厚生労働省が2025年に公表した最新統計で、外国人労働者が過去最多の230万人に。ベトナムが最多となり、制度は技能実習から育成就労へ。日本が選ばれる国であり続けるための課題をデータで読み解く
2025年公表データで見るベトナム最多
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外国人労働者230万人の時代 ベトナムが最多となった日本の現実
外国人労働者の構成を数字で見る
ベトナム57万人、中国40万人 2025年公表データが示す構成変化
日本の外国人労働者が230万人を超えた。厚生労働省が2025年に発表した統計では、前年より25万人以上増加し、過去最多を記録した。
最も多いのはベトナム人の57万人で、中国人の40万人、フィリピン人の24万人が続く。かつて中国が主流だった構成は、近年の経済成長や賃金水準の変化によって、ベトナムが中心に移っている。
一方で、ミャンマー（+61%）、インドネシア（+39%）、スリランカ（+33%）など、他のアジア諸国の伸びも著しい。これらの国々は近年、製造業や建設、介護などの分野で日本の需要に応えて人材を送り出しており、外国人雇用の“多様化”が進んでいる。
在留資格の内訳を見ると、「専門的・技術的分野」が初めて最多となった。これはエンジニアや研究職など、より専門的な職種の外国人が増加していることを意味する。これまで中心だった「技能実習」や「資格外活動」から、より高度な職業へのシフトが始まっている。
改正入管法で広がる道 技能実習から育成就労へ
2024年に成立した入管法の改正により、日本の外国人雇用制度は大きな転換点を迎えた。これまでの技能実習制度を発展させた「育成就労制度」が新たに創設されたのである。
この制度は、就労者が一定の条件を満たせば転籍が可能になるなど、より実践的な技能習得とキャリア形成を支援する仕組みが特徴だ。改正法は2024年6月に成立・公布され、2027年4月1日施行が政令で決定している。
制度改正の背景には、日本国内での人手不足がある。建設業、介護、製造など、地域産業を支える現場では労働力の確保が喫緊の課題となっており、外国人雇用は欠かせない存在になっている。
政府は今後、受け入れ企業や監理団体に対して透明性を求める方針を示しており、働く側と雇う側の双方にとってより公正な環境を整えることが課題となる。
外国人雇用の構成変化を数字で比べる
日本はかつて「働きに来る国」だったが、今は世界の労働市場の中で“選ばれる側”へと立場を変えつつある。
ベトナムを中心に多様化が進む中、日本が今後も外国人にとって魅力ある働き先であり続けるには、制度の整備と社会的受け入れ体制の両立が欠かせない。
数の増加ではなく、働く人と地域がともに成長できる環境を築けるかどうか――その答えが、これからの日本社会の姿を決めていく。
専門・技術が最多に 日本の外国人雇用が示す構造転換
2025年に公表された厚生労働省の統計によると、外国人労働者の在留資格別構成は、これまで主流だった技能実習を抜き、「専門的・技術的分野」が初めて最多となった。
この区分にはエンジニア、研究者、デザイナー、通訳、IT技術者などが含まれる。日本企業のデジタル化や人材多様化の流れが進む中で、外国人が「高度人材」として受け入れられる土台が整いつつある。
一方で、依然として製造業や建設、介護などを支える技能実習・特定技能の層も厚い。全国的に若年層の労働人口が減少する中、これらの分野は地域経済を支える柱となっている。
この二つの層が共存する構造こそ、今の日本の雇用の特徴といえる。
人手不足が押し上げた受け入れ拡大
外国人労働者数が230万人を超えた背景には、長引く人手不足がある。特に地方では、人口減少により製造や農業、介護の現場で人員確保が難しくなっている。
企業は新卒採用だけでは対応できず、海外からの人材受け入れに踏み切るケースが増えている。
日本経済全体では賃金水準の上昇が緩やかであり、円安の影響も続くが、それでも安定した労働環境や治安の良さが一定の魅力として評価されている。
受け入れ国・送り出し国の双方が協力して、働く側の教育支援や生活支援を強化する取り組みも始まっている。これらの動きが今後の雇用の質を左右していく。
現場から見た外国人雇用の課題と希望
外国人労働者の増加は、単なる労働力の補充にとどまらない。地方企業では、技能実習生や技術者の存在が事業継続の鍵を握っている。
一方で、文化・言語の壁、生活支援の不足、キャリア形成の停滞など、現場が直面する課題も多い。
地域によっては外国人が地域社会に溶け込み、地元行事に参加する事例も増えており、多文化共生の芽も見え始めている。
制度の安定と社会の受け入れが両輪として機能することが、これからの持続的な雇用につながる。
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育成就労制度の流れ
外国人雇用拡大（人手不足が背景）
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技能実習制度の見直しを検討
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2024年6月 入管法改正成立・公布
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2025年 施行期日を定める政令が公布
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2027年4月1日 育成就労制度が正式施行
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転籍の自由・待遇改善・監理団体の透明化が進む
よくある質問（FAQ）
Q1：外国人労働者はどれくらいいるのですか？
A：2025年発表の厚労省統計では、全国で2,302,587人が就業しています。前年より12.4％増え、過去最多です。
Q2：最も多い国籍はどこですか？
A：ベトナムが57万人で最多です。中国が40万人、フィリピンが24万人で続きます。
Q3：新しい「育成就労制度」とは何ですか？
A：技能実習制度を見直し、外国人がより安定して働きながら技能を高められる仕組みです。2027年4月1日に施行されます。
Q4：人手不足はどの分野で起きていますか？
A：製造業、介護、建設、農業などの地域産業が中心です。地方では外国人が重要な戦力になっています。
Q5：外国人が増えることで日本社会はどう変わりますか？
A：地域によっては多文化共生の動きが進んでおり、労働だけでなく生活・教育面でも支え合う仕組みが必要になっています。
外国人雇用の現状と制度を整理する
働く国・選ばれる国 日本社会が問われる次の段階
外国人労働者が230万人を超えた事実は、労働市場の構造変化を明確に示している。
かつて「デカセギ」と呼ばれた時代には、日本がアジアの人々にとって憧れの職場だった。しかし現在は、他国の経済成長により、働く場所としての競争が進んでいる。
それでも日本が外国人に選ばれている理由は、一定の生活安定、治安、社会保障の整備にある。
課題は、数を増やすことではなく、働く人が自らの能力を発揮できる環境を整えることだ。
育成就労制度の導入はその第一歩に過ぎない。制度を生かし、地域が外国人と共に成長できるかが問われている。
数字の裏にあるのは、労働者一人ひとりの暮らしと努力であり、日本社会がその存在をどれだけ支えられるかが、次の時代の鍵になる。
