ヤゲオが芝浦電子を総額1089億円で買収へ。応募87%で成立見通し、買付価格7130円。TOB期間は10月20日まで延長、上場廃止予定。
芝浦電子TOB、応募87%で成立へ
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台湾の電子部品大手ヤゲオによる芝浦電子への株式公開買い付け(TOB)が、2025年10月3日時点で応募株式比率約87%に達した。成立条件を超えており、買収は成立する見通しとなった。買収総額は約1089億円に上り、芝浦電子はTOB成立後に東京証券取引所スタンダード市場から上場廃止となる見込みだ。
芝浦電子TOBの主要ポイント
応募87%で成立見通し
2025年10月3日、ヤゲオが芝浦電子に対して行っているTOBへの応募が買付予定株数の約87%に達した。成立条件は50.01%以上とされており、これを大きく上回ったことで買収は成立する見通しと報じられている。買収総額は関東財務局への届出資料に基づき約1089億円に達する。芝浦電子はTOB成立後に東京証券取引所スタンダード市場から上場廃止となる見込みだ。
延長されたTOB期間と承認取得の背景
当初、買付期間は2025年10月3日までとされていたが、応募機会を拡大するため20日まで延長された。この決定は、9月に日本政府から外為法上の承認を得たことを受けて行われたものだ。芝浦電子は当初「同意なき買収」として反対姿勢を示していたが、承認取得を経て賛同に転じた経緯がある。今回の延長により、株主に対して改めて応募の機会が示されたことになる。
ヤゲオとミネベアミツミの提示条件
項目 | ヤゲオ | ミネベアミツミ |
---|---|---|
提示価格 | 7,130円 | 6,200円 |
TOB成立状況 | 応募約87%で成立見通し | 2025年9月12日に不成立 |
結果 | 芝浦電子はヤゲオ案に賛同へ転換 | 買収実現に至らず |
外為法承認と芝浦電子の姿勢転換
ヤゲオによる芝浦電子への買収は、日本政府の承認を経て進展した。2025年9月2〜3日に外為法に基づく承認が与えられたと発表され、買収に必要な規制上の手続きが整った。芝浦電子は当初「同意なき買収」として反対の立場をとっていたが、この承認を受けて方針を転換し、最終的に賛同を表明した。承認はセンサー事業に関わる技術の保護や安全保障上の観点から注目されていたが、政府の決定により手続きは大きな障害を越えたといえる。
成立後の上場廃止と完了予定
TOBが成立した場合、芝浦電子は東京証券取引所スタンダード市場での上場を廃止する見込みだ。報道では、買収の完了は2025年第4四半期に予定されている。これにより、芝浦電子はヤゲオの完全子会社となり、日台企業によるセンサーと電子部品分野での協力が強化されることになる。
センサー事業と日台連携の意義
芝浦電子は温度センサーやサーミスタで世界的に高いシェアを持ち、ヤゲオは受動部品で強みを持つ。両社の事業は補完関係にあり、今回の買収成立によってサプライチェーンの一体化が進むとみられる。また、外為法審査を通過したことで、日台間の産業協力が安全保障面と経済面の双方で承認を得たかたちとなり、今後の連携拡大にも注目が集まる。
芝浦電子TOBの時系列の流れ
芝浦電子買収提案(2025年2月)
↓ 当初は「同意なき買収」として反対
↓ ミネベアミツミが対抗TOB(6,200円)を提示
↓ 2025年9月12日 対抗TOBが不成立
↓ 2025年9月2〜3日 日本政府が外為法承認を付与
↓ 芝浦電子がヤゲオ案に賛同へ転換
↓ 2025年10月3日 応募比率約87%で成立見通し
↓ TOB期間を10月20日まで延長
↓ 成立後 東証スタンダード上場廃止(予定)
↓ 2025年第4四半期 買収完了予定
FAQ:「芝浦電子TOBに関する疑問と回答」
Q1. 応募比率はどの程度に達したのか?
A1. 2025年10月3日時点で約87%に達し、成立条件を大きく上回った。
Q2. 買収総額はいくらか?
A2. 関東財務局に提出された資料に基づき約1089億円と報じられている。
Q3. 買付価格はいくらか?
A3. ヤゲオは1株7,130円を提示した。
Q4. TOB期間はいつまでか?
A4. 当初は2025年10月3日までだったが、20日まで延長された。
Q5. TOB成立後はどうなるのか?
A5. 芝浦電子は上場廃止となり、買収完了は2025年第4四半期に予定されている。
芝浦電子TOBの主要事実まとめ
芝浦電子買収劇が示す企業買収環境の変化
今回の芝浦電子を巡るTOBは、単なる企業買収を超えた意味を持つ。まず、当初「同意なき買収」として注目された案件が、政府の外為法承認を経て賛同に転じる過程は、日本における外資による買収が安全保障審査を伴いつつも成立する事例を示した。次に、ミネベアミツミとの競り合いを経て高値で決着したことは、グローバル競争の中で日本企業の技術価値が再評価されたことを象徴している。さらに、上場廃止を経て完全子会社化が進むことで、日台企業間の連携が強化され、サプライチェーンや技術開発の国際的な枠組みに影響を与える可能性がある。芝浦電子TOBは、今後の企業買収やクロスボーダーM&Aのあり方を占う試金石となったといえる。