福井市のパン製造販売「PANTES365Japan」(店名PANTES)が2025年10月1日までに事業を停止。人気の「あん食パン」で知られ、春江店オープンや本店リニューアルからわずか数か月で自己破産申請見込みに。沿革から停止までの流れを整理します。
福井発、あん食パン
「PANTES」事業停止
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福井市のパン製造販売会社「PANTES365Japan」が事業を停止し、近く福井地裁へ自己破産を申請する見込みであることが分かりました。人気商品「あん食パン」で知られ、県内や東京都内で店舗を展開してきたブランドは、多店舗経営の負担や売上構造の変化に直面し、直近の出店やリニューアルからわずか数か月で経営を断念する形となりました。
「PANTES」事業停止に関する主要ポイント
項目 | 内容 |
---|---|
報道日 | 2025年10月2日 |
会社名 | PANTES365Japan(店名 PANTES) |
創業・法人化 | 2007年創業、2009年法人化 |
店舗数 | 県内や東京都内を含む5店舗を運営 |
主力商品 | あん食パン |
年間売上 | 2024年9月期:約1億2000万円 |
新規出店 | 2024年12月:春江店オープン |
本店改装 | 2025年4月:福井本店リニューアル |
休業 | いずれも9月末までに一時休業 |
事業停止 | 2025年10月1日までに事業停止 |
自己破産 | 近く福井地裁へ申請見込み |
負債総額 | 明らかになっていない |
事業停止と会社の沿革
PANTES365Japanは2007年に創業し、2009年に法人化しました。「PANTES」の店名で展開したパン事業は、福井県内だけでなく東京都内にも広がり、最大で5店舗を運営していました。看板商品である「あん食パン」は地元客や観光客に親しまれ、ブランドの知名度を押し上げました。
近年は多店舗展開の固定費負担が重く、経営体制を直営店中心から卸売主体へと切り替えていました。食品スーパーや駅構内の販売を強化する一方で、生産性を高めるため急速冷結庫の導入を行い、中小企業庁の補助金にも採択されました。こうした取り組みにより、2024年9月期には年間約1億2000万円の売上を計上しています。
しかし、2024年12月に新規出店した春江店、2025年4月にリニューアルオープンした福井本店はいずれも9月末までに一時休業となり、経営環境の改善には至りませんでした。結果として、先行きの見通しが立たず、2025年10月1日までに事業を停止し、近く福井地裁へ自己破産を申請する見込みと報じられました。
店舗展開と休業の流れ
春江店は2024年12月にオープンし、新しい顧客層の獲得を狙いました。また、2025年4月には福井本店をリニューアルし、地域の中心拠点として再出発を試みました。しかし、いずれの店舗も開業から半年足らずで一時休業を余儀なくされました。これは、固定費の増加と収益改善の遅れが影響したとみられます。短期間での休業は、ブランドの信頼性にも打撃を与え、全体の経営判断に直結しました。
直営型と卸売型の違い
経営戦略の変化を比較
項目 | 直営店舗中心 | 卸売主体 |
---|---|---|
販路 | 自社店舗 | スーパー・駅構内ショップ |
固定費 | 店舗運営費・人件費が高い | 相対的に軽減される |
売上構造 | 店舗売上に依存 | 卸先への販売が主体 |
リスク | 店舗集客に左右されやすい | 卸契約や販売先に依存 |
経営戦略の転換と業績の動向
PANTES365Japanは、多店舗経営の負担を軽減するため、直営店中心の体制を見直し、スーパーや駅構内ショップへの卸売を主体とする方向に転換しました。これは、人件費や店舗維持費といった固定費を抑え、売上の安定を狙ったものです。
さらに、急速冷結庫の導入による生産性向上を進め、この取り組みは中小企業庁の補助金にも採択されました。新しい設備投資と販路拡大の試みが並行して進められ、2024年9月期には年間約1億2000万円の売上を計上しました。数字の上では一定の成果を残しましたが、全体の収益改善には結びつきませんでした。
直営店の縮小や卸売強化による体制変更は、短期的な効果を期待されたものの、結果として経営の持続力を高めるまでには至らず、2025年10月1日までに事業を停止する判断へとつながりました。
補助金活用と経営改善への試み
急速冷結庫の導入は、生産効率を高めることで人手不足やコスト増に対応しようとするものでした。冷凍保存によって商品の品質を保ち、広域での販売拡大を実現する狙いがありました。補助金採択は新たな販路開拓に向けた後押しとなりましたが、設備投資が負担として重くのしかかった側面もありました。
また、卸売の強化によって新規顧客の獲得を進める試みもなされましたが、結果的には直営店の休業や売上の減少を補うことはできませんでした。改善策の実行から事業停止までの期間は短く、十分な効果を発揮する前に経営の継続が困難になったといえます。
地域と顧客への影響
「あん食パン」で知られるPANTESは、地元で長く親しまれた存在でした。新規出店や本店リニューアルにより注目を集めたものの、短期間での休業や停止により地域の消費者にとっては突然の喪失となりました。今後は、顧客が別の地域店や大手チェーンに流れる可能性があり、地元のパン文化に少なからぬ影響を与えることが考えられます。
また、卸売先として販売していたスーパーや駅構内ショップも取引停止を余儀なくされ、取引先企業にとっても商品供給の調整が求められる状況となりました。
事業停止までの流れ
PANTES365Japanの歩みと停止までの経緯
創業(2007年)
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法人化(2009年)
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県内・東京都内で店舗展開(5店舗)
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人気商品「あん食パン」で支持拡大
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急速冷結庫導入(中小企業庁補助金採択)
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2024年9月期 売上約1億2000万円
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2024年12月 春江店オープン
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2025年4月 福井本店リニューアル
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9月末までに両店一時休業
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2025年10月1日までに事業停止
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近く福井地裁へ自己破産申請見込み
❓FAQ:読者の疑問への回答
Q1. 負債総額は公表されていますか?
A1. 報道時点では明らかになっていません。
Q2. 人気の「あん食パン」は今後購入できますか?
A2. 店舗は休業・停止しており、販売は行われていません。
Q3. 今後の法的手続きはどうなりますか?
A3. 自己破産の申請後、裁判所が受理し、破産手続開始決定が出される流れになります。
Q4. 春江店や本店の再開はありますか?
A4. 報道では再開についての言及はありません。
Q5. 補助金で導入した設備はどうなるのですか?
A5. 今後の破産手続において資産管理の対象となります。
総合要約表 PANTES365Japan 事業停止に関する整理
急速な転換と地域経済への示唆
PANTES365Japanの歩みは、地方発のブランドが短期間で店舗網を広げ、人気を集めた典型例でした。しかし、急速な拡大と多店舗経営による固定費負担が経営を圧迫し、補助金による設備投資も収益安定に直結しませんでした。
今回の事業停止は、人気商品を持ちながらも持続可能な体制に転換できなかった中小企業の難しさを示しています。特に、消費者ニーズの多様化や人件費・原材料費の上昇が続くなかで、地域の食品事業がどのように安定経営を築くかは今後も課題です。
地域に根差したブランドの事業停止は、消費者の生活だけでなく、取引先や雇用にも影響を与えます。今回のケースは、急成長に依存した経営モデルのリスクを改めて浮き彫りにし、地方発ブランドの持続的な発展に向けた教訓を残しました。