
熊本市の中学3年生が自宅で乾燥大麻を所持していたとして逮捕されました。本人は「自分が吸うために持っていた」と供述し、警察は入手経路や使用の有無について調べを進めています。県内ではSNSを使った密売グループの摘発もあり、未成年による薬物のリスクが深刻化しています。保護者との対話や警察の警鐘が強く呼びかけられています。
中3大麻所持で逮捕
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
熊本市に住む中学3年の男子生徒が、大麻を所持していたとして警察に逮捕されました。調べに対し、「自分が吸うために持っていた」と供述しており、家庭内から発見された薬物の存在が、若年層への拡大とSNS経由の密売リスクを浮き彫りにしています。警察は使用の有無や入手ルートを調べるとともに、保護者への注意を呼びかけています。
大麻所持の発覚と自宅での押収
警察によると、逮捕されたのは熊本市内に住む中学3年の男子生徒で、2025年7月31日朝、自宅において乾燥大麻約1グラムを所持していたとして、麻薬取締法違反の疑いで逮捕されました。警察が家宅捜索を行ったのはその前日、30日です。
この事件の発端は、同年2月ごろ、御船警察署の管内で男子生徒が同年代の知人数人とともにいたところを警察官が職務質問したことでした。その際、大麻を所持している疑いが浮上したため、捜査が開始されていました。
31日の逮捕後、生徒は「大麻は俺が吸うために所持していた」と供述しており、警察はその言動や態度から所持だけでなく使用の可能性も視野に入れています。乾燥大麻が見つかった部屋は、生徒本人の部屋と特定されており、警察は入手経路や拡散の有無についても調べを進めているとしています。
所持理由と本人の供述内容
男子生徒が語った「自分が吸うために持っていた」という供述は、刑事責任能力や更生の可能性に関して捜査当局が判断を下すうえで重要な要素とされています。
警察関係者によると、所持の状況から販売目的ではないとみられていますが、SNSや匿名チャットアプリを通じた密売の実態が県内でも確認されており、未成年による単独入手が可能な環境が問題視されています。こうした背景もあり、警察は容疑者がどのようにして薬物を入手したのか、また同年代への拡散の有無についても調査を進めています。
逮捕までの経緯と警察対応の記録表
若者に広がる危険性とSNS密売の現状
熊本県警察本部 国際・薬物銃器対策課によると、大麻はさらに強い薬物に手を出すきっかけになることから「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれており、若者の間での拡散が深刻な課題となっています。警察関係者は「大麻を使用すると、極度の不安や錯乱、パニック障害を起こす可能性があり、長期間使用すれば認知・記憶障害、依存症にもつながる」と警告しています。
実際に、熊本県内では2024年1年間で少年7人が大麻所持の疑いで検挙されたとされており、件数の増加傾向が認められています。
また、熊本県内ではSNSを活用した密売グループの摘発例も確認されており、若者が匿名性の高い手段を通じて違法薬物に容易にアクセスできる現実が明らかになっています。警察は、こうした実態が家庭内での防止対策だけでは十分に抑止できないことを懸念し、保護者への注意を呼びかけています。
公表後の変化と関係者の対応
今回の事件は、大麻の所持そのものに加えて、未成年者による「使用の供述」が明確に記録された点で、警察内部でも注意が強まっています。
2023年12月には改正法が施行され、大麻の使用自体も違法となりました。この改正を受けて、熊本県警でも若年層に向けた啓発活動や捜査体制の強化が続けられており、今回の摘発もその一環とされています。
一方、教育現場では、薬物防止教育の見直しや家庭との連携強化が課題として浮かび上がっており、今後は「使用経験のある未成年者にどう接するか」という対応指針が求められる状況です。
SNS密売の匿名性が生むリスク
熊本県警の担当官は、SNSを経由した密売グループが県内でも摘発された事例を引き合いに出し、「若者が匿名性の高い手段で大麻にアクセスしている現実は、〈うちの子は大丈夫〉という感覚だけでは対応しきれない」と話しました。
このような状況では、家族内での信頼関係や日常的な対話の有無が、薬物への接触リスクを左右する要因にもなり得ます。中学生の生活圏にあるスマートフォンやSNSというツールが、危険に直結し得ることを認識し、家庭でも“完全な安全地帯”は存在しないという認識を持つ必要があります。
大麻所持摘発の流れと対策の段階
❓FAQ よくある5つの疑問が整理されていた
Q1. 中学生でも刑事責任は問われるの?
A1. 少年法の適用対象となり、14歳以上であれば刑事責任が問われる場合があります。今回の生徒は中学3年生で、捜査当局が対応を検討中です。
Q2. 「ゲートウェイドラッグ」とはどういう意味?
A2. 初期に手を出す薬物が、その後より危険な薬物へと進行する入り口になりやすいことから付けられた呼称です。大麻はその典型とされています。
Q3. SNSを通じた大麻の取引は本当に存在する?
A3. 熊本県警によると、実際にSNSを用いた密売グループが県内で摘発されており、匿名性の高さが問題視されています。
Q4. 保護者ができる具体的な対策は?
A4. 子どもとの定期的な対話に加え、スマートフォンの使用状況やSNSの関与を把握し、異変を早期に察知する姿勢が必要です。
Q5. 法改正で変わった点は?
A5. 2023年12月に法改正が施行され、大麻の「使用」そのものが違法となりました。これにより、所持・使用の両面で取り締まりが行われています。
総合要約表:記録から読み取れる全体のまとめ
若年層への大麻拡散にどう向き合うか
今回の事件は、単なる大麻の所持にとどまらず、未成年による使用供述が明確に確認された事例として記録されました。SNSを介した密売ルートの実在が示されたことで、「家庭の中に潜むリスク」が現実味を持って突きつけられたといえます。
大麻は「軽い薬物」と誤認されやすい一方で、精神機能への影響や、依存性の高さが問題視されており、少年期に触れたことによる将来への悪影響も懸念されます。
警察の捜査・教育現場での啓発・家庭での対話。そのいずれが欠けても、この拡散は止められない現実がある中で、誰がどこでリスクに気づき、どこから防ぐかが問われています。