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ラッコに迫る鳥インフルとシャチの脅威!二重の試練

北海道・霧多布岬に生息する野生ラッコが、鳥インフルエンザとシャチの襲撃という二重の危機に直面している。明治の法律により保護の手段も限られる中、観光資源としても注目される存在に何ができるのか。現状と課題を多角的に検証する。

 

 

 

ラッコに迫る
鳥インフルとシャチ

 

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北海道浜中町・霧多布岬に生息する野生のラッコたちが、かつてない危機にさらされている。4月には鳥インフルエンザの感染が確認され、5月下旬には母子ラッコがシャチに襲われるという悲劇が続発。観光資源としても注目されるこの希少種を、明治時代の古い法律が「守る手段すら許さない」というジレンマが、地域に静かな波紋を広げている。


要約表

見出し 要点
鳥インフル感染 4月、町内で死骸から高病原性ウイルスが検出された
シャチの襲撃 5月、母子のラッコ2頭がシャチに襲われ消息不明に
法律の壁 1912年制定の「臘虎膃肭獣猟獲取締法」により捕獲や保護は不可
観光価値の高まり 野生ラッコが町のシンボルに。観光客数も回復傾向

 なぜ霧多布岬のラッコが注目されているのか?

鳥インフルとシャチ、野生ラッコを襲う“二重の危機”

2024年4月、浜中町で確認されたラッコの死骸から、高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5型)が初めて検出された。これは、従来より懸念されていた「海洋哺乳類への感染リスク」が現実となった瞬間でもある。ウイルスは感染した海鳥などから海へと広がり、エサを通じてラッコに接触する可能性が指摘されている。

だが、それからわずか1カ月後の2024年5月23日、さらに衝撃的な出来事が起こった。町内のNPO法人エトピリカ基金の観察によれば、シャチ4頭が母子のラッコを取り囲み、海中に引きずり込んだという。この母ラッコは2018年から8頭の子を産み育ててきた個体であり、地元関係者にとって象徴的な存在だった。

なぜ「保護できない」のか?明治時代の法律が壁に

このような非常事態に対し、「なぜ人間の手で守れないのか」と疑問の声も上がる。しかし、実はラッコは1912年に制定された「臘虎膃肭獣猟獲取締法(らっこ・おっとせいりょうかくとりしまりほう)」により、保護目的であっても捕獲・移送が禁止されているのだ。この法律は、当時盛んだった毛皮取引を規制する目的で作られたが、現代の野生動物保護の実情とは大きく乖離している。

町の観光担当者も「祈るしかない」と語るように、現行法の下では積極的な救護活動や隔離措置は困難だ。まさに“法律によって何もできない”という逆説が、現場に無力感をもたらしている。

霧多布岬におけるラッコの価値とは?

霧多布岬では2018年からラッコの繁殖が確認され、観光資源としても重要視されている。町のキャラクター「きりたん」もラッコをモチーフにしており、町の顔として浸透。2023年度の観光客数は前年度比70%増、コロナ前と比べても20%の回復を示すなど、野生ラッコの存在が地域活性化の一端を担っている。

国内の水族館では現在、ラッコを飼育しているのは三重県鳥羽水族館の2頭のみ。生きたラッコを自然環境で観察できる霧多布岬の価値は、年々高まっている。

母ラッコの繁殖歴と観光影響

2018年から2024年までに8頭の子を産み育てた母ラッコは、繁殖活動の象徴として注目され、町の観察プログラムでも「最もよく知られた個体」だった。その存在が地域の観光ガイドにもたびたび登場し、彼女の姿を一目見ようと訪れる観光客も少なくなかった。

項目 霧多布岬のラッコ 他地域のラッコ観察環境
生息地 陸上から観察可能 多くは海上からの遠望
繁殖確認 2018年から複数例あり 国内他地域では確認例ほぼなし
観光活用 観光キャラ「きりたん」などと連動 観光素材としては限定的
法的保護の壁 臘虎膃肭獣猟獲取締法」により保護活動困難 同様に制限されるが注目度は低い

法と自然の間で揺れる現場の声

現場では、見守るしかない状況に対し「本当にこのままでいいのか」との声もあがっている。エトピリカ基金の片岡理事長は「自然の摂理といえばそれまでだが、命の連鎖が断たれることをただ見ているのはつらい」と語る。さらに、鳥インフル感染の拡大や気候変動による環境変化も懸念されており、ラッコの未来は多くの不確実性をはらんでいる。

一方、町としては条例レベルでの観察ルール整備や啓発活動を進める方針であり、見学者に対するマナー教育や立ち入り制限などを検討しているという。

  • 捕獲できない=守れないではない

  • 環境改善・観察ルール強化など間接的支援に期待

  • 法改正や運用見直しには国レベルでの議論が必要

野生ラッコは今、何からも守れないのか?【法制度の壁】

明治の法律が現代の保護活動を制限

ラッコの保護における最大の課題は、1912年(明治45年)に施行された「臘虎膃肭獣猟獲取締法」の存在だ。この法律は、当時の毛皮産業を背景にラッコやオットセイの乱獲を防ぐ目的で制定されたものであり、捕獲や取り扱いを禁止する内容となっている。だが、皮肉にもこの「保護」を目的とした法律が、今日のような危機的状況に対して人間が積極的に保護介入することを許さない“壁”となってしまっている。

例えば、病気にかかったラッコを保護・治療することや、シャチの出没頻度が高い海域から一時的に隔離するような措置も、厳密には“捕獲”と見なされ、法に触れる可能性がある。制度的な空白に対し、自治体レベルでは何もできず「祈るしかない」という状況に置かれている。

ワシントン条約と国内の繁殖個体数の減少

ラッコは国際的にもワシントン条約によって保護されており、日本への新たな輸入は事実上不可能である。一時期は水族館などで最大122頭のラッコが飼育されていたが、現在では三重県鳥羽水族館にいる雌2頭を残すのみだ。国内で唯一、自然状態でラッコを観察できる霧多布岬の生息地は、観光資源としての価値も非常に高い。

行政関係者は、見学マナーの周知や生息環境の整備といった「間接的支援」のみを続けていく方針だが、今後さらに個体数が減った場合、制度改正の議論が避けられなくなる可能性がある。

見守るしかない、という現実

  • 法律の“善意”が時代遅れの枠組みに変わりつつある

  • 霧多布岬のラッコに人が干渉できる手段は皆無

  • 国と自治体の保護責任の狭間に落ちる存在


なぜラッコは地域の「顔」として注目されてきたのか?【観光と共生】

観光資源としてのラッコ:町に与えた経済的インパク

霧多布岬にラッコが定住し、繁殖する姿が観察されるようになったのは2018年からだ。その姿が陸地から見られる希少性が話題を呼び、観光客の数は年々増加している。2023年度にはコロナ前の2018年度と比較して20%、22年度と比べても70%の増加となっており、観光的な“起爆剤”となっている。

そのシンボルとして2023年には観光キャラクター「きりたん」も誕生。今や町の顔として、ラッコは単なる動物以上の存在になった。しかし、それだけに「見守るだけの現状」に対する市民や観光客のもどかしさも強まっている。

シャチ・鳥インフル・制度の三重苦

一方で、ラッコは三重苦とも言える現実にさらされている。
① 高病原性鳥インフルエンザによる感染リスク
② 自然界の捕食者であるシャチの襲撃
③ 法的に保護・捕獲・移動の一切が不可能な制度的制約

人間が関与できるのは“監視と祈り”のみ。この現状を受け、制度改正を求める署名運動が立ち上がる可能性も出てきている。

項目 要点
明治の法律の制約 臘虎膃肭獣猟獲取締法」により捕獲や保護措置すら取れない現状
シャチによる襲撃 5月に母子2頭がシャチに襲撃され、以降未確認
観光と経済への貢献 ラッコ観光が町の来訪者を20〜70%押し上げた実績
今後の課題と展望 制度改正・生息環境整備・意識啓発が求められる状況へ

 

ラッコ保護の行動が取れない構造的原因

明治時代の「臘虎膃肭獣猟獲取締法」が現役

病気・捕食者に襲われても「人為的介入」禁止

→ 感染・事故死しても助けられない

→ 観光資源としての損失懸念も

見守り体制と啓発活動だけが可能な状態

この問題は「動物の命の価値」と「制度の持つ意義」が真っ向からぶつかる事例だ。かつては保護のためだった法律が、今では“守れない理由”になる。この矛盾は、自然保護と共生のあり方をどう考えるべきかという、日本全体に問いかける課題でもある。


保護とは何かを問うラッコの沈黙

自然とは残酷なものだ。ラッコがシャチに襲われ、誰も手を差し伸べることができない。いや、しないのではなく、できない。
その「制度」の厚い壁の向こうに、命が泡のように消えていく。

明治の法律がまだ息をしている。善意から始まったものが、今では無力感を強化する道具に変わった。
霧多布の海で浮かぶラッコの姿は、私たちが守れなかったものの象徴であり、問いでもある。
守るとは何か?手を差し出すとは何か?
ただ静かに死んでいく命を見送るだけで、私たちは本当に共生していると言えるのか?

 

kicks-blog.com

 


FAQ:よくある質問とその回答

Q1. ラッコはなぜ法律で保護されているのに助けられないの?
A1. 現行法では「捕獲=違法」とされており、保護のための接触や移動も制限されているからです。

Q2. ラッコの観光効果はどれほどあるの?
A2. 2023年度は前年度比で70%増、新型コロナ前比でも20%増の観光客を呼び込む効果があります。

Q3. 保護のために何かできることは?
A3. 現在は啓発や見学マナーの徹底、そして制度改正への関心を高める活動が現実的な手段です。

note.com


まとめ

観点 要点
問題の核心 シャチ襲撃・鳥インフル・法制度によりラッコが守れない現実
制度的背景 明治の「臘虎膃肭獣猟獲取締法」が保護介入すら許さない
社会的注目点 ラッコ観光が経済に貢献、町の“顔”として重要視されている
今後の必要な行動 法制度の見直し・自治体主導の啓発・市民の声の反映など