セカンドストリートを展開するゲオホールディングスが、2026年10月に商号を「セカンドリテイリング株式会社」へ変更予定。中古流通事業に特化し、2035年度までに国内外で5000店舗・売上高1兆円を目指す。リユース事業のグローバル戦略と循環型経済への貢献を柱とした再編の全貌を解説。
ゲオHDが社名変更へ
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セカンドストリートなどを展開するゲオホールディングスが、2026年10月1日付で「セカンドリテイリング株式会社」への商号変更を発表した。リユース事業を中核に据えたグループ再編の一環であり、2035年度までに売上高1兆円・国内外5000店舗を目指す長期戦略が打ち出された。新たな社名には「second-hand(中古品)」への社会的価値の再定義と循環型経済への貢献を掲げる意図が込められている。
項目 | 内容 |
---|---|
発表主体 | ゲオホールディングス |
新商号 | セカンドリテイリング株式会社(2nd RETAILING Co., Ltd.) |
商号変更日 | 2026年10月1日(予定) |
条件 | 2026年6月26日の株主総会での定款変更承認が前提 |
新社名の由来 | 「second-hand」に由来し、循環・再分配の理念を明示 |
主力事業 | セカンドストリート等によるリユース小売業 |
長期目標(2035年度) | 売上高1兆円、国内外5000店舗(うち海外1000店舗) |
社名変更の発表と背景説明
ゲオホールディングスは2026年6月26日開催予定の株主総会において、社名を「セカンドリテイリング株式会社」に変更する議案を提出する方針を明らかにした。変更が承認されれば、同年10月1日をもって新商号が正式に発効される。
同社はこれまでも、セカンドストリート事業を中心としたリユース業態に経営資源を集約してきたが、既存の「ゲオ」ブランドがDVD・CDレンタルの印象を強く残していたことから、リユース専業企業としてのブランドイメージを明確化する必要性が高まっていた。
商号由来と株主総会での決議方針
新たに掲げられる「セカンドリテイリング(2nd RETAILING)」という名称は、「second-hand(中古品)」を意味する語から着想を得たものである。これには「世に出た価値あるものを、再び循環させて暮らしの豊かさを実現する」という企業理念が込められている。
この変更は、社名を単なる表記の更新にとどめず、事業の中核を担う思想的軸の再定義と位置づけられている。会社法上の手続きとしては、2026年6月26日に予定されている株主総会にて、定款の一部変更議案として提案され、承認を経たのちに10月1日付で変更が実施される見通しである。
事業展開と出店数目標の要点整理
リユース戦略と2035年度目標
ゲオホールディングスが打ち出した長期計画では、2035年度までにグループ連結売上高1兆円の達成と、国内外で合計5000店舗体制を構築することが掲げられている。特に海外では、北米・東南アジア・台湾等を中心に「セカンドストリート」ブランドで1000店舗の出店を目指すとされている。
国内市場においても、セカンドストリートの都市圏集中出店に加え、ゲオショップのリユース比率を高め、店舗内での買い取り・販売のサイクルを強化する方針が示されている。これらの展開は、消費者からの直接仕入れと在庫循環の最適化によって実現されるとしており、オムニチャネル戦略と併せてリユース流通量の増加を狙う体制が整えられている。
海外1,000店計画と循環経済の軸
ゲオホールディングスは、2035年度までに海外で1,000店舗の出店を目標に掲げている。この数値は、現在の海外出店数から見ても極めて野心的であり、毎年80~90店舗のペースで出店を継続しなければならない計算となる。
既存の米国・台湾・マレーシアに加え、アジア各国や欧州市場の開拓も視野に入っており、出店エリアごとの収益性・仕入れルート・古物規制などを見極めながら展開を進めるという。また、同社は「使い捨てから循環へ」という社会的転換を事業戦略と連動させており、社名変更もその流れの中に位置付けられている。
サプライ確保とオムニチャネルの視点
セカンドストリートの事業拡大に伴い、安定した商品供給が課題として浮上している。とくに海外出店の加速には、現地での仕入れ体制をどのように構築するかが成否を分ける要素となる。
そのため同社では、国内では店舗買取に加えて宅配買取・法人仕入れ・イベント買取などのチャネル多様化を進めており、これを今後、海外各地でも展開する構えである。加えて、オンラインと実店舗を融合させた「オムニチャネル型流通網」の整備を進めており、店舗在庫を越えたクロスボーダー取引も視野に入れている。
商号変更と経営目標達成までの流れ
[2026年6月] 株主総会にて定款変更議案を上程
↓(承認)
[2026年10月] 商号を「セカンドリテイリング株式会社」に変更
↓
[2027年度〜] リユース事業に経営資源を集中
↓
[2030年前後] 海外500店舗・売上規模中間点突破へ
↓
[2035年度] グループ売上1兆円/国内外5000店舗の達成を目指す
FAQ:よくある5つの疑問
Q1. なぜ“GEO”の名前を変えるのか?
A1. DVD・CDレンタルの印象が強い「GEO」ブランドを刷新し、リユース事業への明確な集中を表すためです。
Q2. セカンドストリートの店舗名も変わるのか?
A2. いいえ。既存の店舗ブランド「セカンドストリート」は継続使用され、新商号とは区別されます。
Q3. 海外展開の拠点はどこが中心?
A3. すでに進出している米国・台湾・マレーシアのほか、東南アジア・北米での出店が強化される見込みです。
Q4. リユース事業の収益性は高いのか?
A4. 国内では粗利率が高く、安定収益源として期待されていますが、海外では仕入れ・物流コストとのバランスが鍵となります。
Q5. 社名変更で何が変わるのか?
A5. 事業の中身が急に変わるわけではなく、今後の方向性とブランドの再定義を内外に示す意味合いが強い変更です。
商号変更計画と戦略目標の要点
ブランド刷新とリユース市場における立ち位置
ゲオホールディングスが「セカンドリテイリング」へと社名を変える決断を下した背景には、単なる商号変更にとどまらない事業構造の明確な変化がある。すでにリユースが全体の中核を占める中、かつての主力だったレンタル事業からの脱却と、次の10年での“循環経済の担い手”としての企業像を内外に提示する意義は大きい。
特に注目すべきは、海外出店を1000店舗規模で見据えた計画だ。この規模での海外展開は、単に販路を拡大するという次元ではなく、現地でのリユース文化の定着と、新たなサプライチェーンの構築を伴う。日本国内においても、リユース=節約ではなく、“価値の再発見”としての消費スタイルが浸透してきており、同社の再定義は時代的背景とも合致している。
持続可能性と収益性を両立するモデルが構築できれば、同社は単なる小売業ではなく「循環型経済を支える基盤企業」として、ESG投資や国際市場でも注目される存在となる可能性を秘めている。