
ロンドン・ウェンブリーで実現したウシクとデュボアの再戦。5回KO勝利で4団体王座を取り戻した試合展開と今後の展望を詳しく解説。
ウシク、4団体王座を再び統一
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ウシク、4団体統一王座に返り咲き ウェンブリーで宿敵デュボアを5回KO撃破
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 試合開催日 | 2025年7月19日(日本時間20日) | 
| 会場 | 英ロンドン・ウェンブリースタジアム | 
| 勝者 | オレクサンドル・ウシク(ウクライナ) | 
| 勝利内容 | 5回1分52秒KO、2度のダウン奪取 | 
| 統一状況 | WBAスーパー、WBC、WBO、IBFのヘビー級4団体王座を再統一 | 
王者ウシク、再び4団体の頂点に
ロンドンのウェンブリースタジアムで7月19日(日本時間20日)に行われたヘビー級4団体王座統一戦で、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が圧巻の勝利を収めた。ウシクは、IBF世界ヘビー級王者だったダニエル・デュボア(英国)を相手に、5回1分52秒でKO勝利を収め、4団体統一王者に返り咲いた。
この勝利によりウシクは、WBAスーパー、WBC、WBOの3団体王座に加え、以前に手放していたIBFの王座も取り戻した。ひとつの階級で4つすべての主要タイトルをそろえるのは並大抵ではなく、これを2度成し遂げた選手はスーパーミドル級のサウル・アルバレスに続いて2人目とされる。
デュボアを返り討ち、完璧なリベンジ阻止
ウシクは試合の立ち上がりから距離とタイミングを支配した。相手が強引に前へ出る場面も見られたが、5回に試合の流れを決定づける場面が訪れる。コーナー際での右フックが最初のダウンを生み、立ち上がった相手に対し、すかさず右フックと左ストレートを連続で打ち込み、試合を決着させた。
デュボアにとっては2023年8月の対戦に続く2度目の敗北であり、リベンジはならなかった。かつての王者に挑んだものの、技術と対応力の差は大きかった。
38歳ウシク「これは始まり」──試合後の言葉ににじむ決意
試合後、ウシクはリング上で「この勝利は仲間のもの。38歳はただの数字。私はまだ若者だ」と語り、笑顔を見せた。そして「これは始まりに過ぎない」と続け、次なる展望にも触れた。「今は休みたい。家族と過ごしたい」と述べつつ、次戦の相手については「フューリーかもしれないし、ジョシュアかもしれない。家に帰るからまだわからないよ」と冗談交じりに語った。
パウンド・フォー・パウンド1位の貫禄
アメリカの老舗専門誌『ザ・リング』による階級横断の評価で、ウシクはすでに1位とされている。その評価を支えるだけの力を今回の試合で見せたことは、ファンにとっても納得のいく内容だった。地元イギリスの会場で、かつての相手を完封した勝ち方は、今後のヘビー級戦線を左右する一戦となったことは間違いない。
返上された王座への再挑戦、その背景と意味
ウシクが今回の試合で奪還したIBF王座は、自身がかつて保持していたタイトルだった。2023年、試合日程の調整や他団体との条件が折り合わず、一時的に返上されたが、それは力を失ったことによる喪失ではなく、競技環境による一時的な離脱だった。
その後、IBFは空位となったタイトルをデュボアに認定。ウシクにとっては納得のいく形での決着ができていなかっただけに、この再戦の意味は特別だった。今回の勝利によって、ただタイトルを集めただけでなく、返上時に抱えていた未解決の課題にも決着をつけたことになる。
試合後の「38歳は若者」「これが始まり」といった発言は、王者としての区切りを意味するものではなく、むしろこれからの時間にも自信を持って立ち向かう意思の表れだった。年齢という条件よりも、自らの手で取り戻す姿勢が、多くの支持を生んだ所以だろう。
IBF返上から4団体再統一までの流れ
| 時期 | 出来事 | 内容 | 周囲の動き | 
|---|---|---|---|
| 2023年 | IBF王座を手放す | 試合日程や義務試合の調整が難航し、保持を断念 | 他団体タイトルを優先して保持 | 
| 同年8月 | デュボアと初対戦 | ウシクが9回KOで勝利、IBFの正式承認は未達 | タイトルは空位のまま | 
| 2024年 | デュボアがIBF王者に | 空位扱いのIBF王座が新たに承認される | 挑戦者としての立場が確定 | 
| 2025年7月 | 再戦で決着 | ウシクが5回KO勝利でタイトルを奪還 | 全団体の王座が再びそろう | 
| 試合後 | ウシクのコメント | 「これは始まり」「38歳は若者」と発言 | 次の試合相手に言及するも明言せず | 
ウシクが語った“次”──フューリーか、ジョシュアか
試合後、オレクサンドル・ウシクは「今は休みたい」と前置きした上で、「次はフューリーかもしれないし、ジョシュアかもしれない」と口にした。この言葉に込められたのは、単なる可能性ではない。ヘビー級を代表する両者の名を挙げた時点で、彼の視線が次なる頂に向いていることは明白だった。
2023年時点でウシクはフューリーとの対戦を模索していたが、契約条件の不一致などにより試合は実現しなかった。一方のジョシュアとは過去に2度対戦し、いずれも判定で勝利している。すでに結果が出ている相手か、それとも未対決のチャンピオン経験者か。どちらに進んでも、再統一を終えたばかりの王者が休息のあとに選ぶ道は、大きな注目を集めることになる。
ウシクの「38歳は若者」発言に見える感覚の転換
ウシクが試合後に語った「38歳は若者だ」という言葉は、年齢に対する従来の受け止め方とは異なる印象を残した。特にヘビー級の世界では、30代後半は“終盤”と見なされることが多い。しかしウシクは、その数字を笑い飛ばしながら「これは始まりに過ぎない」と続けた。
この発言には、自身の肉体的な状態への自信だけでなく、長く第一線で勝ち続けてきた選手ならではの実感がにじんでいる。周囲からの期待や年齢への固定観念を意に介さず、自分のタイミングで戦いを選ぶ姿勢が読み取れる場面だった。
返上から再統一、そして次戦展望までの流れ
IBF王座返上
  ↓
王座空位のままデュボアに初勝利(2023年8月)
  ↓
デュボアが正式にIBF王者として認定(2024年)
  ↓
再戦決定 → ウシクが5回KOで勝利(2025年7月)
  ↓
4団体王座を再び手にする
  ↓
「38歳は若者」「これは始まり」と発言
  ↓
次戦候補にフューリー/ジョシュアの名
奪還という選択──“預けた王座”を再び握った意味
ウシクが今回手にしたIBF王座は、他者に奪われたものではなかった。彼自身の判断で手放し、あえて戻ることを選んだタイトルである。だからこそ、この再統一には通常の王座獲得とは異なる重みがある。
返上という決断には、対戦カードの優先や多団体の要求に対応するという難しさがあった。その中で“後回し”にせざるを得なかったタイトルに、改めて向き合ったのが今回の一戦だった。形式的には統一戦だが、実際には「再会」とも言えるような意味合いを持っていた。
そしてウシクは、返ってきたベルトに対して「もう十分だ」と言いつつも、その目線はまだ先にある。ヘビー級という舞台で、タイトルの扱いを自分の手で決めていく──その姿に、王者としての本質が現れていた。
❓FAQ:よくある質問
Q1. なぜIBFの王座だけ一度返上されたのですか?
A1. 複数団体による指名試合の調整が難しく、他のタイトル防衛を優先するため一時的に返上されました。
Q2. デュボアはなぜIBF王者として認定されたのですか?
A2. 空位となったIBF王座に対して、団体がデュボアを王者として承認したためです。
Q3. ウシクはなぜ38歳で第一線に立ち続けられるのですか?
A3. 試合後の発言にある通り、自身の体調管理と競技への意識が極めて高く、試合内容からも衰えは見られませんでした。
Q4. フューリー戦とジョシュア戦、どちらが実現しそうですか?
A4. 現時点で確定的な情報はなく、試合の実現については今後の交渉次第です。
Q5. ウシクは今後も試合を続ける意思を持っていますか?
A5. 本人は「これは始まり」と語っており、現時点で引退の意向は示していません。
ブログ記事まとめ
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ウシクがロンドン・ウェンブリーで行われた世界ヘビー級統一戦に勝利し、4つの王座を再び手にした。
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対戦相手はIBF王者デュボア。2度のダウンを奪い、5回KOという圧巻の内容で試合を終えた。
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ウシクは過去に保持していたIBF王座を事情により一時的に手放していたが、今回の勝利で元の4冠状態に戻した。
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試合後には「38歳は若者」と語り、今後も現役を続けていく姿勢を強調。
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次の対戦相手として、フューリーやジョシュアの名前を挙げつつも、まずは家族との時間を優先したいと語った。
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長年トップに君臨してきたウシクが、年齢や実績にとらわれず、自らのペースで道を切り開いていることが印象的だった。
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今後の動き次第で、再び大きなカードが組まれる可能性が高く、ファンの注目が集まっている。