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150ポンドで発見された絵画がダリの真作だった

イラスト絵はイメージ画像です。

英国ケンブリッジの住宅で150ポンドで購入された水彩画が、サルバドール・ダリの真作『Vecchio Sultano』であると鑑定され、専門家の確認を経て再び公式市場に出品されることが決まった。作品は1960年代の連作「アラビアンナイト」シリーズの一部で、1990年代のサザビーズ出品後に所在不明となっていた。今回の再発見は、来歴不明作品が正規市場に戻った希少な事例として注目されている。

 

発見された絵画がダリの真作

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2023年、英国ケンブリッジで開催された倉庫整理セールにおいて、150ポンドで購入された一枚の水彩画が、スペインの巨匠サルバドール・ダリの真作であることが確認された。この作品はダリが手がけた「アラビアンナイト」連作の一部と見られ、専門家の鑑定を経て再び公式の市場に姿を現すことになった。破損・行方不明とされていた作品群の中から発見された今回の絵画は、現代美術界における重要な再発見として注目を集めている。


冒頭要約表

項目 内容
購入価格 約150ポンド(約3万円)で個人が購入
購入場所 英国ケンブリッジの倉庫整理セール
作品名 『Vecchio Sultano』
作者 サルバドール・ダリ(1904–1989)
技法・サイズ 水彩とフェルトペン・38×29cm
鑑定者 ニコラ・デシャルネ氏(ダリ専門家)
来歴 1990年代にサザビーズで出品、以降所在不明
出品予定 2025年10月23日、チェフィンズ(英国)
落札予想額 最大3万ポンド(約570万円)

作品の発見と来歴の特定

2023年、英国ケンブリッジの住宅で開催された倉庫整理セールにおいて、匿名の美術商が一枚の水彩画を150ポンドで購入した。この時点では、作品の詳細や価値は特定されていなかったが、後日その作品がダリの真作『Vecchio Sultano』であることが判明した。

この作品は、1990年代に一度サザビーズのオークションに出品されていたことが確認されており、以降は所在不明となっていた。水彩とフェルトペンによるこの絵は、縦38センチ、横29センチとされており、技法・画風ともにダリの1960年代の特定期に特徴的な要素が含まれている。

さらに、真贋判定にあたっては、ダリの真作認定で知られるニコラ・デシャルネ氏が鑑定を行い、真正品としての認定を受けた。同氏はダリ財団の公式カタログ・レゾネの監修にも関わった実績を持ち、市場における信頼性も高いとされている。


連作シリーズと作品の位置づけ

この水彩画は、1960年代にダリがイタリアの富豪ジュゼッペ&マラ・アルバレート夫妻から依頼を受けて構想した「アラビアンナイト」500点連作の一部であることが判明している。ダリはこのシリーズの制作に取りかかったが、実際に完成したのは全体の約5分の1にあたる100点程度だった。

そのうち約半数はアルバレート家に保管され、夫妻の娘であり、ダリの代娘でもあったクリスティーナに相続された。一方、残る作品群は出版社に委託されたが、その後一部は破損または所在不明となり、今回発見された作品もその中に含まれていたと見られている。

 

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出品経歴と保管状況の整理表

項目 内容
初出品 1990年代、サザビーズオークション(英国)に出品された記録あり
保管経緯 出版社に預けられていたが、紛失扱いとなっていた
現所有者 2023年に150ポンドで購入した英国在住の個人
鑑定 ニコラ・デシャルネ氏による真作認定を取得済み
オークション予定 2025年10月23日、Cheffins(英国・ケンブリッジ

出品予定と市場での評価

作品は現在、英国の美術オークションハウス「チェフィンズ(Cheffins)」による出品準備が進められており、2025年10月23日のオークションに出品される予定である。予想落札価格は最大で3万ポンド(約570万円)とされ、ダリの水彩連作としては相場水準に見合う評価が示されている。

チェフィンズの広報担当者は、「この作品はダリ研究者にとって非常に重要な再発見であり、来歴不明となっていた作品が市場に戻ってきた稀有な事例だ」とコメントしている。さらに、「フェルトペンと水彩による技法は、油彩とは異なるダリの側面を如実に示しており、過小評価されてきた分野に光を当てるきっかけになるだろう」とも述べていた。

鑑定後の反響と評価の声

サルバドール・ダリの真作と確認された『Vecchio Sultano』について、美術専門家やオークション関係者からは「学術的に重要な発見」とする声が上がっている。特に、現代において未記録のダリ作品が新たに確認される例は極めて少なく、美術市場における価値だけでなく、資料的意義の面でも注目されている。

チェフィンズオークション側は「作品の来歴が空白になっていた理由が明確化されたことで、今後の真贋調査や連作整理にも資するだろう」と述べていた。さらに、発見された経緯が一般の倉庫セールであったことから、「真作が日常空間に眠っていた可能性を示す象徴的事例」として紹介されている。

忘れられた真作が示した美術史の空白

今回の発見は、美術市場や学術の枠組みでは拾いきれなかった「行方不明作品の再登場」というテーマを浮かび上がらせた。作品の制作時期や依頼主、出品経歴までが明らかになったことで、美術史の一角に生じていた空白がひとつ埋まったともいえる。

また、家財整理やリサイクルの場において価値が見落とされる実例が示されたことは、作品の保存・来歴管理がいかに重要であるかを示す象徴ともなった。芸術作品の価値が市場価格だけで測れないという視点も、この事例を通じて再認識されている。

真作認定に至る鑑定と来歴の流れ

段階 内容
購入(2023年) ケンブリッジの倉庫整理セールで150ポンドで入手
作品の確認 所有者が画面裏のメモや署名に注目し、来歴を調査
出品記録の照合 1990年代サザビーズ出品の作品画像と一致を確認
専門家による鑑定 ニコラ・デシャルネ氏が真作と断定
出品決定(2025年) チェフィンズでのオークション準備が開始された

よくある5つの疑問と解説

Q1. なぜ150ポンドで売られていたのですか?
A. 一般的な倉庫整理セールで、真作とは気づかれずに出品されていたためです。

Q2. 本当にダリの真作と断定されたのですか?
A. ダリの真贋鑑定で定評のあるニコラ・デシャルネ氏が正式に鑑定しています。

Q3. 他の「アラビアンナイト」シリーズとどう違うのですか?
A. 同シリーズの中でも比較的小型で、鮮やかな色彩より構図重視の傾向が見られます。

Q4. 法的な問題(盗難や紛失届など)はないのですか?
A. 現在までに盗難登録や所有権を主張する記録は確認されていません。

Q5. 今後もこうした発見はあり得ますか?
A. 芸術作品は来歴不明のまま保管されているケースもあり、完全には否定できません。

発見と鑑定の経緯から見える全体像

項目 内容
発見場所 ケンブリッジの住宅倉庫整理セール(2023年)
購入者 英国在住の無名美術商
真作認定 ニコラ・デシャルネ氏による鑑定
制作背景 アラビアンナイト」連作(1960年代)
作品来歴 出版社管理後に紛失・所在不明だった記録あり
現在の評価 落札予想価格 約3万ポンド(約570万円)
学術的意義 ダリ研究・作品整理にとって重要な再発見

真作と判明したことで見えた価値の所在

今回の『Vecchio Sultano』の再発見は、単なる高額落札のニュースにとどまらず、芸術作品が持つ文化的・歴史的な価値を再認識させる機会となった。連作の一部でありながら、記録から漏れていた本作品は、これまで見逃されてきた芸術的痕跡を現代に浮かび上がらせた存在ともいえる。

さらに、オークションハウスや鑑定者が連携して来歴を再構築し、学術価値を伴って市場に戻した点でも、作品が単なる所有物ではなく「文化の記録」として扱われるべきであるという視点を裏付けていた。
この再発見が示したのは、芸術作品の真価は価格だけで測れるものではないという、静かな証明だった。