元行員が“17〜18億円に手を付けた”と供述
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三菱UFJ銀行の貸金庫をめぐる窃盗事件で、元行員の被告(46)は東京地裁の被告人質問で「100人くらいから合わせて17〜18億円分に手を付けた」と供述しました。被告は動機として「FXや競馬の損失の穴埋め」を挙げ、法廷で謝罪しました。起訴事実として立件されたのは金塊約3.3億円相当と現金約6000万円ですが、銀行の内部調査では被害総額を約14億円と公表しています。公判は続いており、被害の全容解明と補償の行方に注目が集まります。
| 項目 | 金額・内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 被告供述 | 約17〜18億円(100人分に手を付けた) | 公判での供述(2025年8月25日) |
| 銀行調査 | 約14億円(補償40件=約7億円実施/1月時点) | 三菱UFJ銀行の公式調査報告 |
| 起訴事実 | 金塊約3.3億円+現金約6000万円 | 起訴状と裁判報道 |
被告の供述と動機
被告は、勤務していた三菱UFJ銀行で貸金庫から顧客の金品を盗んだ罪に問われています。2025年8月25日の被告人質問で「100人くらいから合わせて17〜18億円分に手を付けた」と述べ、被害者に謝罪しました。供述によると、盗んだ資金はFX取引や競馬での損失を埋め合わせるために使ったと説明しています。被告は「大切なお客様の財産に大変なことをしてしまった」と反省の言葉を繰り返しました。
銀行が公表した被害総額と補償状況
三菱UFJ銀行は2025年1月、内部調査の結果として「被害総額は約14億円」と公表しました。そのうち1月10日時点で40件、約7億円の補償を実施したと明らかにしています。銀行は事件の原因として、貸金庫のスペアキー管理の不備や入退室管理体制の甘さ、監査体制の不十分さを挙げ、再発防止に向けた改善策を提示しました。具体的には、スペアキーの厳格管理、金庫利用時の立会い徹底、監視カメラ映像の保存期間延長などが含まれています。
起訴内容と被告供述の差異
今回の裁判で起訴状に記された被害額は、金塊約3億3000万円相当と現金約6000万円の合計です。しかし、被告の供述は17〜18億円、銀行の内部調査では14億円と、三者三様の数字が並びます。数字の違いは「証拠に基づき立件できた額」と「被告の自己申告」、「銀行が顧客ヒアリングと調査で算出した額」という性質の違いによるものです。裁判では、この差異をどこまで立証できるかが焦点の一つとなります。
捜査で明らかになった手口の詳細
捜査当局の調べによれば、山崎被告は勤務中に貸金庫のスペアキーを不正に利用し、顧客が預けた金塊や現金を持ち出していました。通常であれば二重の鍵と立会いでの利用が必要ですが、管理の不備により単独で開錠できる状況があったとされています。入退室記録や監視カメラ映像の確認も徹底されておらず、長期間にわたり不正が見過ごされました。押収品の一部は既に換金され、FX口座や競馬投資に流用されたとみられています。
事件発覚から裁判までの時系列
| 時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年末 | 貸金庫の利用者から「中身が減っている」との通報 | 報道各社 |
| 2025年1月 | 被告を警視庁が逮捕。銀行は被害総額14億円を公表 | 三菱UFJ銀行リリース |
| 2025年春 | 金塊約3.3億円+現金約6000万円で起訴 | 裁判報道 |
| 2025年8月25日 | 被告人質問で「17〜18億円に手を付けた」と供述 | 公判報道 |
| 今後 | 公判継続、補償と量刑が焦点に | 各社報道 |
被害者への補償と課題
三菱UFJ銀行は被害総額を約14億円と公表し、1月10日時点で40件・約7億円を補償したと明らかにしました。しかし、被害者からは「補償の説明が遅かった」「手続きが煩雑で不安が残った」といった声も報じられています。金銭による補償が行われても「大切な資産を返してほしい」と訴える被害者もおり、補償の在り方が課題となっています。さらに、証拠不足で補償対象と認められないケースがある可能性もあり、今後の実態解明が求められています。
法的論点と量刑相場
今回の事件は、行員が業務上の立場を悪用して貸金庫から顧客資産を盗んだという点で極めて悪質です。刑法の窃盗罪で有罪が確定すれば懲役10年以下が科されます。被害額が十数億円規模に及び、被害者数が100人規模とされる供述があるため、量刑は重くなるとみられます。
ただし、裁判で立証された起訴額は約3.9億円にとどまっており、判決は「立証できた金額」を基準に下される可能性が高いです。被告は反省の意を示していますが、弁済能力は乏しく、銀行が補償を担っている状況です。民事面では銀行に対する責任追及や被告本人への損害賠償請求が並行して進む可能性も指摘されています。
被告供述・銀行調査・起訴事実の数値比較
数字の差は「供述」「銀行調査」「立証済み」の出どころの違いによるものです。読者に誤解を与えないよう、記事内では必ず出典を併記する必要があります。
今後の焦点 — 裁判と金融監督
裁判では被告供述の信ぴょう性と、証拠によって裏付けられた被害額の範囲が焦点になります。検察が追加の追起訴を行うか、量刑にどう影響するかが注目されています。
また、金融庁は銀行に報告を求め、業界全体で貸金庫管理の改善を進める方針を示しました。スペアキーの二重管理、立会い義務化、監査強化などの再発防止策が検討されています。貸金庫というサービス自体の安全性を再確認する機会となり、銀行業界全体にとって信頼回復の試金石となります。
今回の事件は「内部犯行」である点が特徴です。通常の窃盗事件では外部からの侵入が焦点となりますが、今回は内部管理の不備が犯罪を可能にしました。流れを整理すると、①顧客からの通報 → ②銀行内部調査 → ③逮捕・起訴 → ④法廷での供述 → ⑤補償と再発防止 → ⑥金融庁の監督強化、というステップを踏んでいます。ここから浮かび上がるのは「銀行内部のガバナンスと監督体制が問われている」という構図です。
| 段階 | 出来事 | 意味 |
|---|---|---|
| ① | 顧客が貸金庫の異常を通報 | 事件発覚の端緒 |
| ② | 銀行が内部調査を実施 | 管理体制の不備が露呈 |
| ③ | 警視庁が山崎被告を逮捕・起訴 | 刑事手続き開始 |
| ④ | 公判で「17〜18億円に手を付けた」と供述 | 被害規模拡大を示唆 |
| ⑤ | 銀行が補償と再発防止策を発表 | 顧客保護と信頼回復策 |
| ⑥ | 金融庁が銀行に報告を求める | 業界全体への監督強化 |
この事件が示したのは「銀行への信頼は制度設計で守られている」という事実です。貸金庫は顧客にとって最も安全な資産保管サービスとされてきましたが、その信頼は内部の人間によって破られました。スペアキーの管理や監査体制の甘さが背景にあり、金融機関の信用を根本から揺るがす事態です。
銀行は再発防止策を掲げていますが、顧客が求めているのは「透明性」と「説明責任」です。単なる技術的な改善にとどまらず、補償や管理体制をどこまで公開できるかが信頼回復の鍵を握ります。事件は、銀行にとって「顧客の資産を守る責任」が社会的な義務であることを改めて突きつけました。
FAQ
Q1. 被害総額は確定したのですか?
A1. まだ確定していません。起訴額は約3.9億円、銀行の調査は約14億円、被告の供述は17〜18億円です。
Q2. 補償は全員に行き渡ったのですか?
A2. 銀行は40件・約7億円を補償したと発表しましたが、全件完了したわけではありません。
Q3. 被告はなぜ盗んだのですか?
A3. FXや競馬での損失を埋めるためと供述しています。
Q4. 量刑はどの程度になる可能性がありますか?
A4. 窃盗罪は懲役10年以下で、被害額の大きさから重い判決になる可能性があります。
Q5. 今後の注目点は何ですか?
A5. 被告供述の立証範囲、銀行の補償完了、金融庁の監督強化が注目されています。
