関東学連は2025年9月25日、順天堂大学の競技会で1989年から続く不適正行為を公表。非公認施設でのハンマー投記録が取り消され、2025年10月から2年間の主催禁止処分となりました。
順天堂大ハンマー投で30年以上の不適正行為
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関東学生陸上競技連盟は2025年9月25日、順天堂大学が主催してきた競技会で長年にわたり不適正行為が行われていたことを公表した。対象はハンマー投で、1989年から1992年の一部競技会、さらに1993年から2024年8月9日まで継続して、非公認施設で実施した記録を公認施設のものとして申請していたという。学連は2025年10月1日から2年間にわたり順大での競技会主催を禁止する処分を決定し、記録の取り扱いについても明確に示した。大学側は公式に謝罪し、再発防止に取り組む姿勢を示している。
発表内容の要点
項目 | 内容 |
---|---|
発表主体 | 関東学生陸上競技連盟 |
発表日 | 2025年9月25日 |
不適正行為 | 非公認施設で実施したハンマー投の記録を、公認施設での記録として申請・報告 |
行為期間 | 1989年〜1992年の一部競技会/1993年〜2024年8月9日まで継続 |
処分内容 | 順大主催競技会の禁止(2025年10月1日から2年間)、指導者への処分、公認記録取り消し |
大学側対応 | 公式謝罪と再発防止の表明 |
不適正行為の発覚と経緯
今回の問題は、順天堂大学陸上競技部の自主申告により明らかになった。関東学生陸上競技連盟が2025年9月25日に発表した内容によると、1989年から1992年の一部競技会で、また1993年から2024年8月9日までの長期間にわたり、ハンマー投の競技が非公認の投てき練習場で行われ、その記録がさくらキャンパス競技場での公認記録として申請されていた。
さらに、1989年に実施された五大学対校陸上競技選手権大会の予選や、1992年の関東学生競技会でも同様の行為が確認されている。これにより、30年以上にわたり不適正が続いていた事実が裏付けられた。
この問題は記録の信頼性を根本から揺るがすものであり、競技会全体の公正性に重大な影響を及ぼす。長期間にわたって不適正が放置されてきた背景には、施設使用のチェック体制の甘さや、公認申請手続きの監督不足があったとみられる。学連は不正の経緯を明示し、関係者や学生アスリートへの影響を考慮しつつ、処分内容を発表した。
制度的な問題点と長期発覚の要因
この不適正が30年以上続いた背景には、制度面での抜け穴が存在した。まず、公認記録として承認されるためには競技会が公認施設で行われる必要があるが、申請の段階で現場確認が徹底されていなかった。非公認施設で実施されたにもかかわらず、書類上は公認施設として報告されていたため、外部からの発覚は困難だった。
さらに、競技会主催者である大学に対するチェック機能が十分に機能していなかった点も大きい。学連の審査は書面中心で、現地検証の体制が弱く、長年にわたり同じ手口が通用してしまった。今回の発覚は大学の自主申告によるものであり、もし申告がなければ不正が続いた可能性もある。
制度的な甘さと監督不足が重なり、不正が長期化したことは、陸上競技界全体にとって大きな教訓となる。今後は記録の公正性を担保するため、現地確認や第三者の監査を導入することが求められる。
記録取り扱いの整理
区分 | 対応 |
---|---|
非公認施設で行われたハンマー投の記録 | 公認記録としては取り消し |
非公認記録を資格記録として学連競技会に出場した後の成績 | 公認記録取り消しの対象外 |
関連する競技会での個人順位・対校得点 | 抹消しない |
処分内容と競技界への影響
関東学生陸上競技連盟は、順天堂大学に対して厳しい処分を決定した。2025年10月1日から2年間にわたり、同大学が主催する競技会の開催を禁止するほか、指導者に対しても学連主催の競技会への参加禁止措置を科した。さらに、非公認の投てき練習場で行われたハンマー投の記録は、公認記録としてすべて取り消される。
一方で、当該の非公認記録を資格記録として用いて関東学連の競技会に出場し、その後に出した記録や順位については取り消さないとされた。これは学生アスリートへの影響を最小限に抑えるための措置であり、競技者自身の努力を尊重した対応といえる。
今回の処分は大学だけでなく、学連主催大会に関わる多くの関係者に影響を与える。長期間積み上げられてきた記録の一部が無効化されることは競技史において大きな空白を生む一方、厳正な記録の維持に向けた重要な判断でもある。
制度改善と再発防止への課題
順天堂大学は公式謝罪の中で「全学を挙げて再発防止に取り組む」と表明した。今後の対応としては、学内のチェック体制を強化し、競技会の運営プロセスを透明化することが不可欠となる。競技記録の信頼性を担保するためには、学連側の制度改善も求められる。
具体的には、公認記録申請に際して現地確認を義務化すること、大学が主催する競技会に外部の監査役を配置することなどが考えられる。こうした仕組みが整備されれば、記録の正確性と透明性は大きく高まる。今回の問題は大学単独の不正にとどまらず、制度全体の脆弱性を示す事例となった。
社会的影響と信頼回復への道
長年にわたり不正が続いたことは、陸上競技に関わる学生や指導者の信頼を大きく損なった。公認記録の価値が揺らぐことは、選手の努力やキャリア形成に直結する重大な問題である。競技会の正当性は学生アスリートの将来に関わるため、記録の公正性を確保することが最優先となる。
また、大学スポーツに対する社会の信頼を回復するには、透明性の高い情報公開が必要だ。競技団体や大学は再発防止策を明確に提示し、継続的に実行状況を示すことで、競技界全体の信頼回復につなげていくことが求められる。
今回の発覚から処分までの流れ
順天堂大学が自主申告
↓関東学生陸上競技連盟が調査
↓
2025年9月25日:不適正行為を公表
↓
処分決定(主催禁止・指導者処分・記録取り消し)
↓
2025年10月1日:処分開始
↓
順天堂大学が公式謝罪と再発防止策を表明
FAQ|よくある疑問と回答
Q1. 処分はいつから始まるのですか?
A1. 2025年10月1日から2年間、順天堂大学主催の競技会は開催できません。
Q2. どの記録が取り消されますか?
A2. 非公認の投てき練習場で行われたハンマー投の記録が公認記録から抹消されます。
Q3. 選手が学連競技会で出した成績はどうなりますか?
A3. 非公認記録を資格記録として出場した後の競技会で出た成績は、取り消されません。
Q4. 指導者にはどんな処分が科されましたか?
A4. 関東学連主催の競技会への参加禁止などの処分が決定しました。
Q5. 大学側はどのように対応していますか?
A5. 順天堂大学は2025年9月25日に公式謝罪を公表し、全学を挙げて再発防止に取り組むと表明しています。
今回の発表と処分の全体像
不正の長期化が示した制度の脆弱性
今回の不適正行為は、単なる一大学の不祥事にとどまらず、日本の大学スポーツにおける制度の脆弱性を示す象徴的な事例である。1989年から2024年まで続いた不正は、記録の信頼性を根幹から揺るがすものであり、競技者の努力を裏切る結果を招いた。
処分の重さは大学と関係者への責任追及であると同時に、競技界全体の健全性を回復する第一歩でもある。今後は監視体制と制度の透明性を高め、競技会の公正性を守ることが最重要課題となるだろう。選手が安心して競技に臨める環境を整えることこそが、大学スポーツの信頼を取り戻す唯一の道である。