金沢競馬場の厩舎が浸水
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2025年8月7日未明、石川県加賀地方で線状降水帯が発生し、金沢市内では12時間雨量が観測史上最多となる記録的豪雨に見舞われた。この影響で、金沢競馬場の厩舎地区が大規模に浸水し、出走馬の安全確保や飼料搬入に支障が生じている。石川県競馬事務局は同日と翌8日(金)の場外発売を中止すると発表した。
線状降水帯の発生と競馬場への初期浸水
石川県加賀地方では7日未明から朝にかけて線状降水帯が発生し、金沢市内では12時間雨量が観測史上最多となった。この集中豪雨の影響で、金沢競馬場の厩舎地区一帯が冠水。朝の時点で膝下程度の浸水が確認され、場内では施設の一部が使用不能となっていた。
厩舎地区はコースよりも低地に位置しており、雨水の排水が進みにくい地形的な課題が指摘されている。石川県競馬事務局は、安全を最優先に対応を開始し、7日と8日の場外発売を中止すると発表した。
厩舎地区の水位上昇と飼料搬入の困難
午後になると、厩舎地区の浸水はさらに深刻化した。現場では「馬の腹の下」まで水位が上昇し、馬を避難させたくても、外の通路が人の腰まで浸かる状態となっていた。こうした状況下では人馬ともに安全な移動が困難となり、厩舎内でのとどまり対応が続けられている。
飼料についても、水没によって一部が使用不能となっており、現在は飼料会社が新たなエサを緊急搬入しているものの、物流経路や作業環境にも支障が出ており、現時点で復旧の見通しは立っていない。
佐藤調教師の証言と現地対応の記録
金沢競馬場所属の調教師・佐藤茂氏は、北國新聞の取材に対し「洗い場の水を何とか飲ませているが、午後の方が水かさが増している」と述べ、現場の厳しい状況を明かした。厩舎地区は競馬場のコースよりも低地に位置しており、雨水が流れ込みやすい構造となっているという。
佐藤氏はまた、「これ以上水位が上がれば馬の健康にも支障が出かねない」と述べ、あとは水が引くのを祈るばかりだと語った。浸水は馬房の飼料置き場にも及んでおり、既存のエサはほぼ使用不能。緊急対応として、別ルートからの飼料搬入が継続されている。
復旧遅延と影響要因の時系列
| 時間帯 | 状況 | 主な課題 |
|---|---|---|
| 7日未明 | 線状降水帯発生/雨量急増 | 地盤低下地への水流集中 |
| 7日朝 | 膝下まで浸水確認 | 厩舎区域の電源・設備が一部停止 |
| 7日昼 | 馬の腹の下まで浸水 | 馬の移動が困難化/通路浸水 |
| 7日午後 | 飼料が水没/エサ不足発生 | 飼料会社が搬入開始も困難伴う |
| 7日夕方 | 排水見通し立たず | 復旧作業着手不能・開催日程影響 |
飼料確保の継続と馬の体調管理に課題が残る
石川県競馬事務局は、浸水の影響を受けた厩舎地区について、引き続き現場確認と安全対応を続けている。場内では飼料の運搬が継続されているが、道路や搬入口の冠水により車両の出入りが限定的で、搬入量は十分とは言えない状況が続いている。
また、厩舎内の湿度や衛生状態も悪化しており、馬のストレス軽減や体調維持にも細心の注意が払われている。現在のところ、重大な健康被害は報告されていないが、長時間にわたる冠水環境に留まること自体がリスクとなりうるため、早期排水と復旧の目処が急がれている。
動物保護と施設配置の再考が求められる
今回の豪雨で明らかになったのは、厩舎地区がコースよりも低い場所に位置し、水が溜まりやすい地理的リスクであった。動物たちが避難できる場所が限定されていた現状からも、今後は一時避難棟や高床式の設置、緊急排水システムの整備など、災害時の動物保護を前提とした施設設計が求められる。
金沢競馬場のような公営施設では、観客の安全と同時に、出走馬の安全確保も公共的責任として再評価される段階に来ている。
線状降水帯の発生から厩舎浸水までの流れ
低地配置がもたらした競馬インフラの脆弱性
競馬施設における浸水リスクは、地理条件と管理体制の両面から検証される必要がある。金沢競馬場の厩舎地区はコースよりも低地にある構造で、今回のような集中豪雨が発生した際には排水困難な環境が致命的な弱点となった。
また、飼料の保管場所や馬の移動動線も浸水によって遮断されており、平時には気付かれにくい脆弱性が露呈したといえる。施設設計段階において動物の避難性を確保する視点や、臨時搬入口の複線化といった再検討が、今後の災害対策として急務となる。
❓FAQ
Q1. 今回の大雨はどのような気象現象によるものでしたか?
A1. 石川県加賀地方で7日未明に線状降水帯が発生し、金沢市内では12時間雨量が観測史上最多を記録しました。
Q2. 金沢競馬場の被害はどの程度のものでしたか?
A2. 厩舎地区が冠水し、馬の腹部まで水が達しました。飼料の一部も水没しています。
Q3. 馬の健康状態に影響はありましたか?
A3. 現時点で重大な健康被害は報告されていませんが、長時間の冠水状態が続くことへの懸念が示されています。
Q4. 現在どのような対応がとられていますか?
A4. 飼料会社による緊急搬入や、水位確認などの安全対応が継続されています。
Q5. 金沢競馬の開催や発売に影響は出ていますか?
A5. 7日と8日の場外発売は中止となりました。今後の開催については水位状況と復旧作業の進行次第です。
