国内女子ゴルフのメジャー初戦・サロンパス杯で、藤田さいきが高熱を押して出場。体調不良の中で18ホールを戦い抜き、プレーオフで惜敗。試合後は青木瀬令奈に抱きついたまま崩れ、背負われて搬送された。なぜ棄権せず立ち続けたのか。プロとしての信念と、その代償が突きつけた問いとは――。
ゴルフ藤田さいき
倒れるまで戦った
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その瞬間、勝利の行方ではなく、命の不安が会場を包んだ。
ワールドレディスサロンパス杯最終日、39歳の藤田さいき選手がプレーオフの末に敗れた直後、力尽きたようにその場で動けなくなった。関係者に背負われながらクラブハウスを後にする姿に、多くのファンや選手たちが驚きと心配を隠せなかった。試合中も咳き込み、嘔吐寸前まで追い込まれていた彼女が、それでもグリーンに立ち続けた理由とは何だったのか。
藤田さいきはなぜ体調不良でも出場したのか?
どんな状況でラウンドしたのか?
藤田さいきは、最終日を首位で迎えた。だが体は悲鳴を上げていた。
第2日終了後に発熱し、体温は39度に達した。主治医からは棄権を勧められたが、本人は出場を決意。夫でありマネージャーでもある和晃さんが、都内まで薬を取りに走る事態にまでなっていた。熱は一時的に37.5度まで下がったものの、完全に回復することはなかった。
ラウンド中は、しばしば咳き込む姿が見られた。16番ホールでは嘔吐しそうになり、コース上で座り込む場面も。にもかかわらず、藤田は18ホールを最後まで歩き抜き、さらにプレーオフにも進んだ。
その姿に、同伴者や観客は目を潤ませながら応援の声を送っていた。
なぜ出場を決断したのか?
藤田の言葉に代わって、行動がすべてを語っていた。
2001年のプロ転向以来、彼女は常に「誠実に、最後まで戦う」姿勢を貫いてきた。メジャー初戦という大舞台において、39歳という年齢での首位発進はまさにキャリアの集大成とも言える瞬間だった。そこに懸けた執念が、彼女をコースへ向かわせたのだ。
一方で、夫・和晃さんはラウンド前、「肺炎の疑いがあるため、来週は欠場の手続きをした」と報道陣に話しており、周囲も体調の深刻さを把握していたことがうかがえる。
にもかかわらず出場を止めなかった――その判断には、スポーツ選手としての矜持と、背後に潜む“引き際の美学”が影を落としていた。
📝体調判断の経緯
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2日目終了後:39度の発熱、主治医が棄権を勧告
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薬で微熱まで下がるも完治せず
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プレー直前:咳、吐き気、動悸の症状あり
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関係者コメント:「無理に出たのではなく、彼女の意志だった」
何が起きて搬送に至ったのか?
試合後の藤田選手の様子は?
最終18ホールを終えた時点で、藤田はすでに体力の限界に達していた。
プレーオフでは申ジエとの一騎打ちとなったが、勝敗が決した瞬間、藤田は青木瀬令奈に抱きつき、そのまま崩れるように動けなくなった。
観客席が騒然とする中、関係者が急いで担架と車いすを用意し、彼女は背負われる形でクラブハウスを後にした。
ラウンド中の症状も深刻だった。とくに16番ホールでは、立っていられずコースに座り込む場面が目撃されている。咳と吐き気に襲われながらも、「最後まで戦いたい」という強い意志でプレーを続けたという。
試合後には大会側から公式に「意識はあり、現在は病院で診察を受けている」と発表された。
関係者・選手の反応はどうだったか?
搬送時の映像では、他の選手たちの表情も硬く、深い動揺が伝わってきた。
抱きかかえられた青木瀬令奈は涙を流しながら、「車いすを早く!」とスタッフに訴えた。蛭田みな美や阿部未悠らも心配そうに見つめ、沈黙が支配する異様な空気がコースを包んでいた。
特に印象的だったのは、誰もが「プレーの結果より彼女の無事」を願っていたこと。勝敗を超えた“人としての祈り”が、現場全体に広がっていた。
▶ 藤田さいき搬送までの時系列
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第2日終了時:39度の発熱が判明
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医師:棄権を勧告/夫:都内へ薬を取りに向かう
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最終日:微熱(37.5度)で出場を決断
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試合中:咳、吐き気、座り込みが発生
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プレーオフ:敗戦後に意識が朦朧、青木に抱きつく
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担架で退場→救急車で搬送、意識あり
✅ 見出し | ▶ 要点(1文構成) |
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試合前 | 発熱による体調不良が確認されるも出場決断 |
ラウンド中 | 咳や嘔吐寸前の症状が続きながら18ホール完遂 |
プレーオフ後 | 動けなくなり、背負われてクラブハウス退場 |
現在 | 意識はあり、病院での検査が行われている |
▶ この異常事態に、周囲の反応はどうだったのか?
「これは勝敗の問題ではありませんでした」――
選手たちのまなざしには、同じフィールドに立つ者としての共鳴と、言葉にできない恐れが滲んでいた。
命の限界と隣り合わせで戦う藤田の姿は、観る者にも問いを投げかけたのです。
この出来事から何を考えるべきか?
選手の「自己判断」と「安全配慮」の境界線は?
藤田さいき選手の今回の選択は、プロフェッショナルとしての執念に満ちた行動だった。だが同時に、「止める勇気」はなかったのか――という問いも残る。
スポーツの現場には、「根性」や「最後までやり抜くこと」が美徳とされる文化が根強く残っている。
しかし、健康を犠牲にした決断が本当に尊重されるべきか、今あらためて見直すべき時期に来ているのではないか。
🖋 「強さとは、倒れるまで立つことなのか?」
その問いが、静かに胸に残った。
藤田さいきが倒れたのは、敗れたからではない。勝ち負けを超えた“何か”を背負い過ぎたからだ。
拍手の中で立ち上がれず、支えられながら退場した背中――あれは「闘志の炎が燃え尽きた」瞬間だった。
私たちはあの姿を、ただの「根性」で片付けていいのだろうか。
強さとは、声なき叫びを受け止めることではないのか。
見えない限界線を、誰が、いつ、どう引くべきなのか。
❓ FAQ(よくある質問)
Q1. 藤田さいき選手はなぜ棄権しなかったのですか?
A. 主治医からは棄権を勧められていましたが、本人の意志で出場を決断しました。
Q2. 現在の体調はどうなっていますか?
A. 大会発表によれば「意識はあり、近隣の病院で検査中」とのことです。
Q3. 来週以降のツアー出場は?
A. 夫・和晃氏が「欠場の手続きを取った」と述べており、来週は出場しない予定です。
✅ セクション | ▶ 要点 |
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出場前 | 高熱にもかかわらず本人の意志で出場決断 |
試合内容 | 嘔吐寸前の体調で18ホール+POを完遂 |
退場時 | 動けなくなり、抱えられながら退場 |
反応と波紋 | 感動と同時に、安全配慮の在り方が議論に |
▶ 「勝ち負けではない、命を懸けた戦い」が、私たちに問いかけるものとは。