「エレメント」
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名古屋市立教諭らによる盗撮画像共有事件
秘匿性高い「Element」アプリを使ったグループ勧誘と起訴の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起訴された教諭 | 名古屋市立小学校の42歳男性教諭 |
| 容疑内容 | 女児の下着を盗撮し、画像をグループチャットで共有 |
| 起訴日 | 2025年7月15日(名古屋地検) |
| 使用アプリ | 「Element(エレメント)」=高秘匿メッセージアプリ |
| 関与人数 | 教員10人程度(ネット上で接点) |
| 犯行日 | 2023年9月26日(盗撮)、27日(画像投稿) |
| 法的根拠 | 性的姿態撮影等処罰法違反 |
被告教諭の行動と犯行経緯
名古屋市立小学校に勤務する42歳の男性教諭が、2023年9月26日に愛知県内の施設で当時9歳の女児の下着をデジタルカメラで盗撮し、翌27日にその画像をグループチャットに投稿していたことが明らかになった。名古屋地検は2025年7月15日、この教諭を性的姿態撮影等処罰法違反の罪で起訴した。起訴状などによると、被告は単独での行動だったが、撮影した画像を複数人の教員と共有していたとされる。
画像が投稿されたチャットグループは、被告自らが開設・管理していたもので、最大10人程度の教員が参加していた。現在までに3人の参加者が特定されているが、いずれも被告と直接面識はなく、ネット上でつながっていたとみられる。
使用されたメッセージアプリ「Element」の性質
画像が共有されたプラットフォームとして、英国企業が開発したメッセージアプリ「Element(エレメント)」が使用されていた。エレメントは、強固な暗号化技術と分散型の設計思想に基づいており、一般的なSNSやチャットサービスよりも高い秘匿性を持つとされる。公的な教育機関の職員による使用は極めて異例であり、警察はこのアプリが意図的に選ばれた可能性を調べている。
愛知県警の捜査によれば、グループはインターネット上で盗撮に関心を持ちそうな教員を選定し、エレメントに誘導していたとみられる。これは通常のSNSよりも通信の追跡が困難であることを意図したとみられ、デジタル空間における組織的な連携行為として波紋を広げている。
ネット勧誘と関与者構造の特異性
今回の事件では、教員同士が直接接触することなく、完全にネット上のみでつながっていたことが特筆される。これは、匿名性の高いネット掲示板やSNSを介して接点を持ち、「教員であること」を認識した上で勧誘されたケースである可能性がある。教職という職責が信頼されやすいことを逆手にとり、教育現場にいることを悪用した構図が背景にある。
また、Elementのような秘匿性の高いツールが犯行後に使用されたのではなく、犯行と共有の双方で一貫して使用されていた点も、これまでの一般的な盗撮事案とは異なる特徴を示している。
ネット接点からグループ形成・投稿までの流れ
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 不明(2023年以前) | インターネット上での掲示板やSNSを通じて教員同士が接点を持つ |
| 不明 | 被告が「Element」でチャットグループを開設し、他の教員を招待 |
| 2023年9月26日 | 愛知県内の施設で、女児(当時9歳)の下着を盗撮 |
| 2023年9月27日 | 撮影した画像をElementのグループチャットに投稿 |
| 2024年~2025年 | 関係機関の通報により県警が捜査開始、画像の拡散経路を追跡 |
| 2025年7月15日 | 名古屋地検が被告教諭を起訴(性的姿態撮影等処罰法違反) |
教育現場の信頼性を崩す“匿名勧誘”の構造的危険
この事件は、単なる個人の性犯罪という枠を超えて、教育機関の職員であるという立場がネット空間で利用され、組織的に接点が形成された点が注目される。直接面識がないまま教員同士がつながり、盗撮という明確な違法行為を共有し合う構図は、教育現場の信頼性そのものを揺るがす。
特に、インターネット上のやり取りだけで共犯関係に近い結束が生まれていた事実は、教職という職務が持つ社会的信頼が逆手に取られた例でもある。採用後の監視やモラル研修だけでは防ぎきれない、匿名空間における勧誘構造への制度的対応が求められている。
チャットグループ形成から事件発覚までの流れ
通信の匿名性と職業属性の悪用が重なった事件
今回の事件では、秘匿性の高い通信アプリが使用された点に加え、加害者が教職という職業的属性を持っていたことが大きな要因となっている。一般のSNS利用では成り立ちにくい「信用関係」が、教員という共通性によって初期の警戒感を排除し、犯罪的行為の共有にまで至った。
こうした構図は、匿名性の高さだけではなく、「役割と立場の信頼性」が同時に悪用された典型といえる。Elementのような通信ツールそのものを規制対象にすることは現実的ではないが、教育現場におけるモラル教育と情報倫理研修は、従来の形式を超えて設計し直す必要がある。
単なる性犯罪の摘発にとどまらず、今後の制度設計では“技術と職業属性が重なったときのリスク”をどう最小化するかが問われている。
❓FAQ|よくある質問
Q1. Elementとはどういうアプリですか?
→ イギリス企業が開発したメッセージアプリで、通信内容が暗号化され、サーバをまたいで分散的に運用される仕組みを採用しています。一般的なSNSよりも秘匿性が高いとされています。
Q2. 今回の事件で使われた法律は?
→ 「性的姿態撮影等処罰法」が適用されました。これは2023年の法改正で強化された法律で、盗撮行為そのものに加え、画像の保存・共有にも処罰対象が広がっています。
Q3. なぜ教員同士がつながったのですか?
→ 捜査関係者によると、ネット掲示板やSNSで接点を持ち、「教員であること」を確認したうえで、秘匿アプリへ誘導された可能性があるとみられています。
Q4. 直接会っていないのに共犯になるのですか?
→ 物理的に会っていなくても、盗撮画像を共有・拡散した行為が明確に確認されていれば、法的責任が問われる可能性があります。実際に今回の被告たちは、ネット上のやり取りのみでつながっていました。
Q5. 今後、教育現場にどんな影響があると考えられますか?
→ 採用段階の倫理審査の強化や、在職中の定期的な行動監視、SNSリテラシー教育の見直しが議論される可能性があります。ただし、プライバシーと監視のバランスが課題となります。
まとめ
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 犯行概要 | 小学校教諭が女児の下着を盗撮し、画像を秘匿SNSで共有 |
| 使用アプリ | Element(英開発の暗号化チャット) |
| 被告の行動 | ネット上で接点を持った教員らとグループを形成 |
| 起訴内容 | 性的姿態撮影等処罰法違反で名古屋地検が起訴 |
| 今後の課題 | 教育現場での倫理体制とネット勧誘構造への制度対応 |
