夏の甲子園3回戦、山梨学院が17安打14得点で岡山学芸館を圧倒し学校史上初のベスト8。菰田陽生が最速150キロ超の快投と適時打で投打に躍動。岡山学芸館は4回の阿慶田の好守や6回満塁機で見せ場をつくるも無得点に終わり、0―14で敗退した。
山梨学院が初のベスト8進出
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
夏の甲子園3回戦、岡山学芸館は山梨学院と対戦し、初のベスト8進出を懸けた一戦に挑んだ。序盤は好守で見せ場をつくったが、5回のビッグイニングで大量失点。6回裏には満塁の好機を迎えながらも得点できず、0―14で敗退した。山梨学院は投打で主役となった菰田陽生の活躍もあり、学校史上初となるベスト8進出を果たした。
序盤の攻防と守備の光
岡山学芸館は背番号11の吉井翔悟が先発。初回に先制点を許したものの、その後は落ち着きを取り戻し、2回と3回は内野陣のダブルプレーで追加点を阻んだ。試合序盤は緊張感のある展開となり、観客席も固唾をのんで見守った。
4回には中堅の阿慶田庵俐が飛び込むようなダイビングキャッチを見せ、球場を沸かせた。ライナー性の当たりに素早く反応し、地面すれすれでグラブに収める好守は、学芸館の守備力を象徴する場面となった。スコア上は劣勢ながら、鍛え上げた守備が確かに存在感を放った。
試合を決めた5回と岡山学芸館の満塁機
均衡を保っていた試合が大きく動いたのは5回だった。山梨学院は打者一巡の猛攻で6点を奪取。スクイズ、適時打、長打と多彩な攻撃を組み合わせ、岡山学芸館投手陣を攻略した。小技と長打の連動で得点を重ねる“つなぎの野球”が一気に試合の流れを引き寄せた。
0―8と大きくリードを広げられた直後の6回裏、岡山学芸館は反撃の機会をつかむ。死球や四球で2アウト満塁と攻め立て、打席には4番・繁光広翔。スタンドからは大きな声援が飛んだが、打球はファースト正面へのゴロ。走者一掃とはならず、得点は最後まで奪えなかった。勝負を分けた「あと一打」の場面で沈黙したことが、試合の趨勢を決定づけた。
投打で躍動した菰田と先発・吉井の投球
山梨学院の菰田陽生は、投げては最速150キロ台を計測する力強い直球で学芸館打線をねじ伏せ、5回2/3を1安打に抑え込んだ。奪三振や打たせて取る投球でリズムをつくり、失点の気配を与えなかった。さらに打撃でも適時三塁打を放つなど投打にわたる活躍を見せ、勝利の立役者となった。
一方、岡山学芸館の先発を任された吉井翔悟は、序盤こそ持ち味の制球で粘り強く投げたが、相手打線の勢いを止めるには至らなかった。監督が背番号11を先発に抜擢した背景には、制球力と落ち着いたマウンドさばきを評価しての起用があったとみられる。結果的には大量失点となったものの、序盤に見せた安定感はチームに希望を与えた。
試合時系列まとめ
回 | 山梨学院 | 岡山学芸館 |
---|---|---|
1回 | 先制点を奪取 | 失点を許すもその後粘投 |
2回 | 無得点 | 内野陣がダブルプレーで凌ぐ |
3回 | 無得点 | さらにダブルプレーで追加点阻止 |
4回 | 安打で走者出すも得点なし | 阿慶田がダイビングキャッチで好守 |
5回 | 打者一巡で6点を奪い突き放す | 投手陣が崩れ試合の主導権を失う |
6回 | 追加点でリード拡大 | 2アウト満塁の好機も凡打で得点ならず |
7回以降 | 安定した攻撃と追加点で14得点に到達 | 反撃の糸口をつかめず無得点で終了 |
岡山学芸館の挑戦と山梨学院の歴史的8強
岡山学芸館は、春のセンバツで優勝経験を持ちながらも、夏の大会ではベスト8に届いたことがなかった。今大会は守備力の強化と継投の安定を軸に戦い、3回戦に進出。県勢としても歴史的なベスト8進出が期待されたが、厚い壁に阻まれた。6回の満塁機をものにできなかったことが悔やまれるが、球際で見せた阿慶田の好守や若手投手の奮闘は、次世代への財産として残る。
一方、山梨学院は14得点を挙げて攻撃力の高さを証明し、夏の甲子園では初めての8強入りを果たした。春の選抜に続く全国舞台での躍進は、山梨県勢にとっても歴史的な成果となった。県外からの有望選手を集めた戦力と徹底した練習の成果が、大舞台で花開いた形となった。
戦術比較で見る攻守の差
5回の攻撃はどう作られたか
5回の山梨学院の攻撃は、一つひとつのプレーが連動していた。先頭打者の出塁をきっかけに、送りバントで走者を進め、次打者がスクイズを決めて追加点。そこから長打が飛び出し、打者一巡の猛攻につながった。小技と長打を組み合わせる戦術は、高校野球ならではのチームプレーの象徴であり、岡山学芸館の投手陣に休む間を与えなかった。大量得点の裏には、単なる打線の爆発ではなく、細かい積み重ねがあった。
試合の流れ整理
-
序盤(1〜3回):互角の攻防、守備で粘る学芸館
↓ -
4回:阿慶田のダイビングキャッチで流れをつなぐ
↓ -
5回:山梨学院が打者一巡の攻撃で一挙6点
↓ -
6回裏:学芸館が2アウト満塁の好機も凡打で無得点
↓ -
終盤(7回以降):山梨学院がさらに追加点、計14得点
↓ -
試合終了:岡山学芸館は0―14で敗退、山梨学院は初の8強へ
大量得点試合が示す高校野球の厳しさ
この試合は、点差以上に攻守の完成度の差を映し出した。山梨学院は選手一人ひとりが役割を理解し、犠打と長打を組み合わせることで大きな流れをつくった。個の力に頼らず、チームとしての総合力が際立った。菰田の存在感は突出していたが、その裏には守備の安定や打線のつながりがあった。
岡山学芸館は、守備の好プレーや満塁機など随所に見せ場を作ったが、得点に結びつける力が不足した。大量失点の影響は大きく、経験不足や投手層の厚さの差が露呈した形となった。だが、甲子園で得た経験は次代につながる糧となる。大量得点差の試合であっても、球児たちの一瞬のプレーや采配の重みは変わらず、そこに高校野球の厳しさと魅力が凝縮されていた。
FAQ
Q1:山梨学院の勝因は?
A1:菰田陽生の投打での活躍に加え、5回にスクイズと長打を絡めて6点を奪った攻撃力。
Q2:岡山学芸館の見せ場は?
A2:4回に阿慶田が難しい飛球をダイビングキャッチした守備、6回裏の満塁機。
Q3:菰田投手の球速は?
A3:最速150キロ台を記録したと報じられている。
Q4:岡山県勢のベスト8実績は?
A4:岡山学芸館は春のセンバツ優勝経験はあるが、夏の大会でのベスト8入りは未達。
Q5:山梨学院の次戦は?
A5:準々決勝で関西勢との対戦が予定されている。