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SSENSEが倒産保護申請へ 米国“800ドル免税廃止”直撃でラグジュアリーECに激震

カナダ発の高級EC『SSENSE』がCCAA申請へ。CEOと債権者の対立、米国の800ドル免税ルール撤廃が直撃した影響、国際的なラグジュアリーEC再編の動きを詳しく解説します。

SSENSEが倒産保護申請へ

 

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項目 内容
倒産手続き SSENSEがカナダでCCAA(企業債権者調整法)の申立て対象となり、経営者と債権者が対立
CEOの対応 ラミ・アタラCEOは独自の再建案を裁判所に提出予定。「従業員とベンダーの未来のために戦う」と強調
政策背景 米国が2025年8月に「800ドル免税ルール(de-minimis)」を撤廃、越境ECコストが上昇
経営悪化の兆候 100人規模の解雇、保証金支払い停止、大幅な値引き販売で資金繰りを維持
業界の動き Farfetchの身売りやLuisaViaRomaの倒産など、国際的に高級ECの再編・破綻が相次ぐ

カナダ・モントリオール発の高級EC「SSENSE(エッセンス)」が経営危機に直面している。主要金融機関が同社の同意なしに裁判所へCCAA申立てを行い、経営陣と債権者が対立。ラミ・アタラCEOは独自の再建案を提出する意向を示した。背景には米国で実施された「800ドル免税ルール」の撤廃があり、越境ECのコスト増が収益を直撃した。直近では大規模な人員削減や値引き販売が進められ、業界再編の波が押し寄せている。


SSENSEの倒産保護申請とCEOの再建案

カナダの高級EC「SSENSE」は、2003年の創業以来、世界中の高級ブランドや新興デザイナーの商品をオンラインで販売し、国際的な顧客基盤を築いてきた。しかし2025年8月、主要金融機関が同社の同意なしにカナダの企業債権者調整法(CCAA)を申請したことで、経営不振が公になった。

この事態に対して、ラミ・アタラCEOは強い不満を表明している。彼は従業員向けのメモで「金融機関と誠意をもって交渉を重ねてきたが、同意なしに申立てが行われたことは遺憾だ。1000人を超える従業員やベンダーの未来のために戦う」と述べ、独自の再建案を裁判所に提出する意向を明らかにした。

今回の対立は、債権者が早期の資産処分や整理を優先するのに対し、経営陣は事業の継続を守ろうとする立場の違いに起因する。今後は裁判所による審理と債権者会議を経て、どちらの案が採択されるかが決まる見通しである。


de-minimis撤廃が越境ECに与えた打撃

経営悪化を決定づけた要因の一つが、米国の通関制度変更だ。従来は800ドル以下の個人輸入に免税が適用されていた「de-minimisルール」が2025年8月に撤廃され、関税や追加手数料が課されるようになった。

SSENSEは米国顧客の比率が高く、この制度改正は同社に直接的な打撃を与えた。高級ブランドの衣料品やバッグは数百ドルから千ドルを超える価格帯が多く、従来は免税の恩恵を受けていた。しかし、撤廃後は販売価格に関税や輸入手数料が上乗せされ、米国市場での価格競争力を大きく失った。

また、購買体験にも影響が及んだ。チェックアウト時に課税や通関コストが加算されることで「割高感」が生じ、消費者の購入意欲が減退。低価格帯を武器にするSheinやTemuといったプラットフォームが拡大する中で、SSENSEのような高級ECは苦境に追い込まれた。

 

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人員削減と値引き販売に追い込まれた経営

SSENSEは制度変更以前から経営環境の悪化に直面していた。2024年以降、100人以上の従業員を削減し、新興ブランドへの保証金支払いを停止するなど、資金繰りの確保に追われていた。さらに在庫を処理するため、大幅な値引き販売を繰り返し、ブランド価値を維持するのが難しい状況に陥った。

値引きによる売上増は一時的に資金流入をもたらしたものの、利益率を大きく圧迫した。高級ブランドECにとって「値引きは最後の手段」とされるが、それを常態化せざるを得なかったことは経営の深刻さを物語っている。こうした施策が続いた結果、顧客の信頼やブランドの支持を損ね、財務改善にもつながらなかった。


国際的に相次ぐ高級ECの再編・破綻

SSENSEの経営危機は単独の事例ではない。ラグジュアリーEC業界では、近年相次いで再編や倒産が進んでいる。

近年の高級EC動向

年月 企業名 動向
2023年12月 Farfetch 経営不振により韓国Coupangへ身売り
2024年 MyTheresa リシュモングループ傘下のYNAPを買収
2025年8月 LuisaViaRoma 経営悪化で倒産手続き開始
2025年8月 SSENSE CCAA申立て、CEOと債権者が対立

欧州や北米で高級ECの再編が続く背景には、価格競争の激化、物流コスト増、消費者行動の変化がある。SSENSEの倒産保護も、こうした国際的な潮流の一環と位置づけられる。

ベンダー・顧客への影響と不安

SSENSEの経営危機は、取引先ブランドや顧客に直接的な影響を及ぼす可能性がある。まずブランド側では、同社に預託していた保証金や売上金の支払いが遅延・停止されるリスクが高まっている。新興ブランドにとって、販売チャネルとしてのSSENSEは世界的な認知拡大の場であっただけに、未払いが生じれば経営に深刻な打撃を与えかねない。

一方で、顧客の不安も広がっている。注文済の商品が配送されるか、返品・返金が正常に処理されるかなど、サービス継続性への懸念は大きい。CCAA申立て後は、裁判所の管理下での取引となるため、消費者保護の観点からも注視が必要だ。特に米国顧客にとっては、免税撤廃に加えて関税負担が増える中で、購買意欲が低下しつつあり、再建が進んだとしても需要回復には時間を要するだろう。


SSENSE経営危機の時系列

日付 出来事 影響
2023年12月 FarfetchがCoupangへ身売り 高級EC市場の再編が加速
2024年 SSENSE、人員削減を開始 財務改善の兆し見られず
2025年春 保証金支払い停止、大幅値引き販売 ブランド・顧客の信頼低下
2025年8月初旬 米国が$800免税ルール撤廃 越境ECの収益性悪化
2025年8月末 債権者がCCAA申立て、CEOが反発 倒産保護を巡る対立が表面化

高級ブランド販売の今後の再編可能性

今回のSSENSE経営危機は、ラグジュアリーEC全体の変革を象徴している。ブランド側は中間業者への依存を減らし、自社ECサイトリアル店舗を組み合わせたD2C戦略を強化する動きが加速する可能性が高い。

さらに、物流拠点を米国や欧州に分散させることで、関税や配送コストを最小化する施策が求められる。これにより、国際配送のコスト増を顧客価格に転嫁せずに済む体制を整えることができる。高級ECの破綻が相次ぐ中で、ブランド直販と地域戦略のバランスが再編の焦点となっていくだろう。

 

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倒産保護後のシナリオ分岐

シナリオ 内容 影響
再建 CEOの独自案が承認され、雇用やブランド契約を維持 信頼回復に時間を要する
売却 外部企業に事業譲渡し、運営継続 ブランドイメージの変化、統合の影響
清算 資産売却による債務整理で事業停止 顧客・ブランドに甚大な被害

ラグジュアリーECの限界と新たな挑戦

ラグジュアリーECは高い成長を遂げてきたが、そのビジネスモデルは構造的な脆弱性を抱えている。為替や通関制度といった外部要因に左右されやすく、在庫負担や返品コストが重くのしかかる。また、低価格ECの台頭によって消費者の価格感覚が変化し、高級品に対する支出意欲が鈍化している。

今回のSSENSEの事例は「規模拡大とグローバル配送に依存した戦略の限界」を示したと言える。今後はブランド直販の強化、物流拠点の地域最適化、会員制サービスによる顧客囲い込みなど、新たな挑戦が不可欠となるだろう。


SSENSE倒産に関するFAQ

Q1. 注文済の商品は届くのか?
A. 現時点では配送は継続されているが、裁判所管理下で遅延やキャンセルの可能性もある。

Q2. 返品・返金はどうなる?
A. CCAA手続き下では返金処理が遅れる可能性があるため、顧客は公式発表を確認する必要がある。

Q3. 再建の可能性はあるのか?
A. CEOが独自案を提出しており、裁判所や債権者の承認次第で再建の余地は残されている。

Q4. 業界への影響は?
A. FarfetchやLuisaViaRomaの事例と同様に、高級ECの再編が加速すると見られる。

Q5. 日本の顧客には影響がある?
A. 日本への配送も対象となるため、関税負担や返品対応の不透明さに注意が必要。


記事のまとめ

項目 要点
倒産保護申請 債権者がCCAAを申立て、CEOは独自再建案で対抗
政策背景 米国のde-minimis撤廃で越境ECコストが上昇
経営悪化 人員削減・保証金支払停止・値引き販売が続発
国際事例 Farfetch身売り、LuisaViaRoma倒産など再編相次ぐ
今後の焦点 D2C強化、物流戦略の再設計、顧客信頼回復