トヨタは2025年10月30日、パノラミックビューモニターの制御プログラム不具合で「ノア」「ヴォクシー」「アルファード」など42車種・128万5002台をリコール。始動直後に映像がずれるおそれ。事故報告なし、無償修理へ。
トヨタが42車種・128万台をリコール
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トヨタが42車種128万台をリコール
――パノラミックビューモニターのカメラ不具合で国交省に届け出（2025年10月30日）
リコールの基本情報
2025年10月30日に届け出られた大規模リコールの概要
トヨタ自動車は2025年10月30日、車両に搭載される周囲映像表示システム「パノラミックビューモニター（PVM）」のカメラに不具合があったとして、42車種・計128万5002台のリコールを国土交通省へ届け出た。
対象となるのは、2021年9月から2025年9月までに製造された車両で、「ノア」「ヴォクシー」「アルファード」など人気のミニバンを含む。
国交省の発表によると、カメラ製造時の制御プログラムに不具合があり、車を始動させた直後に後退などの操作を行うと、車周辺の映像が一時的にずれたり映らなくなったりするおそれがあるという。
不具合が起きても、一定時間後に正常表示に戻るが、安全確認に支障が出る可能性があるため、トヨタはリコールを決定した。現時点でこの不具合による事故は確認されていない。
運転時の影響とユーザーが取るべき対応
今回の不具合は、駐車場や車庫入れなど、始動直後に後退を伴う操作を行う場面で発生する可能性がある。周囲の映像が一瞬でも表示されない場合、障害物や歩行者を視認できないおそれがある。
ただし、現時点では実際に事故が起きたという報告はなく、映像が復帰すれば通常どおり使用できることが確認されている。
トヨタは対象車両の所有者に対し、無償修理を行うと発表している。ユーザーは、トヨタ公式サイトまたは販売店で対象車両を確認し、早めの点検・修理予約を行うことが推奨される。修理内容は制御プログラムの対策や、必要に応じてカメラの交換が予定されている。
販売店での作業は無償で行われ、点検・修理に要する時間は車種によって異なるが、通常は1時間前後とされる。部品供給の状況により、予約が混み合う可能性があるため、早めの連絡が望ましい。
同年に発生したカメラ関連リコールとの違い
| 項目 | 2025年10月30日リコール | 2025年9月17日リコール（別件） |
|---|---|---|
| 不具合の原因 | 制御プログラムの不具合による映像のずれ・一時不表示 | カメラ素子の亀裂により左側映像が映らないおそれ |
| 対象車種 | 42車種（ノア、ヴォクシー、アルファードなど） | 2車種（ヤリスクロス、カローラクロス） |
| 対象台数 | 1,285,002台 | 98,784台 |
| 製造期間 | 2021年9月～2025年9月 | 2020年11月～2024年11月ごろ |
| 事故報告 | なし | なし |
| 対応 | 販売店で制御プログラム対策またはカメラ交換 | カメラ交換 |
不具合の仕組みと発生条件を詳しく見る
トヨタが届け出たリコールでは、周囲を映すカメラの制御プログラムに不具合があり、車を始動させた直後に後退などの操作を行うと、周囲の映像が一時的にずれたり映らなくなったりするおそれがあるとされた。
この現象は、エンジンを始動してから制御系が完全に立ち上がるまでの短い時間に発生しやすく、電源の投入とシステム起動のタイミングが一致しないことで映像信号が正しく処理されない場合に起こる。
多くの車両ではこの時間はごく短く、運転者が操作を急がない限り問題は発生しにくい。しかし、停車中にすぐ後退する場面では、画面に映る映像が一瞬ずれる可能性があり、安全確認を妨げることになる。トヨタはこれを安全上の重要な懸念として位置づけ、早期に回収・無償修理を行う方針を明らかにした。
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メーカーの対応姿勢と再発防止の方向性
トヨタはリコールの発表と同時に、対象車両の点検・修理を全国の販売店で順次進めると説明している。
修理は無償で行われ、主に制御プログラムの書き換えや、必要に応じたカメラ部品の交換が中心となる。
再発防止策としては、ソフトウェア設計段階での起動制御の見直しと、試験時に始動直後の操作をより厳格に再現する検証方法の導入が検討されている。トヨタは、今回のリコールを「安全確認システムの信頼性を高めるための改善」と位置づけ、利用者への影響を最小限に抑える対応を進めている。
利用者が理解しておくべき安全意識
今回の不具合は、現時点で事故を引き起こしたという報告はない。しかし、車の安全支援装備に依存しすぎる運転習慣を見直す機会として捉えることもできる。
周囲映像モニターは便利な補助装置だが、ドライバーの直接目視による確認を代替するものではない。エンジン始動直後やカメラが不安定な状態では、必ずミラーや目視で安全を確認する姿勢が重要だ。
今回のリコールを通じ、メーカーとユーザーの双方が「支援技術を使いこなす責任」を再確認することが、安全社会の基盤になるといえる。
リコール対応の流れ
-
自分の車が対象かを確認
└ トヨタ公式サイトのリコール情報検索ページで車台番号を入力 -
対象車両の場合、販売店へ連絡
└ 予約を取り、修理内容と所要時間を確認 -
入庫して点検・修理を実施
└ 制御プログラムの書き換えまたはカメラ交換を実施 -
修理完了後に確認書を受け取り完了
FAQ（よくある質問）
Q1. この不具合で走行に支障はあるのか？
A. 通常走行には支障がないが、始動直後の後退時に一時的に映像が映らないおそれがあるため、修理を受けることが推奨されている。
Q2. 修理は有料か？
A. 無償修理となる。販売店で予約し、点検・対策を受けることができる。
Q3. 修理にはどれくらい時間がかかるのか？
A. 車種によって異なるが、おおむね1時間程度が目安とされている。
Q4. 他のリコールと関係はあるか？
A. 9月17日に届け出られたカメラ素子の亀裂によるリコールとは別件であり、原因と内容は異なる。
Q5. 今後同様の不具合が起きる可能性はあるのか？
A. 今回の不具合は制御プログラムの改修で再発を防止できるとされている。今後はソフトウェア検証の強化が進められる見通し。
今回のリコールを理解するための要点
| 区分 | 要点 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月30日 |
| 対象 | 42車種・計1,285,002台（2021年9月～2025年9月製造） |
| 不具合の内容 | 始動直後の後退時などに周囲映像がずれる・映らないおそれ |
| 安全性 | 事故報告なし、早期点検推奨 |
| ユーザー対応 | 対象検索→販売店連絡→無償修理 |
| 関連情報 | 9月17日に別件リコール（カメラ素子の亀裂）が届け出済み |
安全技術の信頼を支えるメーカー対応とは
今回のリコールは、128万台を超える大規模なものとなったが、事故が発生する前に届け出を行った点が注目される。安全装備は故障時に重大事故を招く可能性があるため、早期の判断は利用者の信頼につながる。
近年、自動車メーカー各社はソフトウェアの重要性が増す中で、電子制御系の不具合に対して迅速な改善策を講じる体制を整えつつある。トヨタもその一環として、検査・通知のフローを迅速化したことがうかがえる。
一方で、技術が進化するほど、利用者は「車がすべてを判断してくれる」という誤解を抱きやすい。今回の事例は、メーカーの対応力だけでなく、ドライバーが安全装備の限界を理解することの重要性を示している。
安全支援システムの信頼は、メーカーとユーザーの双方の意識によって維持される。今回のリコール対応は、そのバランスの中で「技術と運転者が協調する未来型の安全文化」への一歩といえるだろう。
