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2025年発表|小中の不登校は35万3,970人で過去最多に 増加率は+2.2%に鈍化、新規は9年ぶり減少

2025年10月公表。2024年度の小中不登校は35万3,970人で過去最多、増加率は+2.2%に鈍化し新規は約15万3,800人で9年ぶり減。いじめは76万9,022件、重大事態1,405件と過去最多。教育現場の変化を分析。

不登校は35万3,970人で過去最多

 

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2025年10月に文部科学省が公表した調査で、2024年度の全国の小中学生の不登校は35万3,970人にのぼり、12年連続で増加し過去最多となりました。一方で、増加率は前年度の15.9%から2.2%へと大幅に鈍化し、新たに不登校となった児童生徒は約15万3,800人と9年ぶりに減少しました。高校でも不登校は6万7,782人でわずかに減少しており、長期的な増加傾向の中にも変化の兆しが見られます。

2024年度 学校現場での不登校・いじめの現状(2025年公表)

区分 人数・件数 前年度比 備考
小中の不登校 353,970人 +2.2% 12年連続増・過去最多
新たに不登校となった小中生 約153,800人 9年ぶりに減少
高校の不登校 67,782人 約−1,000人 わずかに減少
いじめ認知件数(小中高・特別支援) 769,022件 +4年連続増 過去最多
重大事態(いじめ) 1,405件 +99件 過去最多
暴力行為 約128,800件 +増加 過去最多更新
調査発表年 2025年 対象:2024年度 文部科学省調査

不登校の増加と変化の兆し

2024年度の小中学校の不登校は35万3,970人に達し、過去最多となりました。これは在籍する児童生徒の約3.9%、およそ26人に1人にあたります。長年増加を続けてきた不登校は、2024年度も12年連続の上昇を示しましたが、その増加率は+2.2%と、前年の15.9%から大幅に鈍化しました。
文部科学省はこの傾向について、「国や自治体が進めてきた支援の効果が少しずつ現れ始めている」と分析しています。

新たに不登校となった児童生徒は約15万3,800人と、9年ぶりに減少しました。これは学校現場での早期支援や、家庭・地域によるフォローアップ体制の整備が進んできたことが背景にあるとみられます。
一方で、過去の不登校経験者が長期化しているケースも多く、累積的に人数が増える構造的な課題は残っています。

高校では不登校が6万7,782人で、前年度よりわずかに減少しました。全体としては小中高を合わせて42万1,000人を超えています。
中学校段階では学習への不安や人間関係のトラブル、小学校段階では家庭環境や心身の不調など多様な要因が指摘されています。学校現場の支援だけでなく、地域・保護者・専門機関が連携して対応する取り組みが求められています。


いじめ・重大事態・暴力行為の増加

不登校と並んで深刻なのが、いじめの増加です。2024年度に全国の小中高校および特別支援学校で認知されたいじめは76万9,022件に上り、4年連続で過去最多を更新しました。
このうち、重大事態として扱われたケースは1,405件で、前年度より99件増えています。重大事態のうち約3分の1は、学校が「重大事態」と認識する前にいじめとして把握されていなかったことが分かりました。これは、SNSやオンラインでのいじめなど、発見が難しい形態が増えていることが一因とされています。

文部科学省は「見えにくい案件の早期発見と迅速な対応が今後の課題」としています。
また、全国の学校で発生した暴力行為も12万件を超え、過去最多を更新しました。背景には、対人関係の悪化や情緒面の不安定さが指摘されており、学校現場でのカウンセリング体制の充実が急務です。

前年度(2023年度)との主要指標比較

指標 2023年度 2024年度 増減 備考
小中の不登校総数 346,482人 353,970人 +7,488人 過去最多更新
不登校増加率 15.9% 2.2% −13.7pt 鈍化傾向
高校の不登校 68,770人 67,782人 −988人 わずかに減少
いじめ認知件数 732,568件 769,022件 +36,454件 4年連続増
重大事態 1,306件 1,405件 +99件 過去最多
暴力行為 約125,000件 約128,800件 +約3,800件 過去最多

2024年度の全国調査では、不登校やいじめなどの課題が依然として増加傾向を示す一方で、新規不登校の減少や増加率の鈍化など、変化の兆しも見え始めています。
行政による支援制度の成果が出つつあるとみられる中、今後は学校・家庭・地域が連携し、個々の子どもの状況に合わせた支援をどう早期に届けるかが問われます。
「最多更新」と「改善の芽」の両面を見据え、現場の支援が継続的に機能する体制づくりが求められています。

新規減少の背景と今後の支援体制

2024年度の不登校総数は過去最多となった一方で、新たに不登校となった児童生徒の数は約15万3,800人と9年ぶりに減少しました。
これは全国の学校現場での対応強化が徐々に成果を上げ始めている可能性を示しています。文部科学省は、自治体や学校が導入している「チーム学校」体制や、オンライン学習・家庭訪問による支援が一定の効果を見せ始めたとしています。

ただし、背景には依然として複雑な要因があります。コロナ禍以降に家庭学習環境が変化し、登校への心理的ハードルが高まった児童も多く、支援のあり方は一様ではありません。
子どもの「居場所づくり」や、登校を強制せず学びを継続できる制度づくりなど、学校外での学びの保障も今後の課題となります。


行政の取り組みと早期対応への課題

文部科学省は2025年の調査発表にあたり、「国や自治体が行ってきた取組の成果が出つつある」との見解を示しました。
各地の教育委員会では、スクールカウンセラーソーシャルワーカーの配置拡充、相談体制のオンライン化などを進めています。
また、保護者への支援も強化されつつあり、地域ごとに家庭・学校・専門機関が連携する「地域支援ネットワーク」が設置されています。

しかし課題は依然として多く、特に見えにくい形のいじめや、家庭内の孤立に気づくための“初期サイン”の把握が難しい点が指摘されています。
文科省は「早期発見・早期対応」を重点方針として掲げ、教職員研修やICTの活用を進めていますが、現場が一人ひとりに目を向ける時間を確保できるかが今後の焦点です。


子どもを支える三つの視点

  1. 学校の視点
     学習の遅れや欠席が続く際の早期面談、スクールカウンセラーとの連携。

  2. 家庭の視点
     子どもの変化を「怠け」と決めつけず、生活リズムや心の状態を丁寧に見守る。

  3. 地域・社会の視点
     公的相談窓口やNPO自治体のフリースクール支援制度など、学校外の受け皿を周知・活用する。

これら三つの視点が連携しなければ、不登校やいじめの早期発見は難しいとされています。関係者同士が情報を共有できる仕組みを強化することが、再登校支援や学びの継続の鍵になります。

 

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不登校・いじめ対応の流れ(早期発見から支援まで)

 
 

兆候の発生
  ↓
担任・友人・保護者が異変を察知
  ↓
校内チームで共有(教員・カウンセラー・保健室など)
  ↓
学校外支援機関へ連携(教育委員会・地域相談センター)
  ↓
児童生徒・保護者への面談・支援プラン作成
  ↓
学習支援・家庭訪問・オンライン活用などで継続支援
  ↓
改善の確認とフォローアップ

 

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FAQ よくある質問

Q1. このデータはいつのものですか?
A1. 2025年10月に発表された、2024年度の全国調査結果です。

Q2. 不登校はどのくらい増えているのですか?
A2. 小中学校で35万3,970人と、前年度より7,000人あまり増え、12年連続で過去最多となりました。

Q3. 新しく不登校になった子どもは減ったのですか?
A3. はい。新規に不登校となった児童生徒は約15万3,800人で、9年ぶりに減少しました。

Q4. いじめや暴力行為はどうなっていますか?
A4. いじめの認知件数は76万9,022件、重大事態は1,405件でいずれも過去最多です。暴力行為も12万件を超えています。

Q5. 国の対策はどのように進んでいますか?
A5. 文部科学省は、早期発見・早期対応を重視し、学校・家庭・地域が連携する仕組みを整備しています。

2024年度 全国の子どもたちをめぐる現状まとめ(2025年発表)

主要項目 現状(2024年度) 傾向 対応の方向性
小中不登校 353,970人(過去最多) 12年連続増加 登校支援と家庭・地域連携の強化
新規不登校 約153,800人 9年ぶり減少 早期支援の成果が一部で見られる
高校不登校 67,782人 微減 進路指導と心理的支援が課題
いじめ認知 769,022件 4年連続増加 ネット上の案件に対応力が必要
暴力行為 約128,800件 増加・過去最多 感情面ケアとカウンセラー配置
政策動向 文科省が「成果が出つつある」と見解 鈍化傾向 「早期発見・早期対応」を推進

「最多」と「減少」の共存が示す教育現場の岐路

2024年度の調査結果は、数字の多さだけでなく「変化の兆し」を同時に映し出しています。
不登校は過去最多の水準に達し、学校現場の厳しい状況を示しましたが、一方で新規に不登校となる子どもの数は減少に転じました。
これは、教育関係者が長年積み重ねてきた支援と、社会全体で子どもを支える意識の高まりが成果として表れ始めている証でもあります。

しかし、いじめや暴力行為の増加は、子どもの人間関係や心の問題がより複雑化している現実を突きつけています。
数値の改善だけでは語れない「支える力の持続性」が問われる段階に入ったといえるでしょう。
教育現場が抱える課題は多様であり、一つの指標では計れません。今後求められるのは、学校・家庭・地域が連携しながら、子どもの小さな変化を見逃さず、学びと安心を両立させる環境を築くことです。

「最多」と「減少」という一見相反する結果をどう受け止め、次の一手につなげていくか。
それが、2025年の教育現場に突きつけられた大きな問いと言えるでしょう。

 

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