【破産】国産ギターブランド「FERNANDES」終焉へ
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🎸 FERNANDES破産:名門ギターブランドの終焉とその背景
長年にわたって国産エレキギター業界を牽引してきた「FERNANDES」を展開する株式会社フェルナンデス(東京都目黒区)が、2024年7月9日に東京地裁から破産開始決定を受けたことが明らかになった。1969年創業の老舗ブランドが、競争激化と中古市場の影響で幕を下ろすこととなった。
破産の経緯と概要
株式会社フェルナンデスは、2024年7月9日に東京地方裁判所から破産開始決定を受け、同月11日までに事業を全面停止した。破産手続きは弁護士に一任されており、同社本社前には破産申立に関する告知が掲示された。
負債総額は2024年1月期決算時点で約4億3,389万円。債権者は約80名にのぼり、楽器製造業界・音楽関連流通などへの影響も避けられない見通しだ。
FERNANDESブランドの歴史と意義
フェルナンデスは1969年に創業し、1970年代から80年代にかけてエレキギターやベース、アンプ、エフェクターの製造販売を展開。中でも、Sustainerシステムを内蔵したエレキギターや小型アンプ搭載ギター「ZO-3」は国内外で高く評価された。
布袋寅泰、X JAPANのhide、BUCK-TICKなど著名アーティストとのライセンス契約により、ブランドは90年代に最盛期を迎えた。1999年1月期には年商40億円台を記録。ギター職人を育てる養成学校も運営し、後進育成にも注力していた。
業績悪化の要因と資金難の深刻化
2000年代以降、低価格帯の海外製ギターや中古市場の成長が続いたことで、フェルナンデスのシェアは徐々に縮小。自社での製造は外注委託を基本としながら、ブランド力を維持するためにカタログ刷新や新製品の開発を進めたが、大きな効果は得られなかった。
2022年1月期には売上高1億6,608万円まで減少し、2,414万円の最終赤字を計上。追い打ちをかけるように、長年販路を共有してきた大阪フェルナンデス(資本関係なし)が2023年4月に破産。この出来事により信用不安が拡大し、資金繰りが一気に悪化した。
ギター業界に与える影響
FERNANDESの破産は、単なる企業倒産にとどまらず、日本の楽器産業全体に一石を投じる出来事である。Sustainer技術や代表機種「ZO-3」はいまなおファンの間で評価が高く、中古市場ではプレミア化が進行している。
また、OEMでギターを供給していた外注業者の一部は、注文停止の余波を受けて生産調整に入っているとの声もある。今後、フェルナンデスの知財やブランド名が他社に譲渡されるか否かが、中長期的な音楽機器市場の流れを左右する可能性がある。
国産ギターメーカーとの経営状況比較(2020年代)
| ブランド | 所在地 | 主力モデル | 売上傾向 | 財務状況 |
|---|---|---|---|---|
| FERNANDES | 東京都目黒区 | Sustainer/ZO-3 | 減少→破産 | 2024年破産決定 |
| FUJIGEN(FGN) | 長野県 | Neo Classicなど | 安定推移 | 黒字維持 |
| ESP | 東京都新宿区 | Signatureモデル | 好調 | 音楽学校併設で分散収益 |
| Greco(神田商会) | 東京都千代田区 | レトロ復刻系 | 微増 | 親会社支援あり |
破産後の焦点と注目点整理
フェルナンデスの破産に伴い、現在の注目点は「ブランド知財の扱い」「OEM製造網への影響」「ユーザー資産の保全」に集まっている。
とくに、Sustainerをはじめとする回路設計やブランド商標の今後は、破産管財人による資産査定次第で第三者への譲渡や競売にかけられる可能性がある。現段階では再建計画や譲渡先の決定は公表されておらず、ブランド復活の見通しは不透明である。
一方、海外市場への販売権や、代理店を通じた流通債務の整理も今後の手続きに大きな影響を及ぼすとみられる。
破産前後の売上・信用・販路の変化
| 項目 | 1999年(最盛期) | 2022年(赤字期) | 2024年(破産直前) |
|---|---|---|---|
| 年間売上 | 約40億円台 | 約1.66億円 | 非公開(停止) |
| 営業利益 | 非公開 | ▲2,414万円 | 収支不能 |
| 国内販路 | 全国主要楽器店・学校 | 縮小・委託型中心 | 実質断絶 |
| 海外展開 | 米国・アジア | 輸出縮小傾向 | 停止 |
| ブランド信用 | 高評価・契約多数 | 不安定化 | 信用喪失 |
中古市場と「名機ブランド」の命運
FERNANDESの製品群は、破産前後を問わず中古市場で高い支持を受けてきた。とくに、hideモデルや布袋モデルといった著名アーティストのシグネチャー機種は「音より記憶」を買うファン層を中心に、今なお高値で取引されている。
こうしたブランドの死後に残されたギターたちは、「ブランドは消えても製品は残る」状態で、機材というより投資・記念品的な性格を強めている。一方で、調整・修理・パーツ入手の困難化によって、実用ギターとしての価値は徐々に下がる懸念もある。
❓ FAQ(5問5答)
まとめ
株式会社フェルナンデス(東京都目黒区)は2024年7月9日、東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は約4億3,389万円で、事業は同月11日までに停止された。同社は1969年創業、国産エレキギター「FERNANDES」ブランドで知られ、SustainerやZO-3など革新的製品を展開。1999年には年商40億円超を記録したが、近年は中古市場の拡大や競争激化により業績が悪化。販路の要となっていた大阪フェルナンデスの破産が決定打となり、資金繰りが限界に達した。現在は管財人のもと、資産整理と債務処理が進められており、今後の知財譲渡やブランド再建の動向に注目が集まっている。
