
1995年からglobeで活躍したマーク・パンサーが、2025年秋のドラマ『御社の乱れ正します!2』(BS-TBS)でバーのマスター役として40年ぶりに本格演技。会見で語った“受け手の面白さ”と、音楽から演技へつながる静かな変化を追う。
マーク・パンサー、“40年ぶりの演技”
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1995年から音楽グループ「globe」のメンバーとして活動し、独自の存在感を放ってきたマーク・パンサー。
その彼が2025年秋、BS-TBSの木曜ドラマ23枠『御社の乱れ正します!2』でおよそ40年ぶりに本格的な演技に挑んでいる。
演じるのはバー「PURPLE ROSE」のマスター。人と人をつなぐ“受け手”としての姿は、彼自身が歩んできた人生の変化と重なる。
華やかな音楽シーンの後ろに立ち続けた過去から、いまは対話と関係性を大切にする表現者へ。
その転機を映すドラマと現実の交差点が、この秋、静かに幕を開けた。
2025年秋、変化を告げるステージ
本格演技への帰還が映す「受け取る力」
マーク・パンサーが再びカメラの前に立った。
1995年にglobeとして音楽シーンを駆け抜けてから30年。
今回は音を奏でる代わりに、人の感情を受け取って返す“マスター”という役を選んだ。
舞台は、不倫によって乱れた人間関係を浄化する成敗ドラマ。
物語の中心に立つのは山崎紘菜演じる三枝玲、そして飯島寛騎の新。
二人の行動を見守り、依頼人とつなぐのが、マーク・パンサーの演じるバー「PURPLE ROSE」のマスターだ。
制作発表会見では、彼自身が「音楽の現場では自己完結だったけれど、演技は相手の言葉を受け止める面白さがある」と語った。
“観葉植物のようにTK(小室哲哉)の後ろに立っていた”と振り返る彼が、今度は対話を通して物語を支える側へ。
globe時代に磨いたリズム感と反射神経が、台詞の呼吸に生きている。
変化を経て見つけた「本当の自分」
マーク・パンサーにとっての転機は、家庭と教育の現場にあった。
結婚し、娘が生まれ、家族との時間が生活の中心になると、
これまでのスピードと光に満ちた世界から、丁寧に“聴く”時間へと変わった。
現在は大学や高校で音楽制作やエンタメ論を教え、
若い世代に「自分のリズムを持つこと」を伝えている。
そしてコロナ禍を経て、鎌倉へ拠点を移した。
自然と向き合う日々の中で健康意識が芽生え、
サーフィンや食生活の改善など、体と心を整える暮らしに挑戦している。
ドラマの撮影現場でも、その穏やかな空気が周囲を和ませるという。
“走る”時代から“整える”時代へ。
音楽、教育、自然、そして演技——それらを一つに束ねるのは、
彼自身が大切にしてきた「バランス」という言葉だ。
globe時代と現在のマーク・パンサー
この比較が示すのは、華やかな表舞台から退くことではなく、
表現のかたちを「発信」から「共鳴」に変えたということだ。
ドラマのマスター役は、その象徴のように見える。
“本当のglobe(地球)を楽しんでいる”と語るマーク・パンサー。
音楽で世界を駆け抜けた彼が、いま地に足をつけて人と関わり、物語を受け取る。
それは、一人の表現者が「伝える」から「受け入れる」へと進化する過程そのものだ。
10月の夜、バーの灯りのように静かに温かく、彼の新しい時間が流れ始めている。
会見で見えた「受け手のプロフェッショナリズム」
2025年8月の制作発表会見では、山崎紘菜、飯島寛騎、そしてマーク・パンサーが並んだ。
壇上でのマークは、記者からの質問に対して一呼吸おき、穏やかに言葉を選んでいた。
音楽のステージでは瞬発的な感性が求められるが、演技では“間”の取り方が違う。
彼は「相手の言葉を全部受け取って、自分の反応が変わるのが面白い」と笑った。
共演の山崎は「マークさんのバーのシーンは安心感があります。みんなで帰ってくる場所」と話し、
飯島も「現場の空気が落ち着く」と続けた。
長年、DJとしてリズムを操ってきた彼が、今度は“人の会話のテンポ”を整える役割を担う。
それはドラマの物語だけでなく、撮影現場のチーム全体にも波及していた。
作品の中で“場をつくる”という演技
ドラマ『御社の乱れ正します!2』は、不倫によって乱れた人間関係を成敗する痛快劇だ。
だが、その中にあるもうひとつのテーマは、“人が立ち直る場所の存在”である。
バー「PURPLE ROSE」は、依頼人が真実を告白し、仲間が次の行動を決める拠点。
マーク・パンサーが演じるマスターは、行動のきっかけを与える“導線”のような存在だ。
第3話では、依頼人の迷いを聞きながら、ただ頷く姿が印象的だった。
説得でも、慰めでもなく、“聞く”ことで相手を立ち直らせる。
それは彼自身がこれまで積み重ねてきた“受け手の経験”そのものに重なる。
演技というより、人生そのものが滲むような静けさだった。
globe時代の「表現」と現在の「対話」
かつてマーク・パンサーが立っていたのは、ライトと音に包まれた巨大なステージ。
彼はその中心で、言葉と音のリズムをつなぐ役割を担っていた。
一方、現在の彼が立つ場所は、柔らかい光の中で人を迎えるバーのカウンターだ。
どちらも“人を包む場”だが、前者が「発信の場所」だったのに対し、
後者は「受け取る場所」になっている。
音楽と演技は別の表現領域だが、
“場を作る”という点で根底に同じ思想がある。
言葉を返す前に相手の呼吸を感じること。
それが、彼の持つ自然なリズム感をいまの演技に変えている。
ドラマ『御社の乱れ正します!2』におけるマスターの流れ
依頼から成敗までの流れとマスターの役割
↓
オフィスAIRクリーニングが調査開始
↓
問題が明らかになる(不倫・裏切りなど)
↓
登場人物がバー「PURPLE ROSE」に集う
↓
マスター(マーク・パンサー)が話を受け止める
↓
玲(山崎紘菜)が成敗方法を決定
↓
新(飯島寛騎)が実行に移す
↓
真実の暴露と関係の再生
↓
エピローグ:バーで再会し次の依頼へ
この流れの中で、マスターはすべての物語の“起点と終点”を担う。
彼がいなければ依頼は生まれず、物語も完結しない。
静かだが確かな存在感が、シリーズ全体を通して軸となっている。
FAQ ― よくある質問
Q1. マーク・パンサーはどんな役を演じているの?
A. バー「PURPLE ROSE」のマスターで、主人公たちが依頼を受ける拠点を管理する人物です。穏やかで、時に助言もする包容力のある存在です。
Q2. ドラマはいつ放送されている?
A. BS-TBSの木曜ドラマ23枠で、2025年10月2日から毎週木曜23時に放送されています。
Q3. ドラマの原作はありますか?
A. 樹ユウマのコミック『御社の不倫の件~絶対に別れさせます~』が原作です。
Q4. 今回の出演で本人は何を語っている?
A. 会見で「音楽の現場では自己完結だったが、演技は相手と呼吸を合わせるのが楽しい」と話しました。
Q5. 今後の見どころは?
A. 第3話以降では、依頼人との対話がさらに深まり、マスターの背景も少しずつ描かれていきます。
「受け手の力」が物語と人生をつなぐ
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 主軸テーマ | “受け取ることで人を動かす”演技と人生の重なり |
| 作品世界 | 不倫を成敗する物語の中に、立ち直りと対話の場を描く |
| 役柄の意義 | 物語の起点であり、感情を受け止める装置として機能 |
| 表現の転換 | 発信型(音楽)から共鳴型(演技)への進化 |
| 現場での印象 | 共演者のコメントから伝わる安心感と安定感 |
| 人生との連続性 | 教育・健康・自然生活を通じて培われた「聞く力」が演技に反映 |
| 視聴者へのメッセージ | 人と人の距離を取り戻すことの大切さを示す |
静かな演技が示す「成熟した対話の時代」
マーク・パンサーの演技には、派手なジェスチャーも激しい感情の起伏もない。
しかし、その静けさこそが、現代のドラマに求められる“成熟の形”なのだろう。
誰かを説得するのではなく、相手の言葉を受け止めること。
それが今の時代のコミュニケーションの本質に近い。
globe時代、彼は爆発的な音の波の中で、世界を盛り上げる“加速の人”だった。
2025年の彼は、穏やかな波の中で人を受け入れる“調律の人”になっている。
ドラマの中のマスターという存在は、混乱を正すだけでなく、
“話を聞くことで癒す”という、新しいタイプのヒーロー像を提示している。
エンターテインメントの価値が「声の大きさ」ではなく「受け取る深さ」にあるとすれば、
この作品でのマーク・パンサーの姿は、その変化を象徴している。
静けさの中にある強さ——それが彼の今の表現であり、
観る人の心を穏やかに揺らす理由なのだ。